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下記情報を得たのでお伝えします:
オバマ次期大統領が、核廃絶論者のホルドレン・ハーバード大学教授を科学技術顧問として閣僚に加えたことを、22日づけ赤旗が報道しました。
NHKも報道しました。これで、オバマ政権が核廃絶を指向する可能性が大きくなり、グッドニュースだと、感激しています。ただし今後、核以外の軍事・外交政策との乖離が気になると予想されます。私自は、核廃絶が人類の最優先課題だと確信する理論構築はできているつもりでいます。でも議論を深めておくことが必要だと思います。
Vol. 319. no. 5862, pp. 424 – 434
はじめに
米国科学振興協会(AAAS)は、科学それ自身のための科学振興に関わるものではありません。協会のモットーは「科学振興で社会に奉仕」であり、人類の環境を改善する願望という文脈での科学振興に関わるものです。この任務には、自然科学だけでなく、必ず社会科学への関心を要します。工学による、科学の具現化に向ける関心、自然科学、社会科学、および工学が、公衆の政治に影響する、もしくわ、影響できない、過程に対する関心が必要です。長年にわたって堅持してきたAAASのこの前提のすべてが、2007年度総会、およびこの講演「持続可能な福祉のための科学・技術」という主題の要点です。
このテーマの検討を始めるにあたって、私は、福祉および持続性に関し、いくつかの前提をし、また定義をします。その後、持続的福祉を損なっているものの分類、および罹病率、死亡率の数値として示される定量化をすることにします。次に、私は、科学・技術(S&T)が特に重要な役割を果たす、5つの特定の課題の状態を取り上げます。それは: 貧困対策の基本的ニーズ、この惑星の陸上、水中、地中生物資源の奪い合い対策、海洋の保全管理、エネルギー・経済・環境間のジレンマの解決、そして、核兵器ゼロの世界への指向、です。前進のペースを加速するのに何が必要かについて、いくつかの考えを述べて、終わりたいと思います。そのなかで、AAASがしようとしていること、出来ること、そして、個々の科学者と技術者に何ができるかを述べることにします。
核兵器廃絶に向って(Moving Toward Elimination of Nuclear Weapons)
冷戦中には、世界の核兵器保有数は、米国-ソ連両陣営それぞれ数万発、イギリス、フランス、中国、および、たぶんイスラエルの保有数はそれぞれ数百発に達しました。そのうち、ある程度の数の核が使用されると、人類のかなりの部分の生存が脅かされ、大多数の人間の福祉が損なわれることを、誰でも認識していました。しかしながら、1990年代の始めに、冷戦が平和的に終結すると、核兵器に対する極端な恐怖はほとんどの人々の心から急速に消失しました。核兵器大災害の最もありそうな政治的理由が消失し、目立って広く残っている唯一の核関連の懸念は、ならずもの国家、または、テロリストによる核兵器入手となりました。それは、冷戦下の核脅威に比べると、最初は、切迫性、緊急性がそれほど高くはなかったのです。
主要大国が保有する核兵器は危険でないという思い込みは、米国とロシアの核兵器備蓄のかなりの削減で、強まることになりました。余分と考えられた弾頭を現役から回収、解体するプロセスが開始され、2002年のモスクワ協定が妥結し、将来さらなる削減が見込まれたので、楽観論はいっそう補強されました。その一方、核兵器問題では、核拡散と核テロの懸念が、急速に注目されるに至りました。この懸念は、イラクの核兵器プログラムの最初の発覚、1998年のインド、および、パキスタンの核実験、A・Q・カーンの核拡散ネットワークの露見、北朝鮮の核兵器プログラムの暴露、および、2001年9月11日に、組織的かつ壊滅的な(非核であっても)テロリストの力量を思い知らされたこと、などによって高まったのです。
核拡散および核テロを懸念するのは、確かに、これまでも、これからも間違いではありません(66)。しかし、米国、ロシア、およびいわゆる合法的な核保有諸国(67)がいまだに保有している核兵器それ自身は、もはや世界にとって大きな脅威ではないと、信じ込むのは、それら核兵器が直接的に使用される脅威、および、それらの存在が核拡散と核テロに影響している現状の両方を過小評価することです。
主要核大国の核が現実に使用される可能性を懸念することが、かなり妥当だとするのには次のような事実があるからです。(米国の公衆にはその大部分は公開されていません): (i) これらの核兵器備蓄総数は、およそ2万発です。そのうち米国の核兵器はおよそ半分です。 (ii) 米国とロシアの核兵器の大部分は、モスクワ協定に支配されません。協定は「実戦用に配備された戦略核兵器」と分類された兵器だけを支配します。また、検証の規定もメカニズムも全く備えていません。 (iii) 米国とロシアは、それぞれ、およそ2000発の短時間内反撃可能警戒態勢戦略核兵器を維持するので、誤動作、誤発射の確率を高めています。そして、(iv)米国とロシアはともに、核兵器の先制使用の「権利」を保持しています。非核の通常兵器の脅威に対応した場合にも適用されます。米国とソビエト/ロシアの核兵器の大規模な使用の確率は、確かに冷戦の終結で減少しましたが、その危険は完全に消失したわけではありません(68、69)。
そのうえ、核保有国の核使用と核兵器改良を指向する姿勢は、決して、核拡散と核テロの危険と無関係ではありません。現在の核兵器保有国の、大量の核備蓄の無期限継続、核警戒態勢の維持、非核保有国に対する核第一撃脅迫の継続、効力増強または新規目的のための新型核兵器開発追求などの、あからさまな意図は、核拡散防止条約に盛られた原則に明白に背反し、核拡散防止体制(70)を崩壊させるものです。
