“発言は誤解招く” 大使を注意
岸田外務大臣は、日本の軍縮大使が国際会議で、「核爆発は、対応できないほどの悲惨な結果を招く」という専門家の指摘に対し、「少し悲観的な見方だ」などと発言したことについて、核兵器は二度と使用されてはならず、発言は誤解を招くとして、大使を注意したことを明らかにしました。
今月8日にオーストリアで開かれた核兵器に関する国際会議で、日本政府の代表として出席した佐野利男軍縮大使は、「核爆発は、国際社会で対応できないほどの悲惨な結果を招く」という専門家の指摘に対し、「少し悲観的な見方だ。それよりもわれわれは核爆発が起きたときに現実的な人道支援が行えるよう、国際機関などを後押しすることを考えるべきだ」などと発言しました。
佐野大使の発言を巡っては、会議に参加していた被爆者らから「核兵器の使用を前提にしており、被爆国の代表の発言として不適切だ」などと反発する声が出ていました。これに関連して、岸田外務大臣は閣議のあと記者団に対し、「わが国は、人類に多大な惨禍をもたらしうる核兵器は二度と使用されてはならないという立場だ。結果的に誤解が生じたことは遺憾に思っている」と述べ、発言は誤解を招くとして佐野大使を注意したことを明らかにしました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken4_000157.html
核兵器の人道的影響に関する会議における佐野軍縮会議代表部大使の発言
【中国新聞 藤村記者】先週あった,ウイーンでの核兵器の人道的影響に関する会議なんですけれども,この会議の中の議論で核兵器の爆発が「対応できないほど悲惨な影響を招く」という意見に対して,政府代表の佐野大使が「少し悲観的すぎる」という発言をしました。これは政府と同一の見解なのかということと,これについて核被爆国がこういう発言をしたことで,核軍縮に水を差すとか,核被害を過小評価しているという被爆者からの反発もあるのですけれども,この受け止めについてもお願いします。
【岸田外務大臣】ご指摘の点につきましては,まず我が国の立場,我が国は人類に多大な傘下をもたらしうる核兵器には将来二度と使用されることがあってはならない,これが我が国の考えであり,立場であります。ご指摘のこの発言につきましては,結果的に誤解が生じたことについて遺憾に思っております。そして,私(大臣)から佐野大使に対して,発言には万全を期するよう注意を行いました。
我が国としては,今後も核兵器のない世界に向けて引き続き現実的かつ実践的な取り組み,積極的に進めていきたいと考えております。