2014年7月16日05時00分
集団的自衛権の行使を認めた閣議決定以降、初めて安倍晋三首相と野党が相まみえた2日間の国会論戦。浮かび上がったのは、巨大与党がいったん決めてしまうと、その後はチェックしきれないという「一強国会」の現実だ。▼1面参照
「総理、国民の理解は進んでおりませんよ。悪いのは、与党だけの協議で閣議決定という進め方だ」
15日の参院予算委員会の集中審議で迫ったのが、日本維新の会の片山虎之助国会議員団政調会長(78)。維新は行使を容認する立場だが、国会の議論をおろそかにしたまま突き進む首相の手法を疑問視した。
「基本は立憲主義。憲法解釈は憲法改正の発議権を持つ国会でまず議論する。その後ですよ、内閣は」
自民党・小泉政権で参院幹事長を務め、首相にとっては先輩格。国会で丁寧に説明し、国民に理解を求めよ――。首相にこんな当たり前のことを助言した。
だが、首相は「国会審議に耐えうる法案をつくっていきたい」とかわした。
政権を担った経験が足元を縛っているのは、野党第1党の民主党も同じだ。
「国民は、解釈変更の強引さに不安を持っている。私は『水を差す』つもりでここに立っている。もっと大きく水を差したのが(与党候補が落選した13日の)滋賀県知事選だ」
民主党の福山哲郎元外務副大臣は、保守の論客、山本七平氏の言葉を引き合いに、「空気の支配」にブレーキをかけるための「水」の役割が民主党であり、世論だと主張した。
民主党には、特に外務と防衛の政務三役を務めた議員に限定的な行使は認めざるを得ない、という意見がある。外相を務めた前原誠司氏、防衛副大臣を務めた長島昭久氏らは典型で、行使に慎重な議員との溝は深い。海江田万里代表自身、14日の衆院の集中審議前には「現時点で行使は必要ない」と対決姿勢を強調する意向を示していたが、実際には説明しなかった。
野党の迷いが、国会の弱体化に拍車をかけている。政権への不安を抱く国民世論を広く糾合できる野党は現れるのか。野党がこのまま無力な国会でいいはずがない。(松村愛)
■野党の集団的自衛権を巡るスタンスと、集中審議の論点
◇民主党
《賛否》現時点では行使不要
《追及した論点》国会無視だ/新3要件は「歯止め」にならない/自衛隊員の命のリスクが高まる
《賛否》限定的な行使を容認
《追及した論点》機雷の掃海は武力行使ではないのか/憲法問題は国会でまず扱うべきだ
《賛否》慎重
《追及した論点》過去の憲法解釈とあまりに違う/なぜ公明党の太田国交相は閣議決定に署名したか
◇次世代の党
《賛否》限定的な行使を容認
《追及した論点》政権の方針を評価/立憲主義違反にはあたらない
《賛否》限定的な行使を容認
《追及した論点》行使が抑止力向上につながるのか/「密接な関係がある国」は米以外にどこか
◇共産党
《賛否》反対
《追及した論点》侵略戦争に加担することにならないか/自衛隊が攻撃される危険性が高まる
◇生活の党
《賛否》反対
《追及した論点》衆院を解散し、行使の是非を問うべきだ
◇社民党
《賛否》反対
《追及した論点》自衛隊員が血を流すことにつながる/徴兵制につながるのか
◇新党改革
《賛否》限定的な行使を容認
《追及した論点》軍拡につながらないよう監視が必要だ
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