米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に伴う名護市辺野古沖の埋め立て準備作業を巡って、政府と沖縄県の対立が厳しさを増している。

これ以上、対立を深めないよう、政府は作業を中止し、沖縄との対話の道を探るべきだ。

政府が昨年夏に始めたボーリング調査は、台風や県知事選、衆院選で中断。1月から再開の準備を進めている。

その一環で、沖縄防衛局が立ち入り禁止区域を示すブイなどを海上に設置。それを固定するおもりとして、10~45トンの大型コンクリートブロックをいくつも海底に沈めた。

ところが、ブロックが海底のサンゴを傷つけたり、岩にめり込んだりしていることを市民団体や地元紙が明らかにした。

県は2月26日から現地調査を開始。県が「岩礁破砕」を許可した区域の外で、サンゴが割れたり海底が削られたりしている場所を確認した。

岩礁破砕とは海底の岩場の地形を変化させる行為。水産資源への悪影響を避けるため、事前に知事の許可を受けるよう県漁業調整規則で定めている。

沖縄ではサンゴ礁海域が魚介類などの生育に重要な役割を果たす。岩礁破砕に関しては、サンゴ礁のない地域以上に慎重を期すのだ。

ブロック投下について、県は防衛局側に事実関係の照会を繰り返した。防衛局からは「(前知事時代に)県から手続きの対象とならないと示されていた」といった反論や、県の調査に非協力的な対応が続いている。

県によると、許可の対象でないのはブイそのものの設置。おもりに関しては「船の投錨(とうびょう)」程度なら対象外と判断している。

「45トンものブロックを錨(いかり)とはみなせない。許可が必要」という県の主張には理がある。

沖縄県の対応について、菅官房長官は「一方的に調査を開始した」と批判。さらに一昨日、中谷防衛相が埋め立てに「夏ごろ着手したい」と国会で答弁した。面会を求める翁長知事と話し合おうともせず、ひたすら埋め立てに突き進む政府の姿勢こそ、一方的ではないか。

翁長知事は今後、米軍の許可を得て立ち入り禁止区域内も調査する方針だ。海底の変化の全容を把握した上で、岩礁破砕許可取り消しも検討する。取り消されれば海上工事は違法となる。政府は訴訟に持ち込んでも作業を続けるつもりだろうか。

移設反対の沖縄の意思にそっぽを向き、憎悪と対立の果てにできた米軍基地が、国の安全保障に役立つとは到底思えない。