社説:大臣とカネ 「知らない」では済まぬ

毎日新聞 2015年02月28日 東京朝刊

 ますます深刻な事態である。西川公也前農相の辞任に続き、安倍内閣の閣僚に関連した政治資金問題が次々と明るみに出ている。そんな中、とりわけ看過できないのは、政権側が「知らなかった」という弁明で乗り切ろうとしている点である。

望月義夫環境相と上川陽子法相がそれぞれ代表を務める自民党支部は、国の補助金交付が決まっていた地元の同じ総合物流会社から政治献金を受けていた。

政治資金規正法は補助金の交付決定を受けた企業や団体に1年間、政治献金を禁じている。補助金は税金であり、それを受けた企業や団体が献金するのは税金が政治家に還流する形となりかねないからだ。「政治家と業界の癒着」につながる根本的な問題といえ、西川氏の辞任も同様の献金問題がきっかけだった。

ただし、同法は政治家側に対しては補助金の交付を知りつつ献金を受けてはならないと規定している。つまり知らなければ違反にならないというわけだ。望月氏らが「補助金交付は知らなかった。だから違法でない」と強調するのはそのためだ。

だが、一連の問題は報道各社が調査・取材して判明したものだ。当事者である政治家側が事前に把握するのは不可能ではないはずだ。逆に今の規正法が政治家側の怠慢を生み、言い逃れに利用されているとすれば、この際、「知らなくても違反」と法改正し、厳格化すべきである。

下村博文文部科学相は、同氏を支援している各地の団体「博友会」が政治団体として届け出をせず、同法違反の可能性が指摘されているほか、同法で禁じられている外国人からの寄付なども明らかになった。

一方、西川氏については辞任後に国会に提出した資料で、補助金を受けていた会社から約4年間で1000万円近い顧問料を受けていたことが明らかになった。

昨秋、不透明な政治資金支出で小渕優子前経済産業相が閣僚を辞任する際、「知らなかったでは済まされない」と語った。ところが、その後の衆院選で再選されたから決着済みということなのか、辞任時に約束していた詳細な調査報告をいまだにしていない。

西川、望月両氏も小渕氏と同様、昨秋発足した第2次安倍改造内閣で入閣している。その時にも今回とは別の資金問題が指摘されていたのを忘れたわけではあるまい。第3次安倍内閣の組閣に当たり、本人も安倍晋三首相らも厳密にチェックをしなかったのだろうか。

「知らなかった」で済まそうとする閣僚に対し、安倍首相は「与野党ともに政治家は自ら説明責任を」などと繰り返すだけだ。衆院選で大勝したおごりというほかない。

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