過去に海外で起きた四つの邦人人質事件について、政府がどう向き合い、対応したのかを当時の政府高官たちの証言をもとに連載で振り返った。今回の過激派組織「イスラム国」による人質事件では、過去の教訓は十分に生かされたのか。また新たな課題として突きつけられたものは何なのか。連載の最後に考えた。

過激派組織「イスラム国」による人質事件のような危機にどう対応すべきなのか。これは世界的な課題となっている。

米国のオバマ政権はいま人質救出政策の見直しを進めているが、「身代金は支払わない」という方針に変わりはない。「理由は簡単だ。我々はほかの世界中にいる米国市民をもっと危険な状態に置きたくないからだ」(ホワイトハウスのアーネスト大統領報道官)。人質の人命より、新たな事件を誘発するリスクを重視している。

日本の場合はどうか。邦人保護に詳しい政府関係者によると、政府の人質救出政策の大きな考えは二つ。一つは、テロには屈しない。もう一つは、人命を最優先する。過去の人質事件の取材を通じ、当時の外交官らはこの二つのはざまで必死にもがいていたことが浮かび上がった。

元政府高官たちが口をそろえたのが、現地における情報収集の大切さであった。イラクキルギスでの人質事件のように、現地の外交官が日ごろから培ってきた地元関係者とのネットワークこそ、真価が試される。また、ペルー大使公邸人質事件をめぐる教訓として当時の内閣情報調査室のトップが指摘したように、他国の情報機関とどう連携を図っていくのかも重要な課題だ。

もう一つ、忘れてはいけないのが、人命尊重を最優先に対応してきた政府の姿勢であろう。ダッカ事件をめぐり、福田赳夫首相(当時)が「人の生命は地球より重い」と超法規的措置をとったことには賛否両論がある。しかし、石井一・元運輸政務次官はこれを後押ししたのは当時の世論にあるとして、「日本の世論は平和憲法のリベラルな影響を強く受けていることを痛感した」と述懐した。これから改憲論議が本格化する中、この言葉は重い。

安倍晋三首相が「積極的平和主義」を推し進めていくことで、外国から見る日本のイメージが変わりつつあることは間違いない。日本がこれからテロとの戦いにさらに深く関わるならば、邦人が人質事件に巻き込まれるリスクが高まることを覚悟する必要があるだろう。そのときに、日本政府は米国流の対応策をとるのか、それとも人命第一の道を追求するのか。

今回の「イスラム国」の事件では、他国の情報機関が提供した情報など明らかにできない事実もあるかもしれない。しかし、政府は「テロリストを利する」などと議論を封じていてはいけない。政府に不都合な部分も含めた徹底的な検証によってこそ、新たな危機対応を考えていくための教訓が得られるだろう。

(園田耕司)=おわり

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コメント:命は地球より重い。命は宇宙であり宇宙の歴史である。生物は皆約四十億歳(生命発生以来断絶することなく宇宙環境一切との関係の中での進化の過程を遺伝子に蓄積しつつ再生しつつ継続してきた)であり、遺伝子・食・水・氣・土・草・木・金・菌・日・月・星・種・言など一切による因縁生起の賜物である。それはその一部である泡沫的臭皮袋では無く大海的宇宙である。動物は動くからとてそれら一切から独立自存のものではなく、一万年も個的な現象の続く木(tree) の如く(trueと同根) であり(peace) であり(harmony) であるものであり、本性は真理・平和・調和である。それは坐禅により動き・働き・習性(業)を鎮め深めれば涅槃(業風の静止)に達し、不動・不生・不死・不滅であり自他(天地山川草木一切)平等・不二・不異・不畏に達し、一切不断・不常であると開悟・通脱できる。宗教(religion<religare)の目的は聖(holy=wholly wholesome:全体健全)に再結合することにあり吾我(我見・我欲・我執・我慢など)を離れ我所(所有:身心界:我社・我国・我種など)を越えた超俗(俗諦:業分別のあり方)真理(真諦・勝義諦・第一義諦:涅槃により実証されるあり方)・真実境涯・真実生命を修行・証悟・実践することである。宇宙大・真実体・無量寿・無量光・無量和・無量愛を一切と共・友に生きることが仏陀(覚者)・菩薩(覚願行者)・真人・聖人である。釈尊の「友(共)は全て」「不退法(共に相諮はかり・・:国家が滅びない方法)」「不殺・不盗・不偽・・・(五戒)」などの教えは聖徳太子の世界最初(米国人は米憲法が最初と言うが、Constitution:国家枠組みとしての組織論: Check and Balance of Powers)の十七条憲法(これは国家社会運営の主体である公僕の心構え:Constitution: Harmony among Heart)、そして新憲法に受け継がれ世界の嚆矢・標識である(いずれの場合も社会崩壊に直面していた時の再生の根本・全体法、人類・生類の破局に当たって世界の先導・模範たるものである。)。我見・私情をもって聖法・公益を改変・破壊する反動・錯誤・横車押しは許されない。平和憲法を世界に広め、十七条憲法を公僕が行い、三学(戒定慧)を草の根から行えば拉致・人質・テロ・戦争・汚染・破壊など無くなり、地上天国(四梵住:四無量:慈悲喜捨:友情・同情・随喜・放捨)が実現し日々是好日となる。絆創膏で癌は治せない、環境・文明・国家・教育・体育・心構の根本からの枠組転換(業から法へ、罪から聖へ、力から命へ、人工一方向金字塔文明から自然円循環帝釈網文化へ)が必要である。金・力・物の奴隷にならず法・命・心の主人公にならなければならない。