オバマにとって「安倍政権は負債」です
日本人は気づいていないオバマにとって「安倍政権は負債」です
私はこのブログですでに「今一度何故安倍首相が米国で不人気か整理しよう」というも
のを掲載した。
その時の主要点は次の内容である。
「多くの人は、安倍首相は米国に大歓迎されると思っていた。
… 少なくとも自民党はそう思っていた。選挙公約では「外交を取り戻す」の標題の下
、「日米同盟強化の下、国益を守る主張する外交を展開します」とうたった。しかし、
どうもおかしいのである。
安倍氏が一月訪米を言っても、オバマ大統領は、「はいどうぞ」と言わない。
それだけではない。
安倍首相批判の声が米国等から聞こえてくるのである。
すでにニューヨーク・タイムズ紙等3つの重要な論評が出た。
ニューヨーク・タイムズ紙は1月2日付の社説で、
「日本の歴史を否定する今一つの試み
(Another Attempt toDeny Japan’s History)と題して安倍晋三首相が従軍慰安婦問
題でのいわゆる「河野談話」を見直す考えを示しているとしたうえで、「日韓関係を悪
化させる恐れがある深刻な過ち」と非難した。
また発行部数は約160万部、その約半分を北米、主として米国が
占める英国エコノミストは1月5日付で、
「国(日本)の危険なほどナショナリスチックな新内閣はアジアが必要
とする最後のもの(The country’s dangerously nationalistic
new cabinet is the last thing Asia needs)」という論評を掲げた。
また13日NYTで米国の著名な経済学者クルーグマンは「Japan Steps up」
の標題で論評を書き日本の財政出動が成功する可能性があることを主目的と
しているが、「自民党勝利は何十年にもわたり日本を間違った方向に導いた”
(絶滅)恐竜”の復活と広く見られた。
日本通は安倍氏を良い人間(good guy)とみるな、彼の外交政策は
すごく悪い(very bad)、景気刺激策はばらまきというなどを
紹介している)との見方が米国にあることを示している。」
これは1月時点のブログである。
この傾向は安倍氏の米国訪問の後も、実は続いている。
「日本はアメリカの最新の頭痛」(Japan: America’s Newest Headache)と
題して、 – Patrick Smith( The Fiscal Times)の論評を掲載している。
Patrick Smithはヘラルドトリビューン、ニューヨーカー等に寄稿をして
きた記者である。
「ワシントンから見れば安倍の訪米時期は悪かった。
軍事的復活の日本は中国を刺激し、この地域のバランス役を演じようと
する米国を傷つけ、ワシントンがこの地域の大国としての中国と提携関係
を持つことを困難にさせる。
中国の人民日報は社説で「尖閣問題での米国の日本支持は建設的な超大国としての信頼
性のみならず、多くの国際問題に関する中国のパートナーとしての立場を傷つける“と
記述している。
安倍氏は11年間で初めて防衛費を増大させようとしている。
彼は憲法の“不戦”条項を改定しようとしている。
彼は慰安婦問題の釈明を改定しようとしている。
彼は尖閣問題で主権問題を話す意思がないと明確にしている。
これらは日本の近隣国で挑発的政策とみなされている。
それらは古いナショナリスト的タカ派の侮辱であり、アジアや米国が
21世紀の日本に求めるものではない。
安倍の考えは米国人にとって皮肉である。
1980年代から我々は日本人に対して地域の安全にもっと貢献せよと
日本人をけしかけ、甘く囁き、侮辱し、いじめてきた。
日本は米国の友である。しかし右派、保守的腕力で、マイナスを
もたらす友である。ワシントンがアジア政策を再構築するにあたり、
深刻な障害となる」
オバマ政権にとっては日本より中国の方がはるかに重要である。
それは経済関係でみても対中貿易の方が対日貿易より大きい。
さらにオバマ政権はシリア、イラン、北朝鮮という重大な
外交・安全保障案件を抱えているが、ここでの中国との連携が
不可欠である。
この中、中国との関係を悪化させる安倍政権を同盟国として擁護する
のは、オバマ政権にとり、マイナスである。
ワシントンからみれば安倍政権は最早、
「マイナスをもたらす友でアジア政策を再構築する深刻な障害」だ。
安倍首相が訪米した時、オバマ側は決して熱烈歓迎していない。
不承不承受け入れ、しかしオバマ側が距離を置いていることを世界に
示している。
それなのに、日本のマスコミは安倍政権で日米関係の再構築が出来たと
騒いでいる。国民もそれを信じて安倍首相を支持している。
ここでも、日本は、実体と離れた世界の中にいる。
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佐久総合病院 地域医療部 地域ケア科 医師
http://irohira.web.fc2.com/01IroCover.htm
色平哲郎 いろひらてつろう
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