もっと明確に言えば、核大国のそのような姿勢によって、核兵器所有を咎める視点となりえる道義的権威を失い、核拡散に奔走する者に対し、彼らを制裁し、核技術移転を阻止する国際協力を獲得する可能性を低下させます。また、そのような核大国の姿勢は、核兵器にはかなりの政治的、軍事的価値があるという意見を補強し、核兵器を保有しなければ、核攻撃される恐れはないという確信を崩すことによって、直接的に核拡散を促進します。
核拡散が起きると、そのこと自体が、さらなる核拡散の機会と核保有指向を増強し、テロリストの核兵器入手の機会を広げることになります。そのような核拡散の機会の増大とは、核兵器、核兵器専門技術、および核爆発物質を、新たに加わった位置の新たに加わった者が入手することだけではありません。カーン・ネットワークがおぞましく示したように、それまで核兵器を特に制御した経験が全くなかった者が入手することを意味するのです。したがって、核兵器数、核配置、および計画的核使用の規制は、核兵器の偶然事故的使用、誤使用、無許可使用、あるいは、意図的使用のいずれの確率をも低下させ、核兵器を、新たな核拡散国家、またはテロリストが所有する可能性を低下させるのに重要なのです。
しかしながら、継続的な核拡散に替わる唯一の選択肢は、究極的には、遵守に確信がもてる手段を伴う、核兵器の全面的な禁止の達成です。核兵器保有ゼロを指向しなければ、逆に核兵器の普遍化傾向に向うでしょう。誰も核兵器普遍化のペースを予測できませんが、結局は、それら核兵器が使用される確率は1に近づくことを意味します(71)。さらに、核兵器禁止は、現実的かつ道義的であるばかりでなく、国際法的な法的義務だという、強力な主張があります(72)。また、核兵器備蓄と核兵器使用の政策を指揮してきた人々のなかで、年々、より多くの人々が、核兵器禁止が唯一の分別あるオプション(73)だという結論に達しています。
反論もしばしば聞かれますが、核兵器禁止は、核兵器の「非発明(un-inventing)」つまり一種の不可能事を要求してはいません。人間社会は、個別にも、あるいは全体としても、殺人、奴隷制度、化学兵器、生物兵器などを、賢明にも禁止しましたが、その場会、それらが考え出されないことを、想定したわけではありません。また、検証(の困難さ)は乗り越えられない障害ではありません。さらなる社会的、技術的革新を伴う検証は、大多数の人々が(74)思うより効果的であります。そして、いずれにせよ、検証をすり抜けることに由来する世界の危険は、核兵器が禁止されない世界の危険よりも小さいと思われます(75)。
タイミングに関して言えば、1946年の全て米国保有の1ダースの核兵器から、1986年の世界の核兵器備蓄、およそ6万5000発のピークまでの増加には、ちょうど40年かかりました。次の20年で核兵器数は2/3以上減少しました(76)。 私には、世界が、つぎの20年間でゼロを目指してはいけない理由が全く考えられません。 2025年頃までにです。 その方向を目指す決定的に重要な最初のステップは、核兵器保有国が次のような内容の声明をすることです。つまり、いかなる状況にあっても、核第一撃をしないこと、 核兵器非保有国に対する核攻撃をしないこと、すべての核警戒態勢の解除、戦略、非戦略、配備、非配備を問わずすべての核兵器総数の、実質的、持続的低減計画、その措置によって生じた余剰核兵器の物理的破壊、および、再利用を有効に排除しえる方法による核分裂物質の廃棄、これらには、国際的に合意される検証手段をともなう、などであります。また、包括的核実験禁止条約の批准と発効、兵器用核分裂物質製造中止の交渉開始(77)も、声明に含まれます。
科学・技術(S&T)は、次に述べるいくつかの方法で、そのような進展を達成するのに貢献できます: 核兵器削減協定の検証をより容易にする技術的改良。;その結果、協定合意が容易になる;他の技術開発で、民生用核エネルギー技術が核兵器製造に転用されるのを防ぎ、転用が起きた場合に検出できる;核兵器の事故、誤使用、不認可使用、の危険を低減する役割での科学・技術の応用;核が存在する期間には、間の核爆発実験の必要性を取り除く科学技術の役割;核兵器ゼロに向う道程における危険性と落とし穴を明確にし、それを防止する統合的検証方法を科学技術に基づいて構築する、などであります。
ほぼ確実に言えることは、核兵器ゼロの世界に到達するのは、科学技術の問題であると同時に、政治的英知、政治的英断、あらゆる種類の武力紛争における動機の低減の課題でありましょう。しかし、紛争にかかわる動機の低減の領域では、今回お話したように、持続可能な福祉を妨げる障碍の緩和に大きな貢献をする科学技術が、不可欠でありましょう(78)。
参考文献
66. National Academy of Sciences, Committee on International Security and Arms Control, Management and Disposition of Excess Weapons Plutonium (National Academy Press, Washington, DC, 1994); G. Allison, Nuclear Terrorism: The Ultimate Preventable Catastrophe (Henry Holt, New York, 2004); M. Bunn, Securing the Bomb 2007 (Project on Managing the Atom, Cambridge, MA, and Nuclear Threat Initiative, Washington, DC, 2007).
