毎日新聞 2014年12月02日 東京夕刊

◇アベノミクス選挙だ−−自民・安倍晋三総裁
福島の復興なくして日本の再生なしとの基本姿勢で復興に全力を尽くしてきた。道半ばだがしっかりと復興を加速化することを誓う。復興を進めるためにも日本の経済を強くしなければならない。
アベノミクスが問われる選挙だ。雇用を増やし、給料を増やし、収入を増やすのが私たちの経済政策だ。有効求人倍率は22年間で最も高い水準にある。2%の賃上げは15年ぶりのことだ。間違いなく良くなっている。これを全国に届けるのがこれからの仕事で、景気回復の暖かい風を全国に届ける決意だ。地方の良さを生かした地方創生を進めたい。
消費増税は18カ月延期を決めた。税制で大きな変更をする以上、国民に信を問うのは当然だ。15年苦しんだデフレから脱却するチャンスを手放すわけにはいかない。何としても勝ち抜きたい。(福島県相馬市で、2日午前10時半)
◇危うい政権に審判を−−民主・海江田万里代表
今度の選挙の狙いは、政治とカネの疑惑隠しと、アベノミクスの失敗隠しだ。安倍政権の2年間で本当に皆さんの暮らしが良くなったのか。首相は景気が良くなったと言っているが、それは一握りの人たちの話だ。額に汗して働く人たちが主人公であり、この人たちを分厚くしていくことこそが日本経済の発展にとって重要だ。
安倍政権の危うさに対して審判を下さないといけない。特定秘密保護法は国民の声を聞かず、強行採決で成立させた。集団的自衛権の閣議決定もしかりだ。こんなやり方を許していいはずがない。
首相は原発事故がなかったかのようなふるまいで再び原発をどんどん動かそうとしている。一体、皆さんのあの思い、経験は一体何だったのか。一票一票がこれまでの流れを変えるチャンスだ。今こそ流れを変える時だ。(福島県いわき市で、2日午前9時半)
◇成長へ既得権益打破−−維新・江田憲司共同代表
今回の解散は、安倍晋三首相自らの延命を考えただけの「国民そっちのけ解散」だ。政治とカネの問題も起きた。政治不信がまん延している。既得権益のない維新だけが国民本位の身を切る改革を断行できる。国会議員の定数と給料を3割、公務員の25兆円の人件費を2割削減する。
給料は上がったか。全くその逆だ。増税前に本格的な景気回復を成し遂げ、賃金・給料を上げて国民生活を向上させる。アベノミクスは何の新味もない。金融緩和は失速、財政出動はばらまきとなり、肝心な成長戦略・規制改革の矢は飛んでいない。
経済成長のエンジンを噴かせるために既得権益を打破していく。農業では減反を廃止し、株式会社を新規参入させていく。将来、電力の自由化で、市場メカニズムによって自然に原発は淘汰(とうた)されていく。(横浜市西区で、2日午前10時半)
◇軽減税率へ後押しを−−公明・山口那津男代表
経済再生、デフレ脱却の道をさらに強くする。推進できるのは自公連立政権しかない。今回の選挙は政権選択の選挙だ。
安倍政権の2年間で株の値段が倍になった。設備投資を行う企業も増え、倒産は減った。経済は明らかに良くなっている。しかし、その実感が皆さんに伝わっていない。賃金の上昇が物価の上昇に追いついていない現状を丁寧に見て、消費税率10%への引き上げを1年半延期した。賃金を来年も上げ、再来年も上げる。物価に追いつき追い越していく。このような経済の進め方を我々に任せていただきたい。
消費税率を10%に上げる時には、国民が安心して消費できるように軽減税率を導入することが自公の約束だ。幅広く消費者の負担感を軽くする軽減税率を、国民の後押しを得て、ぜひ実現したい。(横浜市旭区で、2日午前9時46分)
◇国を引っ張り上げる−−次世代・平沼赳夫党首
いよいよ総選挙の幕が切って落とされた。次世代の党は三つの基本理念を決定した。
