5月上旬、米フロリダ州のエグリン空軍基地。灰色をした滑らかな流線形の機体が、次々と離着陸を繰り返していた。日本が次期戦闘機に指名した最新鋭のステルス戦闘機F35。米軍パイロットは「攻撃も飛行状態の確認も自動化されている。局面を変えることができる戦闘機だ」と語る。

テキサス州フォートワース。ロッキード・マーチン社の工場では、数十機のF35を生産中だった。

既に101機のF35が米国防総省に納入済み。2016年に220機、18年には428機まで増える。将来は日、韓、イスラエルを含む12カ国に3千機余りが配備される。日本は42機導入する方針。関連経費は総額1・6兆円になる見通しだ。

2000年代初めに始まったF35の国際共同開発には米英など9カ国が参加。防衛省の元幹部によれば、日本にも共同開発の打診があったが、即座に断った。日本製部品を輸出することを伴い、武器輸出三原則に反するためだ。日本は今、F35の生産に関与しようと必死だが、十分な成果はあげられていない。

昨年、政府は、紛争当事国のイスラエルに部品が流れる懸念に悩みつつ、旧三原則の例外としてF35の部品輸出を認めた。政府関係者は「F35の組み立て工場を、日本以外のアジア太平洋地域に作らせたくなかった」と語る。決定済みの工場設置国は米日伊のみ。地域の同盟国として日本の重要性をアピールしつつ、少しでも多くの技術情報を得たいとの思惑がにじむ。

だが、ロッキード社のマリリン・ヒューソン最高経営責任者(CEO)は「詳細は米政府が決めることだ」と語る。日本がF35の後部胴体の生産を担う見通しだが、日本が得る情報は限られそうだ。日本の工場は整備や修理も行うが、その範囲は決まっていない。

さらに、配備されたF35のうち、動かせる機数はロッキード社との契約で決める。国際協力で整備するため、自衛隊独自で責任を負いきれないからだ。日本政府関係者は「極論すれば、F35を主力とするすべての国は、米国とは戦争できないということだ」と語る。

自衛隊がF35を使う今後30年以上、日本の安全保障の中核を担う戦闘機の主導権を米国が握ることになる。日本政府内には「安全保障で米国の言いなりになりかねない」と指摘する声もある。(エグリン=渡辺丘、機動特派員・牧野愛博)

 

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