集団的自衛権:自公合意 沖縄長崎、忘れぬ悲劇 体験者、語り継ぐ決意新た 「若者よ、もっと危機感を」

毎日新聞 2014年07月01日 東京夕刊

集団的自衛権の行使容認に反対する集会であいさつする土山秀夫さん=長崎市で2014年6月22日午後1時40分、大場伸也撮影
集団的自衛権の行使容認に反対する集会であいさつする土山秀夫さん=長崎市で2014年6月22日午後1時40分、大場伸也撮影
仲里利信さん=佐藤敬一撮影
仲里利信さん=佐藤敬一撮影

戦後69年で迎えた日本の岐路を前に、先の大戦で過酷な戦禍を被った沖縄と被爆地・長崎の戦争体験者が、語り継ぐことの大切さを改めて実感している。戦争の悲惨さを知る者が減っていることに危機感を覚えつつ、「行使容認の次は徴兵制になる。自分たちの問題として受け止めてほしい」と次世代の若者たちにメッセージを発している。【佐藤敬一、大場伸也】

「本土防衛の捨て石にされたのが沖縄戦だ」。沖縄県南風原町の元沖縄県議会議長、仲里利信さん(77)の言葉に力がこもる。9万4000人以上の住民が地上戦に巻き込まれて犠牲になった。

仲里さんは当時8歳。米軍上陸後、親族とともに沖縄本島北部の壕(ごう)に隠れていた。暗闇を怖がった3歳の妹と従妹が泣くと、日本兵が毒入りのおにぎりを食べさせるよう迫ったのを覚えている。自分たちは壕を出たが、逃避行の途中で1歳の末弟を栄養失調で亡くした。

仲里さんは自民党沖縄県連顧問だったが、今春県連から除名された。安倍政権が進める米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の県内移設に反対し続けた結果だが、戦場の実相を知る者として「戦争は二度と繰り返してはいけない」という信条に基づく行動だった。沖縄には全国の米軍専用施設の74%が集中。「戦争になれば真っ先に狙われるのは基地だ」と語る。

集団的自衛権行使について政府は「限定的」とするが、仲里さんは状況次第でどこまで拡大するか分からないとみる。若い世代を念頭に「自衛隊が戦場に行くことになって除隊者が相次げば、いずれ徴兵制になる。全国の若い人は自分の問題と考えてほしい」と強調した。

長崎市で6月22日にあった集団的自衛権行使容認に反対する集会。被爆者の土山秀夫・元長崎大学長(89)は「行使を認めれば、日本は米国の参戦要請に『ノー』と言えない。少子高齢化で兵隊が足りなければ、徴兵制で動員される」と訴えた。

1945年8月9日、土山さんは母の疎開先の佐賀にいた。翌日に長崎に入り、長崎医科大付医専(現長崎大医学部)の医学生として廃虚の街で救護活動にあたり、自らも残留放射能で被爆した。

土山さんは、長崎原爆の日(8月9日)の平和祈念式典で長崎市長が読み上げる平和宣言の起草委員を務める。

平和の大切さと戦争の悲惨さを訴え続けてきたが、今、戦争準備に向けた動きが強まっている世相に映る。

「悔しいし、若い世代にもっと危機感を持ってほしい。自分自身や、自分の子供、孫の世代に降りかかる問題なのだから」。体力は衰えているが、被爆者の高齢化で体験の継承が難しくなる中、今こそ自らの役割が重要だと思っている。

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