いのち守れるか:原子力防災の課題 再稼働可否、自治体意向 48市町「30キロ圏聞け」−−毎日新聞調査

毎日新聞 2014年07月19日 東京朝刊

 毎日新聞が国内全16原発の30キロ圏の市町村に実施したアンケートで、再稼働に意向を反映させるべき市町村の範囲を尋ねたところ、「30キロ圏」と答えたのは48市町で、「立地自治体」とした18市町村を上回った。また再稼働にあたり、計40市町村は国が責任を持って判断すべきだとした。【狩野智彦、奥山智己】

毎日新聞は6〜7月、30キロ圏の全135市町村に聞き、134市町村が回答した。

政府は原発の再稼働に必要な地元同意の範囲を示していない。九州電力川内原発1、2号機については、実質的な再稼働の判断は電力会社と立地自治体に委ねられる状況となっており、政治判断はしない方針。

アンケートでは、範囲を「30キロ圏」と答えた48市町のうち36市町は、30キロ圏が避難計画作成など防災対策を重点的に充実すべきだとされるUPZ(緊急防護措置区域)であることを理由に挙げた。

68市町村は「その他」「無回答」だった。

 ◇「周辺住民にも配慮して」

川内原発から南に約8キロ。鹿児島県いちき串木野市羽島地区は東シナ海に面した半農半漁の小さな集落だ。6月初旬、地区に住む元教員の冨永優(まさる)さん(83)は、隣の薩摩川内市にある川内原発の再稼働に反対する署名用紙を手に、集落を一軒一軒訪ねていた。

旧川内市に原発計画が浮上したのは1960年代。旧串木野市の羽島地区では反対の声が強く、冨永さんは仲間と川内市内で反対運動を繰り広げた。「海が汚染されると思った」。頭にあったのは、54年にアメリカの水爆実験で被ばくしたマグロ漁船「第五福竜丸」事件のことだった。周囲には漁業で生計を立てている人も多く、人ごとと思えなかった。

しかし、84年に1号機の運転が始まり、串木野市民も雇用などで恩恵を受けるようになると、原発反対の声を上げる人たちは減っていった。再び表立って反対の声を上げる人たちが増えてきたのは、福島第1原発事故の後だ。「絶対再稼働はいかんぞ」。用紙を手渡すと、そう言いながら署名する人たちがいた。

原発からいちき串木野市までは最短で約5キロ。有志によって集められた署名は、同市の人口(約3万人)の半数を上回る1万5464人分に上り、6月24日、市長宛てに手渡された。だが、市民の過半数が反対しても、現状では同市が再稼働判断に関与できそうにない。再稼働に前向きな伊藤祐一郎知事が県と薩摩川内市の同意で足りるとの姿勢を崩していないからだ。

福島の事故は、被害が立地自治体にとどまらないことを明らかにした。

「なぜ再稼働を急ぐのか。周辺住民の意見も聞くべきだ」と冨永さんは憤る。【杣谷健太】

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30キロ圏市町村アンケートの結果はこちら。

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