『ふたつの”抑止力” ~~安倍内閣とアジア諸国のちがい』

2014年8月21日
池住 義憲
(末尾に大学聴講案内&講演会予定あり)

■安倍内閣が考える 「抑止力」

安倍首相は7月1日の集団的自衛権行使容認の閣議決定をした直後、記者会見で「万全の備えをすること自体が、抑止力だ。今回の閣議決定で、日本が戦争に巻き込まれる恐れは一層なくなる」、と述べました。

「万全の備え」とは、「日米同盟の抑止力を向上させること」(閣議決定文)です。日本と米国の軍事協働の実効性を高めることが、日本の安全、アジア・太平洋地域の平和と安定をもたらす、というのです。「軍事力」イコール「抑止力」という考え方です。

過去の事実(歴史)を振り返ってみましょう。19~20世紀に起こった戦争は、すべて、軍事力を持ち軍事力を増強していた国によるものでした。いずれも、”自衛権の正当な行使”と称して。

そして、各国が軍事力を増強すればするほど、戦争抑止どころか戦争を拡大・長期化させ、悲惨な状況を生じさせ続けてきました。

21世紀に入って米国が起こした対テロ戦争(アフガニスタン報復戦争、イラク侵略戦争)は、軍事力保持と軍事力行使が平和の到来をいかに遠のかせているか、を如実に示しています。軍事力行使という解決方法をとった結果、更なる悲劇、分裂、対立、混乱をもたらしています。

軍隊を持たない国は、世界193ヵ国中、29ヵ国(憲法で軍隊を保持しないと明言している日本とコスタリカ、パナマを含めて)。軍隊を持たない国は、みな、一度たりとも戦争を起こしたり、起こされたことはありません。

■アジア諸国が考える「抑止力」

アジア諸国が考える「抑止力」は、まったく異なります。8月9日ビルマの首都ネピドーで行われたASEANプラス3(日中韓)外相会議で、”不戦条約”構想に賛同する議長声明が出されました。構想文には、「他国に対する武力による威嚇あるいは武力の行使の放棄」が明記されています。憲法9条そのものです。

”不戦条約”構想、正確には「インド・太平洋友好協力条約」構想で、インドネシア政府が提案しました。ASEAN10ヵ国と日本・中国・韓国・米国・ロシア・インドなど計18ヵ国が、互いに武力行使放棄の「法的義務」を負う、としています。

構想の基礎となっているのは、「東南アジア友好平和条約」(TAC、1976年、日本は2004年に加入)と東アジア首脳会議宣言(バリ宣言、2011年)。ネピドーでの議長声明は、この二つの精神を発展させ、地域はインドと太平洋地域に広げ、内容も武力行使放棄の「法的義務」を負うところまで踏み込みました。(注1)

「戦争に巻き込まれない」という次元で対応するのでなく、「戦争を起こさない」「起こさせない」ためにはどうしたらいいかという次元での対応と決意です。対立・緊張があっても、いやあるからこそ、予防外交、軍事力不行使による平和的解決を目指す。そのために信頼醸成を積み重ねる。地域の平和と安定を守り維持していく仕組みはこれがもっとも効果的だ、とする考え方です。

■私たちの選択は?

国際的に法治主義遵守がより尊重されている国際社会にあって、「軍事力」イコール「戦争抑止力」と考えるか。または、「予防外交力/平和外交力」(軍事力不行使による紛争解決)イコール「戦争抑止力」と考えるのか。どちらを選択するのか。

来年(2015年)5月連休明けに、安倍政権は、7/1閣議決定を踏まえて、自衛隊法・武力攻撃事態法・周辺事態法・国民保護法・PKO協力法など20近くの法律改正案を通常国会に一括提出、一括審議する予定です。

国のかたち・在り様を根底から変える動きが急速化しています。今年11月16日の沖縄県知事選、来年4月の統一地方選、2016年7月の次回参院選と2016年12月以前には必ず行われる次回衆院選。それぞれが、途轍もなく大きな意味を持っています。

以上

(注1) TACについては、2009年4月メール通信「二つの軍事的対応、二つの『非』軍事的対応」で書きまとめあります。ご希望の方はご一報ください。お送りします。 → ikezumi@mtb.biglobe.ne.jp

(注2) 今回の安倍内閣による集団的自衛権行使容認の7/1閣議決定に対する私の9つの怒り、項目だけですが参考まで以下に列記。詳細は8/30豊田市でも講演会(下記)で!

