2015年4月26日05時00分
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集団的自衛権の行使について、賛成派から反対派まで抱える民主党。賛否に踏み込む初めての党見解をまとめようと、両派を取り込んで議論するが、文言をめぐり対立が続く。後半国会では、安保法制の論議が始まる。このまま臨めば、安倍政権に対して追及不足に終わる可能性がある。
■賛成派「現実路線で容認を」 反対派「政権との差明確に」
「何とかまとめていただきたい」
岡田克也代表は24日、党安全保障総合調査会の北沢俊美会長と国会内で会い、27日には安全保障関連法案への党の見解をまとめてほしいと要請した。
安全保障が「アキレス腱(けん)」と揶揄(やゆ)されてきた民主党。集団的自衛権行使の賛否に踏み込む見解を出せば今回が初めてだ。
昨年3月の見解は「行使一般を容認する解釈に変更することは許されない」。「限定的な行使」ならば許容できる、とも読めるし、逆に、行使容認は認めない、とも取れる。
あえて幅のある表現にし、党として行使への賛否そのものには踏み込まなかった。
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<両派から副会長> 岡田氏は今度こそ党として賛否をまとめようと、調査会の北沢会長の下に、行使賛成派の長島昭久氏と反対派の辻元清美氏の双方を副会長に充てた。賛否両派の意見を集約するためだ。
それでも党内の賛否両派の対立は収まらない。
賛成派は「政権与党に戻った時のために、現実路線で行使を一部容認すべきだ」、反対派は「安倍政権との違いを見せるため、行使を禁止すべきだ」などと主張した。
22日に調査会が示した見解案では、両派に配慮して賛否に触れなかった。
すると、賛成派から異論が。そこで23日の案では「政府の新3要件に基づく集団的自衛権の行使は容認しない」と追加。異なる条件のもとでなら行使を容認するという余地を残した。
この案に対し、今度は反対派が「容認しないことをもっとはっきり打ち出すべきだ」などと主張し、前半の「政府の新3要件に基づく」の部分を削除するように要求した。24日の案ではこの部分に、ペンディング(保留)を意味する「P」という印を付けた。
行使への賛否そのものに踏み込めないため、強調するのは政権の閣議決定の「武力行使の新3要件」への批判だ。新3要件を「歯止めがない」と見解に盛り込むことでは一致した。岡田氏は25日の東京都内での街頭演説でも「しっかり歯止めをかけていくために、国会で頑張る」と訴えた。
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<代表もあいまい> しかし、行使への賛否そのものを24日の記者会見で問われると、「現時点では、必要性は認められない。将来どうかについては、絶対ないとは断言しない」とあいまいだった。
党として態度を明確にできなければ、所属議員の国会での質問内容で賛否が分かれ、不一致を政権側から突かれる可能性もある。
(奈良部健、江口達也)