余録:「戦争とは他の手段をもってする政治の継続である…

毎日新聞 2014年07月23日 東京朝刊

 「戦争とは他の手段をもってする政治の継続である」は軍事理論家、クラウゼビッツの言葉だが、これを受けて毛沢東は述べた。「政治は血を流さない戦争である。一方、戦争は血を流す政治だ」▲戦争を政治の手段としてはならないはずの21世紀にあっても近年、この言葉を思い起こさせる事態が世界のあちこちで続発しているのはどうしたことだろう。マレーシア機撃墜事件もまた古典的な「戦争」とはいえなくとも、「血を流す政治」が生んだ惨事であった▲世界の耳目を集めたこの事件と時を同じくしてイスラエル軍がガザへの地上侵攻を開始、8日からの空爆によるものも含めパレスチナ側の死者は600人を超えたという。うち子どもの死者は120人を超えるとみられている。これも「血を流す政治」の帰結である▲イスラエル側に言わせればイスラム原理主義組織ハマスによるイスラエル領内へのロケット弾攻撃への自衛行動というガザ攻撃である。ハマスへの国内の強硬世論の高まりのなか、流血に対する国際社会の反応を見切っての武力行使はまさに「政治」そのものだろう▲だがその非道(ひどう)を糾弾するハマスも市民の避難を阻止するなど、とても民間人の流血を抑えようとしているとは思えない。停戦仲介を急ぐべきエジプトや米国、国連を含め、すべての関係者がまるで流血の許容限度を探り合っているかのような政治の冷酷が腹立たしい▲子どもたちの血が理不尽(りふじん)に流されるところ、憎悪と敵意の連鎖はとぎれることなく、地域の安定や一国の安全は求めるべくもない。すべての関係者が直ちに立ち返るべき「流血を止める政治」だ。

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