毎日新聞 2015年02月14日 東京朝刊
米国南部12州で、奴隷制度が廃止された後の1877年から1950年までに、白人によるリンチ(私刑)で殺害された黒人の数が3959人に上ることが、非営利組織(NPO)「平等な裁きイニシアチブ」(本部・アラバマ州)の10日発表の報告書で分かった。報告書はリンチについて「人種的テロだ」と厳しく非難。「我々は歴史に向き合うことが必要だ」と訴えた。
NPOは、大学の研究者の調査を基に、裁判記録や新聞記事の検索など独自の調査を実施。これまで把握されていた数より、リンチ犠牲者は少なくとも700人以上多いことが判明した。
報告書によると、犠牲者の半数以上がレイプか殺人の「容疑」をかけられ、その多くが司法手続きによらずに殺害された。当時は「白人女性が黒人男性との性行為に同意するはずがない」との考えが支配的で、異人種間の性行為はレイプと見なされたこともあった。
また、白人警官を名前に「ミスター」を付けずに呼んだだけでリンチに遭ったケースや、白人地域で余興としてリンチが実行されたこともあった。【ニューヨークで草野和彦】