2014年4月20日05時00分
集団的自衛権の行使容認をめぐり、1959年の砂川事件の最高裁判決が有力な論拠になるとした高村正彦・自民党副総裁の発言が波紋を広げている。
安倍政権は、憲法を改正せずに解釈変更で行使を認めることをめざすが、自民党内にも慎重論は少なくなかった。高村氏の「判決は必要最小限の集団的自衛権を排除していない」との主張は、最高裁判決を引用して憲法上認められる行使の範囲を絞り込み、慎重派の理解を促す狙いがあった。実際、発言をきっかけに党内は容認論へ大きく傾いた。
高村氏が公開の場で砂川判決に触れたのは3月31日。経緯をたどると、「限定容認」で行使を急ぐ安倍晋三首相の思惑が浮かび上がる。3月6日、安倍氏と高村氏は互いに「相談がある」と持ちかけ、首相官邸で30分ほど会談した。高村氏が「集団的自衛権を十把一絡げで全部認めるとか、だめだとか言う議論は間違い」と話すと、安倍氏も「そうですね」と応じたという。
政府の憲法解釈で認めてこなかった集団的自衛権の行使に、公明党は慎重姿勢を貫く。山口那津男代表は砂川判決について「集団的自衛権を視野に入れて出された判決とは思っていない」と指摘。首相がめざす行使容認による日米同盟の強化も、今の解釈で認めている個別的自衛権で対応できると主張する。自民党の石破茂幹事長が解釈変更の閣議決定の先送りを主張するなど党内にも異論がくすぶる。
だが、首相は引く様子を見せない。「限定容認」は長年のこだわりだからだ。
(鶴岡正寛)
▼37面=砂川 なぜ今
(3面に続く)
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