集団的自衛権報道を吹き飛ばした 謀略の「北朝鮮制裁解除」

 安倍首相が3日、北朝鮮に対する独自制裁の一部解除を発表したことで、メディアの報道は「北」一色だ。
「北朝鮮が生存者リストを提示」と日経新聞がスクープしたことも騒ぎを大きくし、「何人帰ってくるのか」などとテレビを中心に色めき立っている。
さっそく拉致被害者家族に取材をかけ、「今回はこれまでと違う」「拉致問題はこれで動く」というコメントを流していた。

「北朝鮮報道で、集団的自衛権のニュースは完全に吹っ飛んだ。安倍官邸の狙い通りですよ」(自民党関係者)

拉致問題の解決に水を差すつもりはないが、今回の安倍首相の前のめりな制裁解除には、集団的自衛権への批判をかわし、落ち始めた支持率を回復させる狙いが見え隠れする。

■不支持率40%台まで上昇

1日に集団的自衛権の行使容認が閣議決定された後、メディアはその中身を報じるだけでなく、文言の曖昧さや戦争をする国になる懸念を論じていた。官邸前のデモは続き、憲法改正の手続きを経ない解釈変更に、世論の反発は依然、根強いものがあった。


1、2日に実施した共同通信の世論調査では内閣支持率が4・3ポイントも下落したうえ、不支持率は第2次安倍政権初の40%台まで上昇。行使容認への反対は54・4%で、半数を超えていた。このまま集団的自衛権に関する報道が連日続けば、支持率がさらに下落するのは間違いなかった。

「だから閣議決定が日朝協議と同日の7月1日になったんですよ。当初は安倍首相の外遊直前の7月4日といわれていましたからね。前倒しは安倍官邸の強い意向でした」(前出の自民党関係者)

いつもは応じない官邸でのぶら下がり取材で、安倍首相自ら制裁解除の方針を明らかにしたところにもわざとらしさが漂う。

政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言った。

「評判のよくない政策の発表などを他のイベントにぶつけてメディアの報道スペースをコントロールしていくのは、権力側の常套手段です。安倍さんが集団的自衛権の行使容認の検討を記者会見した5月15日、国会では介護保険の改悪法案が強行採決されていました。しかし、集団的自衛権の報道にかき消された。今回はそれと同じことを、日朝協議を使ってやったといえます。小泉政権以来、『北カード』は支持率対策の道具として使われてきていますしね」

覚醒剤取締法違反に問われているASKAの保釈が3日夕方にずれたのも、何だか怪しい動きにみえてくる。

こうした安倍官邸のメディア操作が進む裏で、政府は今月14日にパリで開催される革命記念日の軍事パレードに、初めて陸自隊員の派遣を決めた。国民が知らない間に、この国は軍事国家への道を歩み始めている。

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