安倍政権が、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備中の新型輸送機オスプレイを、佐賀空港(佐賀市)に移転させる計画を明らかにした。

沖縄では米軍統治下、強制的に基地がつくられ、本土の基地が移ってきた。復帰42年の今も、全国土の0・6%の沖縄に米軍基地の74%が集中する。

軍用機の事故や騒音、米軍兵士らによる事件、事故に脅かされ続ける沖縄県民に、これ以上過重な負担は強いられない。

これまで政権は、地理的な条件などを理由に、沖縄県内への移設を唯一の選択肢としてきた。一時的とはいえ、県外への移転も可能だという認識を自ら示した意味は重い。

しかし、今回の計画には数々の疑問が浮かぶ。

まず背後に、11月の沖縄県知事選対策という政権の意向が透けて見える。

知事選では、普天間飛行場の県内移設を容認する現職の仲井真弘多(なかいまひろかず)氏と、反対する那覇市長、翁長雄志(おながたけし)氏の立候補が見込まれる。

容認派の仲井真氏が敗れれば、政府が進める名護市辺野古への県内移設は頓挫しかねない。県民の反発を和らげるために、政権は基地負担軽減を必死でアピールしている。

空中給油機15機の普天間から岩国基地山口県)への移駐や、都道府県を対象にした米軍再編交付金の浮上も、知事選を見据えた動きの一環だろう。

一方、今回の計画は沖縄の負担軽減につながるものではない。辺野古に基地が完成すれば、オスプレイは沖縄に舞い戻ってしまう。

もともと陸上自衛隊は、2015年から17機のオスプレイを佐賀空港に配備する検討をしていた。今回の移転案は、そのプランに便乗した、その場しのぎの計画と言わざるをえない。

佐賀空港建設前、県が地元漁協と交わした公害防止協定の関連文書で、空港を自衛隊と共同使用しないとしており、陸自の計画も簡単に進む保証はない。

事故を繰り返したオスプレイの安全性への疑問も、消えていない。低周波騒音も心配され、住民の反発は根強い。

さらに、これまで県外移設に強い難色を示してきた米軍に対し、説得できる見通しを日本政府は持ち合わせているのか。

政権が本気で沖縄の負担軽減に取り組むのなら、辺野古に新たな基地はいらない。選挙向けのパフォーマンスで終わらせないよう、計画を県外移設への一歩と表明し、佐賀県や米国との真剣な交渉に臨むべきだ。