67. The term “de jure nuclear weapon states” refers to those certified as legitimate albeit temporary possessors of such weapons by the Non-Proliferation Treaty (signed in 1968 and entering into force in 1970), in exchange for their agreement to make progress toward nuclear disarmament (Article VI) and to assist non-nuclear weapon states in acquiring the benefits of peaceful useful energy (Article IV). They are the United States, the Soviet Union (now Russia), the United Kingdom, France, and China.
68. National Academy of Sciences, Committee on International Security and Arms Control, The Future of U.S. Nuclear Weapons Policy (National Academy Press, Washington, DC, 1997).
69. John P. Holdren, “Beyond the Moscow Treaty,” testimony before the Foreign Relations Committee, U.S. Senate, 12 September 2002 (www.belfercenter.org/files/holdren_testimony_9_12_02.pdf).
70. See, e.g., Canberra Commission on the Elimination of Nuclear Weapons, Report of the Canberra Commission (Department of Foreign Affairs, Commonwealth of Australia, Canberra, 1996) and (68).
71. This was recognized already in the prescient book that Harrison Brown, then a young chemist working in the Manhattan Project, started writing even before the Hiroshima and Nagasaki bombs were exploded: Must Destruction Be Our Destiny? (Simon & Schuster, New York, 1946). The Polish/British Manhattan Project scientist Joseph Rotblat also reached this conclusion before World War II ended, left the project as a result, and spent the rest of his 97 years working for the elimination of nuclear weapons (including through the Pugwash Conferences on Science and World Affairs, which he helped organize and lead and with which he shared the 1995 Nobel Peace Prize). See J. Rotblat, Scientists in the Quest for Peace: A History of the Pugwash Conferences (MIT Press, Cambridge, MA, 1972); J. Rotblat, in Les Prix Nobel 1995 (Nobel Foundation, Stockholm, 1996); and J. P. Holdren, Science 310, 633 (2005).
72. International Court of Justice, Int. Legal Materials 35, 830 (1996).
73. G. L. Butler, “Abolition of Nuclear Weapons,” speech at the National Press Club, 4 December 1996 (www.wagingpeace.org/articles/1996/12/04_butler_abolition-speech.htm); A. Goodpaster, chair, An American Legacy: Building a Nuclear-Weapon-Free World (Stimson Center, Washington, DC, 1997); G. Schultz, H. Kissinger, W. Perry, S. Nunn, Wall Street Journal, 6 January 2007, Op-Ed page. General Butler was the commander of all U.S. strategic nuclear forces; General Goodpaster was Supreme Allied Commander in Europe; Schultz, Kissinger, and Perry all served as U.S. secretary of defense.
