2015年3月30日05時00分
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安倍晋三首相が進める安全保障法制によって、日米同盟をさらに強めようとする動きが日米両政府から出ている。背景には安保法制が米国の知日派による提言書に沿っていることがある。中東・ホルムズ海峡での機雷除去など、首相が法整備の理由に挙げた事例は、提言書とも一致する。首相の国会答弁にも、その趣旨が反映されている。▼2面=連載「安全保障法制 現場から考える」
訪米した高村正彦自民党副総裁が今月26日、カーター米国防長官と会談した際、安保法制について「日本だけでなく、国際社会に重要な影響を与える事態にも対応できるようにする」と説明すると、カーター氏は「安保法制は歴史的取り組みだ」と評価した。シーア米国防次官補も同27日の講演で「日本にとどまらず、様々な地域で協力することになる」と強調した。
こうした日本政府の取り組みは、米国の共和・民主両党の知日派が、党派を超えて作った対日政策の提言書に沿っている。
提言書は「アーミテージ・ナイ・リポート」と呼ばれる。日米の政権に影響力のある共和党のアーミテージ元国務副長官、民主党のクリントン政権で国防次官補を務めたナイ・ハーバード大教授らが中心になっている。最初の2000年に続き、07年、12年と発表した。日本政府で安保政策に関わる担当者らが新たな防衛政策を練り上げる際、常に「教科書」としてきた。
最新の12年の提言書は、「日本の責任範囲を拡大すべきだ」と集団的自衛権の行使を認めるよう強く勧めた。そのうえで、新たな防衛協力分野の具体例として、「ホルムズ海峡での機雷除去と、南シナ海の共同監視」を挙げた。
提言書はさらに、安倍首相が法整備の主な理由に掲げる自衛隊の「切れ目のない対応」も求めた。
「日本防衛」と「地域防衛」の区別はなくなったと強調。「ホルムズ海峡の封鎖や、南シナ海での軍事的緊急事態は、日本の安全と安定に深刻な影響を及ぼす」として、自衛隊の活動を世界に広げるべきだと指摘した。
特に機雷除去については、イランが欧米からの制裁への対抗措置としてホルムズ海峡封鎖を示唆したことを挙げ、国際社会の要請があれば「日本は単独で掃海艇を地域に派遣すべきだ」と、日本が真っ先に駆け付けて機雷除去に取り組むよう促した。
安倍首相は2月の国会答弁で「ホルムズ海峡に機雷が敷設された場合、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様に深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況にあたりうる」と強調した。
(佐藤武嗣=ワシントン、今野忍)
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