<私の怒り(プロテストするエネルギー)>
1) 私の平和的生存権が侵害!
2) 立憲主義が否定!
3) 不戦/非戦の誓いが崩れる!
4) アジア・太平洋地域の人々への裏切り!
5) 憲法99条違反の行政権行使、民意に反する行政権行使!
6) 「万全の備えをすることが抑止力だ」というウソ!
7) 詭弁を弄した誤魔化し!
8) 非現実的事例を持ち込むことによる「テニヲハ論」への導入!
9) 実質審議より選挙日程重視で決める”審議”日程!

*     *     *

<以下は、大学聴講案内&講演会予定です>
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【立教大学大学院 聴講案内】
●9月24日(水)から秋学期開始です。私にとっての最後の学期になります。9月24日はオリエンテーションで今期の内容概要・予定などを話し合いますが、それに加えて、その時の社会状況に応じてた様々な問題・課題について語り合います。
●場所は、立教大学池袋キャンパス6号館4階6409教室。時間は13:15~16:30(途中14:45~15:00休憩)。
●資料印刷の都合上、聴講希望・予定の方は池住(ikezumi@mtb.biglobe.ne.jp)まで事前に連絡していただけると助かります。また、詳細要項送付希望の方もご一報ください。添付ファイルでお送りします。
●9月24日以降の予定は、次のとおりです。
10月 8日(水)13:15~14:45 ”北朝鮮”訪問報告とそれに関連した話し合い(池住義憲)
15:00~16:30 非暴力トレーニングの思想と実践1(大畑豊さん招いて)
10月29日(水)13:15~14:45 10/26福島県知事選結果&臨時国会状況を読み解く!
15:00~16:30 非暴力トレーニングの思想と実践2(大畑豊さん招いて)

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【講演会予定】 *主要なもののみ

●8月30日(土) 13:30~15:40(講演は14:30ころから)<愛知県豊田市>
第27回豊田市「平和を願う戦争展」特別講演
場所:豊田産業文化センター 多目的ホール
(名鉄「豊田市」駅 西へ200m)
テーマ:「戦争する国にしたくない!」
備考: 講演の前(13:30~)には、大型紙芝居『忘れないで8月7日~豊川海軍工廠の惨劇』などがあります。 入場無料。

●9月13日(土) 13:15~16:45 <愛知県名古屋市>
次世代のNGOを育てるコミュニティ・カレッジ2014 第一回講座
場所:ウイルあいち 愛知県女性総合センター
(地下鉄「市役所」駅2番出口 東へ徒歩10分)
テーマ:「NGOとは何か ~役割、歴史、”N”の意義」
備考:参加に関する問い合わせは直接「名古屋NGOセンター」(電話052‐228-8109)

●9月22日(月・祭)18:00~20:00 <東京都千代田区>
第83回国際人権に関する研究会
場所:弁護士会館14階1401会議室
(地下鉄丸の内線/日比谷線/千代田線「霞が関」駅B1‐b出口より直通
テーマ:「国際人権とTPP」
備考:入場無料。 詳細問い合わせは日本弁護士連合会企画部国際課(電話:03-3580-9741)

●9月28日(日) 12:15~14:15 <兵庫県神戸市>
日本基督教団神戸教会 人権学習会
場所:日本基督教団神戸教会
(地下鉄「県庁前」駅西へ150m)
テーマ:未定(平和と人権、世界・アジアとの相互協力/共生に関する内容です)
備考:入場無料
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