74. Committee on International Security and Arms Control, National Academy of Sciences, Monitoring Nuclear Weapons and Nuclear-Explosive Materials (National Academy Press, Washington, DC, 2005).
75. J. P. Holdren, in M. Bruce, T. Milne, Eds., Ending War: The Force of Reason: Essays in Honour of Joseph Rotblat (St. Martin’s Press, New York, 1999), chap. 4.
76. Natural Resources Defense Council, Table of Global Nuclear Stockpiles, 1945-2002, November 2002 (www.nrdc.org/nuclear/nudb/datab19.asp).
77. See, e.g., (68-70, 73) and National Academy of Sciences, Committee on Technical Issues Related to Ratification of the Comprehensive Nuclear Test Ban Treaty, Technical Issues Related to Ratification of the Comprehensive Nuclear Test Ban Treaty (National Academy Press, Washington, DC, 2002).
78. See also J. P. Holdren, “Arms Limitation and Peace Building in the Post-Cold-War World” (Nobel Peace Prize acceptance lecture on behalf of the Pugwash Conferences on Science and World Affairs), Les Prix Nobel 1995 (Nobel Foundation, Stockholm, Sweden, 1996).
ハーバード大学資料より
オバマ次期大統領は、ハーバード大学のジョン・P・ホルドレンを新政権の科学技術問題担当大統領補佐官に任命する。この職務は、一般には「大統領科学顧問、the President’s science advisor」と呼ばれており、大統領府の科学技術政策局の監督もする。また、上院の承認を必要とする職責である。
ホルドレン博士は、現在、ハーバード大学ジョン・F・ケネディ記念政治学部の環境政策学教授、同学部の科学および国際関係ベルファー記念センターの社会政策プログラム教授である。また、ハーバード大学の地球および惑星科学学部の環境科学および環境政策学教授で、独立系のノンプロフィット法人ウッヅホール研究センター理事長兼所長でもある。彼は、1996年からハーバードに在籍し、1992年からウッヅホール研究センターにパートタイムで出向している。
ホルドレンは、MITとスタンフォード大学で、航空工学およびプラズマ物理学の修士、博士号を取得した。エネルギー工学、エネルギー政策、地球気候変動、核軍縮および核拡散防止、科学技術政策の専門家である。世界最大の自然科学学会であるAmerican Association for the Advancement of Science (AAAS) の元会長で、全米科学アカデミー、工学アカデミーの会員である。
ベルファー・センター所長のグレアム・アリソンは、オバマ次期大統領のホルドレン任命について次のように語った。「オバマ次期大統領が、ジョン・ホルドレンを大統領科学顧問に選んだことを誇りに思う。ジョンは、政策に強い科学者そのものだ。彼は、気候崩壊、核の脅威など、社会が直面している困難な課題を取り扱う科学・技術のダイナミックスを熟知しており、新たな有効な解決法についても造詣が深い。ベルファー・センンターで、過去10年間以上、彼は科学・技術、社会政策研究のリーダーだった。ジョンがワシントンに移るのは、ハーバードにとっては、大損失だが、わが国には計り知れない利益だ」
ホルドレンは次のように語った。「この国が現在直面している諸問題、経済、環境、健康、安全保障、特に貧困層の転落傾向などは、相互に関連しており、どれひとつとっても、物理科学、生命科学、工学の前進と洞察なしには、解決できない。オバマ次期大統領はこのことを完璧な明快さで理解している。オバマ次期大統領は、社会の繁栄とより良い世界の構築のために、新政権が努力するあらゆる局面で、科学・技術の力量が完全に発揮され、利用されることを確実にするようにと、召集した素晴らしいチームの他のメンバーと、そしてオバマ次期大統領と、共に働けるのは、専門家としての自分にとって、最大の幸運であり、また、これまでにない重い責任を感じる」
ホルドレンの、ハーバード大学ケネディ政治政策学部における、社会政策の教育、研究、および取り組みは、次のような特徴があった。それは、気候変動の脅威および過度の石油依存の危険性の低減、核兵器と兵器用核分裂物質に由来する危険性を最小化するなどの目的で、米国が、エネルギー技術を開発、採用することを求める、また、政策関連の科学・技術に関する正確な情報が、政策決定者、および社会一般に、把握される過程を強化することなどに焦点があてられた。
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