原発なしでは電気が足りず、電気代も上がる――電力会社はもう、そんな不安を前面に出す姿勢を改めるべきではないか。

この夏の原発再稼働が見通せぬ中、電力各社は「原発ゼロの夏」を乗り切る計画を示した。実現すれば、震災後初のこととなる。

とはいえ、もともと原発に過大な依存をしていた関西電力では、真夏のピーク時の余裕は3%しかない。節電の手を緩めてはならないが、つい2年前「原発ゼロなら計画停電もある」「企業活動や医療現場に影響が出かねない」と大飯原発を再稼働したときのことを思えば、世の変化に目を見張る思いだ。

原動力は、予想を上回る節電の定着である。

あの夏、大飯原発に頼った関電管内では予想の3倍を超える節電を達成。原発ゼロでも乗り切れた計算となった。昨年は歴史的猛暑だったのに、節電の定着ぶりは変わらなかった。

こうした実績から、関電は今夏、原発2・5基分の節電を見込むことができた。原発事故を真摯(しんし)に受け止めたユーザーの努力が「節電発電所」の建設につながったといえる。

電力会社の努力はどうか。

安定供給には原発しかないと説き続け、リスクが明らかに高い人口密集地付近の原発でも再稼働を申請する。一方で、余った電力を地域を越えて融通しあう仕組みはなかなか整わない。関電は今夏初めて、東京電力から融通を受けて電力不足を乗り切る計画だが、周波数の違う東西での融通能力は震災時から2割増えただけだ。

燃費がかさむ古い火力に頼り、「いつ故障とも知れない」「電気代が上がる」という説明も続く。最新鋭の高効率の火力発電所建設の動きが出始めたのは、ごく最近のことだ。

電力市場の自由化を進める法案が、国会で審議中だ。家庭も含めて自由に電力会社を選べる時代へと移っていく。すでに自由化された自治体などの大口利用者は、電気代の安い新電力に乗り換え始めた。発想を切り替えねば、大手電力会社自身が生き残れまい。

節電する人びとが求めるのは、安全に安定して、できるだけ安く電気を使えるシステムをつくっていくことだろう。再生可能エネルギーを拡大し、限られた電気を融通し合える仕組みを早く根付かせたい。

福島での事故で巨大なリスクが潜むことが明らかになった以上、巨額の投資をしたから原発を動かしたいという経営の論理はあまりに内向きに見える。