沖縄では今、中国をにらんだ動きが目に見える形で進んでいる。

米軍嘉手納基地に今年1~4月、最新鋭のステルス戦闘機F22が配備された。昨年の配備期間は10カ月。ほぼ常駐に近い状態だ。潜水艦を追う哨戒機も最新型のP8Aへの更新が進む。

米軍だけではない。航空自衛隊は沖縄配備のF15戦闘機を今の1個飛行隊(約20機)から2個飛行隊に倍増させる計画で、自衛隊と民間が共用する那覇空港では沖合に新滑走路をつくる工事が始まった。陸自も離島への部隊配備の計画を進めている。

空自幹部はこう語る。「中国軍の近代化が進んでいるといっても、まだまだ勝負にならないレベル。今のうちに手出しされない態勢をつくらなければ」

戦後、沖縄に基地を築いた米軍はここを「太平洋の要石」と呼んで、ベトナムや中東など世界各地への展開拠点としてきた。その役割は、前線に部隊を送り込む後方拠点の側面が強かった。

集団的自衛権の行使容認で、日米の軍事的一体化が進むのは間違いない。日米が中国に向き合う時、沖縄はもはや後方ではなく、最前線だ。沖縄からみれば、本土の安全保障のために、自分たちだけが、米軍や自衛隊と最前線で同居する危険をかぶることにほかならない。

「70年も戦争がなかった本土の人にとって、平和は当たり前に存在するものかもしれない。だが、沖縄にとって戦争は過去のものではないんです」。嘉手納基地がある沖縄県嘉手納町の宮城篤実・前町長はそう話す。実際、沖縄では米国での同時多発テロ後、本土からの観光客が激減し、米軍基地では日本人警備員も銃の携帯を義務づけられた。

閣議決定後の会見で安倍晋三首相は「国民の命と平和な暮らしを守り抜く」と語った。だが、沖縄の人たちもまた国民であるはずだ。

米軍に守ってもらうが米軍を守ることはできない。その片務性の代わりに、在日米軍に基地を提供するのが、これまでの安保体制だった。集団的自衛権の行使容認で、片務性は解消されるはずなのに、今度は「日米一体運用」の拠点として沖縄の基地は維持される。

沖縄の自衛隊の軍事的役割は強化され、沖縄ばかりに負担を強いる構図は変わらない。

軍と行動をともにするなかで多くの民間人が犠牲となり、県民の4人に1人が死亡した沖縄戦から間もなく70年になる。住民を犠牲にする施策は安全保障とは言わない。

日米の役割を具体的に定める日米防衛協力の指針(ガイドライン)は年末をめどに改定される。沖縄をまた捨て石にすることは許されない。=おわり

(西部報道センター長)