戦後70年談話:「素直に同じ文言を」 村山氏が首相批判

毎日新聞 2015年04月24日 東京朝刊

インタビューに応じる村山富市元首相=東京都千代田区で
インタビューに応じる村山富市元首相=東京都千代田区で

1995年に戦後50年談話を出した村山富市元首相が毎日新聞のインタビューに応じた。安倍晋三首相が今年出す戦後70年談話で村山談話と同じ文言は使わない考えを明言したことについて「これだけ(首相の歴史認識に)疑念を持たれているのに、なぜそんなことを言わなきゃいかんのか」と批判した。

村山談話は過去の「植民地支配と侵略」を認めて「痛切な反省」と「心からのおわび」を表明し、小泉純一郎元首相の戦後60年談話にも同じ文言が盛り込まれた。村山氏は、歴代内閣が継承してきた村山談話の歴史認識は「国是」だと強調。安倍首相も引き継ぐとしているが、村山氏は「引き継ぐからいいじゃないかなんて言わんで(同じ文言を)素直に言えばいい。(首相の本音では)もう言いたくないんじゃ」と不信感をあらわにした。

インタビューは21日、東京都内で行った。

村山氏によると、第2次安倍内閣の発足間もない2013年1月に訪中した際、村山談話を見直す動きを警戒する中国要人に「継承した上で戦後70年に当たる日本の方針を新しく出したいということじゃないか」との見方を説明。同年2月、安倍首相に会い、「アウフヘーベン」(矛盾する命題を高い次元に引き上げて統一すること)という哲学概念になぞらえて「それなら意味があるんじゃないですか」と問いかけたが、返答はなかったという。【平田崇浩】

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