暴走する日本株  外国人投資家が主導する 世界最悪の乱高下相場

今週の週刊ダイヤモンド ここが見どころ
【14/4/12号】 2014年4月7日 週刊ダイヤモンド編集部

ホワイトデーに前日比488円安
暴落する日経平均を見つめる男

3月14日のホワイトデー。男は目の前の情報端末に映し出される、今まさに暴落中の日経平均株価のチャートを呆然と見ていた。

驚きはなかった。むしろ、それは見慣れた日常の光景になりつつあったという。その日の終値が、前日比488円安という今年3番目の大幅下落を記録していたにもかかわらずだ。

それもそのはず。昨年来、乱高下を繰り返してきた日経平均は今年に入ってその流れをさらに加速させ、一日の株価変動率が2%を超えた日数は2月末までで11日に達する。

1日にとどまるNYダウ平均との差は歴然としており、男の感覚がまひするのも当然だろう。

乱高下する日数の多さもさることながら、その変動率(ボラティリティ)の高さも、また尋常ではない。

14日は世界同時株安の様相を呈していたが、日経平均は前日比3.3%のマイナスと、世界最悪の急落を記録した。

この日の株安の元凶とされたのは、ウクライナ情勢の緊迫化と中国の経済不安。当事者であるロシアや中国の株式市場が暴落するのなら理解できるが、日経平均は中露両国より2倍以上も激しい下げに見舞われているのだ。

日本株が暴走している──。日本の株式市場でいったい何が起こっているのか。

「海外の同業者の仕業ですよ」

日本株のヘッジファンドを運用しているというこの男は、暴走の“主犯格”をそう表現した。

どんな相場局面でも絶対リターンを狙うヘッジファンド。確かに、日本株市場は外国人投資家の保有比率が3割と高く、売買シェアでは6割を占める。

中でも日本株は、グローバルマクロ型のヘッジファンドの影響を強く受けており、彼らの“草刈り場”になっているというのだ。

グローバルマクロ型ヘッジファンドは世界中で投資するため、「海外イベントが重要になる。つまり、日本の鉱工業生産など、詳しくない経済指標よりも、中国の製造業PMI(購買担当者景気指数)や米国の雇用統計といった指標で日本株を売買する」。

彼らの行動原理をそう説明するのは、かつて自らもヘッジファンドの辣腕マネジャーとして鳴らしたフィナンシャルコンサルティング代表の江島敏行氏だ。

その証左に、ここ最近で日本株が急落または急騰した要因は、日本発のニュースではなく、大半が海外発だ。ホワイトデー以外でも、春闘回答日だった3月12日はベースアップが相次いだにもかかわらず、株価は上昇するどころか、逆に中国の社債デフォルト懸念から大幅安となった。

外国人支配の下で海外要因に振り回されているのが、今の日本株市場の実態である。それはあたかも、自分の家の庭で外国人がわが物顔でサッカーをやっているかのようだ。

日本株がゆがんだ元凶は
長期視点の国内投資家の不在

そもそも昨年、世界最大の相場上昇を牽引したのも、年末の急騰を演出したのも、15兆円を買い越したヘッジファンドを軸にする外国人投資家たちだった。年明け以降、日本株が勢いを失ったのも、彼らが2兆円を売り越したからに他ならない。

実はホワイトデーの悪夢には、他にも“共犯者”がいた。

インデックス・アーブやスタティスカル・アーブと呼ばれる裁定業者だ。複雑なプログラムを駆使して短期でサヤを取るのが裁定業者の手口だが、いずれも運用しているのは大半が外国人だという。

裏を返せば、今の日本株市場がゆがんでしまった理由は「国内投資家の不在」の一言に尽きる。

国内の機関投資家は巨額の資金を持ちながら、バブル崩壊後に大損したトラウマから抜け出せず、動こうとしない。

売買シェアで2割を握る個人投資家もいるにはいるが、短期売買に血眼になっており、まるでミニヘッジファンドのような動きばかりが目立つ。

「国内に、企業業績や経済のファンダメンタルズに着目し、長期的視点で投資する投資家が決定的に不足している」(広木隆・マネックス証券チーフ・ストラテジスト)。そのため、外国人投資家が主導する一方通行の相場になってしまうのだ。

結果として、日本株市場は世界でトップ3に入る規模の市場であるにもかかわらず、新興国よりもひどい株価の乱高下が横行しているわけだ。

男の同僚は、「日本市場を先進国マーケットと考えているのは、日本人くらいですよ」と鼻で笑った。


暴走! 日本株
ボロ儲けしたのは誰だ

 『週刊ダイヤモンド』4月12日号の特集は、「暴走!日本株 ボロ儲けしたのは誰だ」です。日本株は昨年、世界最大の上昇を成し遂げました。しかし、どうも様子がおかしい。株価の振幅は新興国よりもはるかに激しく、世界最悪の乱高下を記録する日も珍しくありません。

株価は国内要因には反応せずに、海外要因にばかり振り回されています。しかも、その裏でボロもうけしているのは外国人投資家ばかりです。今、日本の株式市場に何か起こっているのか。暴走して、いびつな変動を繰り返す日本株の深層に迫りました。

また、まばたきを1回する間に1万回もの発注を出すことができる超高速取引「HFT」の実態や、ネット上で「炎上」する企業をいち早く速報するサービスなど、最先端のアルゴリズムを駆使した取引を掘り下げています。

外国人投資家とテクノロジーの支配力が急速に強まる市場にあって、資金力に劣る個人投資家はますます不利な運用を迫られています。では、どんな投資をすべきなのか、彼らが生き残る道も模索しました。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 山口圭介)

Categories バブル

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out /  Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out /  Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out /  Change )

Connecting to %s

%d bloggers like this:
search previous next tag category expand menu location phone mail time cart zoom edit close