(天声人語)遅刻大臣の不徳

2014年3月22日05時00分

 大正の末ころの勤め人の朝の光景である。出勤するとまず同僚と雑談する。喫煙する。便所にいく。面会人がある。ぶらぶら散歩する……。一向に執務に集中せず、能率はあがらない。昔のことでも、ひとごとでもないなと思いつつ、おもしろく読んだ▼『遅刻の誕生』という研究書に紹介されている。近代化をめざす明治以降の日本が、産業経済の効率をあげるためにいかに時間を管理し、人々を規律の枠にはめてきたか。それを鉄道や工場、学校など多彩な角度から解明しようと試みた研究だ▼先人の努力は大きく実った。いまや日本はおそろしく時間にやかましい国になった。朝の通勤の電車のなかで、遅れをおわびするアナウンスを聞いたことがない人はいまい。2、3分のことでも「お急ぎのところ……」となる▼世の中にはやむをえない遅刻も多々ある。しかし、これはどうだろう。石原伸晃環境相が国会の審議に10分遅れ、叱られている。事故渋滞のせいと釈明したら、事故はなかったこともわかった▼審議の前に予定されていた皇居での国賓歓迎行事も、出席できる状況だったのに欠席し、批判の火に油を注いだ。石原氏は「不徳」を認めて小さくなっている。「たるんでるよ」というヤジには一言(いちごん)もなかろう▼新年度予算が成立した。記者会見やテレビ出演での安倍首相は機嫌がよさそうだった。次の課題に向け、お急ぎのところかもしれないが、好事魔多し。まわりを固めるべき人たちにほころびが目立ちつつある。

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コメント:NHK会長・委員、内閣法制局長などエライ・オトモダチで固めて喜ぶようでは底が知れている。

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