東京電力福島第一原発事故をめぐる政府事故調査・検証委員会の畑村(はたむら)洋太郎元委員長が朝日新聞のインタビューに応じた。事故調が提言した継続的な検証は「全く不十分」と批判し、教訓を踏まえないまま原発が再稼働に向かう状況に懸念を示した。真相に迫るため非公開で聴取した記録(調書)が一部公開されたことについても「なし崩し」だと批判した。▼32・33面=詳報

政府事故調は2012年7月に最終報告書を公表。提言で、事故調終了で終わりとしない継続的な原因究明を国などに求めていた。

畑村氏は提言を踏まえた取り組みについて「ほとんど何も行われていない。実行を確認する組織も動いていないように見える」と指摘。再稼働に向け、形だけ整えて「安全」という風潮が強いとし、「想定には見落としがあり、事故は起きる」と考え対策をとる必要性を強調。住民避難計画も、事故を踏まえた検証が不十分だと指摘した。

同意が得られた調書を政府が公開したことについては「100年はふたを開けない気持ちで非公開を対象者に約束した。何かの事情で漏れたら開ける判断をする、その程度のいい加減な国だと感じている」と落胆。言いたいことを言えるよう非公開にする調査手法は「次から取りづらくなる」と話した。

公開された調書では、報告書にない詳細な証言が明らかになった。ただ、主要人物も含め7割が非公開のまま。調査を受け継ぐ態勢がなく、外部からも十分検証できない状況が続く。

事故当時の原子力安全委員長で公開に同意していない班目(まだらめ)春樹氏も朝日新聞の取材に「公開してもいいが、なし崩しは反対」と畑村氏に同調する。班目氏は一方で、調書で見えた事故調の限界も指摘する。非公開が前提でも「皆さん明らかに自己保身のために話している」。歴代の安全委員長への追及も甘く、十分な証言が得られていないとの感想を述べた。

(竹内敬二、川田俊男)