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2014年7月14日
万歳する三日月氏(中央)と嘉田知事(中央左)/(C)日刊ゲンダイ
「安倍政権が閣議決定で憲法解釈を変え、集団的自衛権の行使を容認した直後の大型選挙ということで注目されていました。滋賀県は、嘉田由紀子現知事が脱原発の先頭に立ってきたという土地柄でもある。その嘉田知事から後継指名を受けた三日月氏か、原発を推進する経産省出身の小鑓氏かという争点もありました。国政選挙がしばらくない中で、安倍首相が進める政策に対する信任投票の意味合いがあり、選挙結果は国政に直結する。自民党にとっては、絶対に負けられない選挙だったのです」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
「石破幹事長は3回も現地入りし、巨額の公共事業バラマキをチラつかせたり、企業を個別に回って『応援しないと大変なことになる』と脅しをかけたり、アメとムチで票を固めていました。しかし、集団的自衛権の閣議決定を境に、ガラリと空気が変わりましたね。安倍政権の強引な手法に対する怒りや不安が有権者を突き動かした。滋賀の良識層の声が『反・安倍政治』でまとまり、自公の組織選挙を打ち負かしたのです」
告示前の自民党調査では、自公候補が11ポイント差でリードしていた。ところが、選挙戦が進むにつれて、どんどん差が縮まり、ついには逆転。閣議決定後に苦戦を聞いた安倍首相は、「どーなってるんだ!」と党幹部を怒鳴りつけたという。自分で原因をつくっておいて、八つ当たりもいいところだが、安倍首相もこの知事選の重みだけは分かっていたということだ。
自民サイドは40~42%程度とみていたから、こちらも大誤算。増えた無党派層の票はほとんど三日月陣営に流れたとみられる。
それにしても、この選挙結果には安堵する。
もし、与党候補が勝っていたら、安倍首相は「信任された」と大きな顔をし、「集団的自衛権は国民の理解を得た」「原発も再稼働」と、ますます暴走を加速させていただろう。それを思えば、この国の民主主義は、なんとか首の皮一枚つながったのだ。
「これで安倍政権が暴政を改めなければ、地方選挙で連敗です。安倍首相の主義主張や強引な政治手法に対しては、自民党内にも異論がある。それでも黙って支えているのは、一にも二にも支持率が高くて選挙に勝てるからという理由です。もし知事選で3連敗すれば、民意は政権に『NO』ということになる。党内からも安倍降ろしの声が上がり始めるでしょう。そうなると、またストレスから体調を崩してしまわないか心配です」
再びの政権放り出しもあるかもしれない。
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