TPPをバブルという視点で考えてみる

篠原孝議員が以前TPP参加は日米安保条約締結に匹敵すると述べたが、その認識は
正しい。しかしながら、問題は08年以降リーマンショックの清算が未だできていないこ
とことにある。即ち米英が80年代以降積み上げてきた債権金融システムのバブルが弾け
ていない。その文脈でTPPを捉えるべきなのかもしれない。

小泉内閣が成立した2001年末の日本の対米直接投資残高は約1406億㌦。同じく米国の
対日直接投資残高は約184億㌦。これが2011年末の日本…の対米直接投資残高は約2755
億㌦。同様に米国の対日直接投資残高は約709億㌦。日米は一体化と同時にバブルは膨
らんでいる。

このバブルというのは必ずどこかの時点で弾けることになっている。それが資本主義
の宿命だ。現在、米国は金融緩和をし続けることでしか対応できない。

日本はコイズミ=ブッシュ以降、各種日米協議を通して日米の制度の共通化を図って
きた。08年の第8回日米投資イニシアティブで他国との投資協定に関しての日米合意が
あり、さらにはTPPについての日米協議がなされたとされている。ここが日本のTP
P参加の直接の経緯(11月に二階経産相が推進を明言)であるが、同時にリーマンショ
ックでバブルが弾けかかっていたことを見逃してはならない。

なお日米関係でいわゆる「非関税障壁」の最大のものは日本の官僚機構そのものだと
米国は捉えている。これは冷戦終結後一貫している。各種の日米協議は日本の官僚機構
の力を削ぐことが第一の目的であった。同時に制度の日米共通化が図られた。企業(資
本)の「日米共通化」。

だから「米国が日本の官僚機構の力を削ぐ」という時、日米交渉時に事前に既に官僚
機構に忍び込ませたエージェントから情報をとるといった【陰謀論】的なことも考えら
れなくもないが、イチバンありうると思うのは、ショックドクトリン初回であるチリの
ピノチェト反革命の時に準備した方法である。即ち「シカゴ・ボーイズ」を養成してお
いたその手法である。コイズミ以前から補助金削減など行政改革で日本のアカデミズム
、とりわけ文系学部にたいする圧力は凄まじく、経済学部はほとんど新古典派経済学(
=シカゴ学派)に乗っ取られる状況が出現していたのである。法学部においては、国際
法など英米法学の進出。政治学においては、もともとこの学問自体がそうだが、アメリ
カ式の政治学の専横および、工学との融合…など、要するにアカデミズムじたいが、ア
メリカ流に改造されていたのである。官僚になる前に「シカゴ・ボーイズ」になってい
たのだ。

現在の安倍内閣の金融緩和はバブルが弾けようとしている状況下で行われるので、危
険だという説がある。ドル崩壊、米国債デフォルトの前に円や日本国債を危機に晒す事
になるという主張だ。この真偽はともかく、日米一体化という観点から考えれば日本の
官僚機構の力を削ぐ必然的な策なのかもしれない。

コイズミ=ブッシュ以降第1次安倍内閣のときに、官僚機構が反攻し一時的に規制緩
和が止まった。日米投資イニシアティブで合意された事項も履行されなかった。しかし
ながら、止まった流れが鳩山内閣を打倒した仙谷らのクーデター以降再び緩和の方向に
行っている。これは元々オリジナル民主党が構造改革(新自由主義)論者の巣窟だった
からに他ならない。

それではなぜいったん反攻に出た官僚機構が、仙谷らのクーデターに乗ったのか。当
初一部のネオコン官僚が仙谷と組んでヘゲモニーを握ったのかと思っていたが、どうや
らそうではないらしい。要するに上記「シカゴ・ボーイズ」たちの方が多数派になって
いたのである。しかし民主党では動力が存在しない。

即ちここに安倍内閣の登場の歴史的意味がある。構造改革(新自由主義)策を進める
動力として右翼復古イデオロギーを有した政治家が必要だったのだ。官僚のネオコン化
と同時にコイズミ時代を通じて財界の日米一体化が進んでいて、旧来とは異なる「政・
官・財」のトライアングルが再現したのである。

TPP反対勢力の中でもともと右翼復古イデオロギーを持っていた学者、官僚、評論
家たちで安倍率いる自民党を支持した者たちは、ある意味では騙されていたことにはな
るが、遅くとも参院選までには自ら採った戦術の敗北を認めざるを得なくなるだろう。
今の段階では戦術の誤りを認めていないが。

なお米国中枢にとっては必ずしも日本の政権が「右翼・復古的」であるのが都合が良
いわけではない。(新)コーポラティズム論が危ういのは米国政権にたいする見方が一
面的になることだ。多国籍企業や米金融資本と米国中枢は同一ではない。今回の日本の
対アジア外交の修正を強制したのは米国中枢だ。

まとめる。80年代の米英金融革命によって構築された債権金融システムは、資本主義
世界経済において巨大なバブルを生み出し、08年リーマンショックで弾けかかった。T
PPは弾けかかったバブルを延命させようとする日米一体の企みである。日米一体化と
は「シカゴ・ボーイズ」などによる長期にわたる日本の官僚機構のネオコン化とコイズ
ミ=ブッシュ以降の日米協議によって日本の企業(資本)が変質させられていって成し
遂げられた。この文脈における安倍内閣の歴史的使命は、構造改革(新自由主義)策で
は大衆が離反するので、これを推進するためのエンジン=右翼復古イデオロギーを展開
できることにあった。TPPはそもそも投資の完全自由化が主目的であり、バブルを延
命させるための装置(=資本による広域国家統合)なのである。

なお当然結末は見えている。(これについては反TPPツアーで述べる…爆)

http://nyantomah.blog101.fc2.com/

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out /  Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out /  Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out /  Change )

Connecting to %s

%d bloggers like this:
search previous next tag category expand menu location phone mail time cart zoom edit close