TPP 首相「熟慮の時間ない」 2013年3月9日東京/夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013030902000258.html
安倍晋三首相は九日午前、BS朝日の番組に出演し、環太平洋連携協定(TPP)の交
渉参加問題で、米国が年内妥結を目指していることについて「判断、熟慮する時間が限
られてしまっているのは事実だ」と、日本にとって厳しい状況にあるとの見解を示した
。
首相は、先に交渉を始めた米国など九カ国が後発組に不利な条件を課していることに関
し「最初に入った人たちは、自分たちの議論を覆されたら困ると思うだろう」と指摘。
「ただ、われわれも参加の判断をしたら、きっちり主張していきたい。強い交渉力を持
って結果を出していく責任を背負っている」と強調した。
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TPP後発国に不利条件 首相 説明は後ろ向き 2013年3月9日 東京/朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013030902000165.html
環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加に関連し、後から交渉に参加したカナダとメ
キシコが著しく不利な交渉条件を求められた問題が、八日の衆院予算委員会で論戦の主
要テーマになった。野党側が事実関係の公表を求めたのに対し、安倍晋三首相らは終始
、後ろ向きな姿勢。TPPは国民生活を大きく変える可能性のある重要な課題なのに、
首相は説明責任を軽視したまま、交渉参加表明に踏み切ろうとしている。(金杉貴雄、
関口克己)
日本維新の会の松野頼久氏はこの問題を報じた本紙を片手に「不利な条件で参加しなけ
ればいけないのか、カナダやメキシコに確認したのか」と、何度も政府に迫った。
問題は、二〇一〇年までにTPP交渉に参加した九カ国が、一一年十一月に参加の意向
を表明したカナダとメキシコに対し、すでに合意した条文は後発の参加国は原則として
受け入れ、再協議も要求できないなどの不利な条件を提示したというもの。
岸田文雄外相は松野氏の質問に「他国のことをコメントする立場にない」と繰り返した
。自民党の山本有二委員長が「日本の立場を明確に」と促しても、答弁を変えず、松野
氏は「議会として聞いているのに怠慢だ」と憤った。
首相も「交渉にまだ参加していないから情報収集が難しい」と釈明したが、これには松
野氏が逆襲。松野氏は、自民党が野党時代の二〇一一年十一月、当時の野田政権による
交渉参加表明に反対する決議案を衆院に提出した際、「政府の情報収集と国民への説明
が不足している」と批判したことを指摘し、現在の首相の姿勢との矛盾を突いた。
また、共産党の笠井亮氏は、七日の予算委で「既に交渉に参加している国と、後から参
加する国では条件が違うのか」との質問に、首相が「判然としない部分がある」と答え
た点を取り上げた。
笠井氏が「判然としない内容を把握しているのか」と聞くと、首相は「取っている情報
もあれば、輪郭がぼやっとしているものもある」と答弁。笠井氏は「ぼやっとしたもの
があって、入ってみたら大変だったら責任問題だ」と情報把握が不十分なまま、近く交
渉参加を表明しようとしている首相を批判した。
八日の質疑では、岸田氏が、後発組の国には包括的で高いレベルの貿易自由化を約束し
、交渉進展も遅らせないなどの要求があることを明らかにした。
日本のTPP参加では、コメなどの農産品が関税を撤廃しない「聖域」となるかが焦点
。笠井氏は、林芳正農相が岸田氏の説明を知っていたかと聞くと、林氏は「そういう情
報を事前に知っていたことはない」と述べた。閣内でTPPに関する情報共有が不十分
なことも露呈した。
笠井氏は「国民や国会には都合の悪い情報は出さず、国のあり方に関わる重大問題で、
拙速に結論を出そうとする。絶対に許されない」と迫った。
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TPP条件 政権移行直後に把握 2013年3月9日 東京/朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013030902000131.html
安倍晋三首相は八日の衆院予算委員会で、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に関し
て日本政府が把握していた情報について、昨年末の政権移行直後に関係省庁から報告を
受けたことを明らかにした。その中にはカナダ、メキシコ両国がすでに交渉を始めてい
た米国など九カ国から不利な条件の受け入れを求められていた問題も含まれていた。
首相は「私からTPPについて、事前の交渉の状況について説明してもらいたいと指示
して説明を受けた。就任からそんなに時間がたっていなかった」と述べた。報告は関係
省庁から聞き、野田佳彦前首相や政府高官からは直接受けなかったという。
野田前政権当時の日本政府は、後から交渉に参加した国はすでに合意した条文は受け入
れ、再協議も要求できないなど不利な条件が課せられたとの情報を得ていた。安倍首相
は近く、TPP交渉参加表明をする方針だが、引き継いだ情報をこれまで公表していな
かったことになる。また岸田文雄外相は予算委で、交渉に後から参加を希望する国には
(1)包括的で高いレベルの貿易自由化を約束する(2)交渉進展を遅らせない-との
要求があることを明らかにした。
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