『統一地方選に際しての質問書』
2015年3月29日
池住義憲
(末尾に近況報告あり)
4月統一地方選挙に立候補者擁立または推薦予定のある愛知県内の政党・政治団体に対し、質問書を提出しました。地方選は、各地域と国の今後の進路が問われる重要な選挙です。選挙での地域住民・有権者の選択結果は、国政にも大きな影響を及ぼします。
質問書を出したのは、「政治を考える市民の会」。私も共同代表として関わっています。「脱原発」「憲法改悪阻止」政策実現のため、同政策を掲げる政党・政治団体に対して連携・協力・共闘を呼びかけることを目的として、2013年5月に発足した愛知の市民グループです。2012年12月衆院選の反省から、その後に実施される国政選挙に向けて愛知の政党・政治団体と市民との討論会や意見を聞く会などを開催してきています。
今回の質問書は、地域住民の暮らしの根幹並びに今後の国の在り方の根幹である「憲法」と「原発」問題の二点に絞りました。原発再稼働問題と9条を巡る日本の安全保障問題(平和問題)は、すべての地方自治体にとって直接・間接を問わず、大きな影響を及ぼす重要な問題だからです。
質問書送付先は、「維新の党」、「減税日本」、「公明党愛知県本部」、「社会民主党愛知県連合」、「自由民主党愛知県支部連合会」、「新社会党愛知県本部」、「生活の党と山本太郎と仲間たち・東海地区」、「日本共産党愛知県委員会」、「緑の党・東海」、「民主党愛知県総支部連合会」、の10政党/政治団体(五十音順)です。このうち、「維新の会」、「減税日本」、「公明党愛知県本部」の3党からは、残念ながら回答がありませんでした。
以下、愛知県以外でも参考になると思いますので、回答のあった7つの政党/政治団体の回答内容要旨を報告します。4月統一地方選投票の際の参考にして頂ければと思います。
記
「4月統一地方選挙に際しての質問」に対する
愛知県内の各政党/政治団体の回答内容 要旨
実施期間:2015年3月2日~15日
実施団体:政治を考える市民の会
<「憲法」問題について>
Q1.昨年(2014年)7月1日安倍内閣の憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認の閣議決定について(複数回答可):
a) 賛成している ⇒ 自民
b) 反対している ⇒ 共産 社民 生活 緑
c) 撤回を求めている ⇒ 民主 共産 社民 新社会 緑
Q2.上記閣議決定に基づいて、「いかなる事態」においても「切れ目のない対応」を可能にするため、政府は本年5月連休明け通常国会に派遣恒久法案や10数本の安全保障関連法改正案を一括提出して法制化しようとしていることについて:
a) 賛成する ⇒ 自民
b) 法案によっては賛成する ⇒ なし
c) 反対する ⇒ 共産 社民 生活 新社会 緑
d) いずれでもない ⇒ 民主(閣議決定撤回すべき)
Q3.政府は、2016年7月参院選後に憲法改正の国会発議とその賛否を問う国民投票
を実施する意欲を表明していることについて:
a) 支持する ⇒ 自民
b) 支持しない ⇒ 民主 共産 社民 生活 新社会 緑
Q4.憲法9条について:
a) 変える必要がある ⇒ 自民
b) 変える必要はない ⇒ 共産 社民 生活 新社会 緑
c) いずれでもない ⇒ 民主(戦後日本の平和主義・国連憲章・民主的統制理念を土台に据えた議論が必要)
<「原発」問題について>
Q5.政府は原発の再稼働を実施する意向について:
a) 賛成する ⇒ なし
b) 反対する ⇒ 共産 社民 生活 新社会 緑
c) 条件次第で賛成する ⇒ 民主(原発40年運転制限厳格適用、規制委の安全確認得たもの、地元の同意あるもののみ再稼働、国の責任による避難計画必須)
*自民は選択肢欄に記載なし(但し自由記述欄に記載あり →安全性最優先し原子力規制委が新規性基準に適合すると認めた場合はその判断を尊重して再稼働を認める)
Q6.日本の長期エネルギー政策で、今後も原発を継続すべきかどうかについて:
a) 原発は今後も必要である ⇒ 自民(再生可能エネの最大限導入促進・省エネにより可能な限り原発依存度を低減)
b) 原発はただちに廃止すべきである ⇒ 共産 社民 生活 新社会 緑
c) 漸次割合を減らし、〇〇年後には全廃を目指す ⇒ 民主(2030年代に全廃目指す)
Q7.再生可能エネルギーの推進について:
a) 定額買い取り制度を充実させ再生可能エネルギーの割合を増やすべきである ⇒
民主 共産 生活 新社会 緑
b) 定額買い取り制度は電気料金を上げるので望ましくない ⇒ 社民
*自民は選択肢欄に記載なし(但し自由記述欄に記載あり →再生可能エネの導入状況、原発再稼働状況等を見極めつつ判断)
Q8.福島第一原発事故の原因について:
a) 地震と津波が原因で東電の責任は問えない ⇒ なし
b) 巨大地震は予期されていたもので対策を取らなかった東電の責任は重い ⇒ 民主
共産 社民 生活 新社会 緑
*自民は選択肢欄・自由記述欄ともに記載なし
Q9.放射性廃棄物処分について(複数回答可):
a) 政府が責任をもって地層処分地を選定し、住民の合意を得るべきである ⇒ 民主
生活
b) 放射性廃棄物の地層処分はすべきでない ⇒ 共産 社民 新社会 緑
c) 放射性廃棄物は原発立地地域に保管すべきである ⇒ 共産
d) 放射性廃棄物は原発立地地域外に保管すべきである ⇒ なし
*自民は選択肢欄に記載なし(但し自由記述欄に記載あり →「科学的により適性が高いと考えられる地域」の具体的要件・基準の議論、処分地選定の考え方・進め方の議論が必要)
以上
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【池住 近況報告】
3月31日をもって、立教大学大学院(キリスト教学研究科)教員を70歳定年で退職します。下記 facebook に関連写真も掲載しています!
⇒ https://www.facebook.com/yoshinori.ikezumi
2009年4月、同研究科創設時から特任教員として関わって、丸6年。楽しく充実した日々でした。私は1967年3月立教大学卒なので、出身校が最終就勤務地になるとは思ってもいませんでした。立教以外にも、名古屋で非常勤講師をしていた南山大学、愛知県立大学大学院、名古屋学院大学も3月末で区切りをつけます。NGO(アジア保健研修所)での責任と並行して1987年4月から大学での役割を担い始めたのを加えると、計28年になります。
”役割・責任が人を育てる(Position makes a person capable.)”。まさにこれを実感した28年間でした。お世話になった学生・院生のみなさん、教職員のみなさん、聴講性のみなさんに、感謝! 感謝!! 大感謝!!!
2015年3月26日
池住義憲
(最後の一日となった立教大学研究室より)
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