平和どこへ:集団的自衛権・私の意見 日本エッセイスト・クラブ会長、村尾清一さん

毎日新聞 2014年07月13日 東京朝刊

村尾清一・日本エッセイスト・クラブ会長=東京都杉並区で2014年6月30日、中村藍撮影
村尾清一・日本エッセイスト・クラブ会長=東京都杉並区で2014年6月30日、中村藍撮影

 ◇戦前への「逆コース」−−村尾清一さん(91)

今の日本は太平洋戦争前の1935(昭和10)年前後の雰囲気に似ていると感じる。当時を知らない人は物がなくて大変だったと思うかもしれないが、長い不況を抜け、映画や流行歌、「カフェー」など退廃的といわれたような娯楽もあって、楽しい時代だった。そして国民は、一種の娯楽のように満州事変以降の「戦勝」のニュースにわいていた。

今はどうか。バブル崩壊後の長い不況に飽き飽きした日本人が、アベノミクスという経済政策を支持し、五輪やサッカーに夢中になっている。一方で政府は特定秘密保護法を成立させ、集団的自衛権の行使容認を決めた。気がついたときには日本は再び「戦前」にいるのではないか。

僕は東大在学中の43年に学徒出陣し、2年間軍隊にいた。戦争が起きれば、戦場で血を流すのは若い世代だ。日清、日露戦争は主に明治生まれの人たち、太平洋戦争は主に大正や昭和の初めの生まれの人たち。今後、戦争に巻き込まれれば、平成生まれが戦地に行く。そういう時間軸で、今起きていることを考えてほしい。

敗戦後、僕は新聞記者になった。日本は米国的な民主主義で自由な国になったと思ったが、50年に朝鮮戦争が起きると警察予備隊(自衛隊の前身)が発足し、戦犯が釈放されるなど揺り戻しの動きが出た。僕はそれを新聞記事で「逆コース」と批判したが、今の安倍政権は、また逆コースを進んでいるかのようだ。【聞き手・五十嵐和大】=随時掲載

==============

■人物略歴

 ◇むらお・きよかず

香川県出身。読売新聞社会部記者、取締役論説委員を経て現職。1981年度日本記者クラブ賞受賞。

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out /  Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out /  Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out /  Change )

Connecting to %s

%d bloggers like this:
search previous next tag category expand menu location phone mail time cart zoom edit close