一つは、自立だ。慶応義塾大学を作った福沢諭吉翁が「一身の独立なくして一国の独立なし」と喝破された。今の日本は果たして自立しているか。独立と自立は同じだ。安全保障一つをとっても考えなければならない。個人が自立し、国家が自立して初めて日本というものが成り立つ。
第2の理念は、新保守だ。戦後の保守は本当の保守だったか。新保守として改革すべき改革は大胆にし、長い歴史、伝統、誇るべき文化、守るべき大切なものは守っていく。
三つ目は、党の名前でもある次世代だ。子や孫、その先に責任を持って行動していかなければならない。
我々は是は是、非は非で、この国に必要なことには賛成し、引っ張り上げてやっていく。(岡山県津山市で、2日午前9時55分)
◇消費税は景気破壊税−−共産・志位和夫委員長
安倍政権に暴走ストップの審判を下し、政治を変える絶好のチャンスがやってきた。
政治の転換を訴えたい。消費税10%への増税を中止することだ。消費税は消費を直接冷やす景気破壊税だ。格差拡大のアベノミクスもストップさせる。首相は賃金が上がったと自慢するが、実質賃金は15カ月連続でマイナスで、増えたのは非正規雇用だけだ。労働者派遣法の改悪も中止する。若者を使いつぶすブラック企業を日本からなくしたい。海外で戦争する国造りも許さない。集団的自衛権の行使は国を守ることでも、国民の命を守ることでもない。海外で戦争する国造りだということが明瞭となった。原発再稼働をストップさせ、沖縄の新基地計画を中止していく。
比例で650万票以上を獲得し、小選挙区での勝利のために全力を挙げる。(東京都新宿区で、2日午前10時10分)
◇自由競争優先に反対−−生活・小沢一郎代表
生活の党は「国民の生活が第一」という政治理念を掲げており、自由競争を優先する安倍政権の考え方とは根本的に違う。
非正規雇用が40%を占めるのに、政府は一層拡大しようとしている。若者が結婚や子供を産み育てることができない現状があり、非正規雇用に限度を設けるべきだ。非正規労働者でも同じ賃金を得る「同一労働同一賃金」を実現しなければならない。そうでないと個人消費も増えず景気はよくならない。
農業分野では、米価が急落し、農家が意欲を失っている。日本は主要穀物で自給できるはずだ。戸別所得補償制度導入を訴えたい。これは単なる補助金ではなく、生産性を上げながら市場の価格に追いつかない場合は補填(ほてん)するということだ。
セーフティーネットをきちんと充実させ、国民生活を安定させていく。(1日、日本記者クラブの党首討論で)
◇格差の是正を求める−−社民・吉田忠智党首
この2年間の「安倍政治」が問われる選挙だ。国民に背を向けた政治が進められてきた。社民党は四つの課題で戦う。地方や中小企業など多くの国民は、アベノミクスによる景気回復を実感していない。本質的な問題点を指摘し、格差の是正を求める。
集団的自衛権の行使を許さず平和憲法を守る。一内閣の判断で(憲法解釈を)変えることは立憲主義を否定する暴挙だ。三つ目は脱原発だ。(政府の)避難計画はまったく具体性がない。新たな安全神話のもとで原発を進めることは許されない。
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が合意されたら日本の農業はひとたまりもない。医療や雇用、食の安全、国民生活に関わる多くの分野に甚大な影響が及ぶ。資本主義の誤りやひずみを正し、平和憲法をいかしていく社民党に力を与えてほしい。(大分県臼杵市で、2日午前9時20分)
◇「家庭ノミクス」を−−改革・荒井広幸代表
アベノミクスを評価している。成功させなければならない。アベノミクスを補強・強化する「家庭ノミクス」を訴える。年金、医療保険、介護保険を一つの制度にする。給湯器をエネファーム(家庭用燃料電池)に替え、光熱費を削減しながら、原発なき豊かな社会を作る。新党改革は脱原発を主張する明確な保守政党だ。小さくても大政党に具体的に提案し、一歩一歩前に進めたい。(東京都豊島区で、2日午前10時10分)