戦後、米軍がいたから日本は攻撃されなかったのか
日米関係を考える際、極めて重要なポイントは、「戦後日本が海外から攻撃されなかっ
たのは米軍がいたからか」という点である。
この問題を考える際、第2次大戦以降の国際関係の流れを考える必要がある。
第2次大戦以降、軍事関係を構築してきたものに4つの大きい特色がある。
第1に
核保有国米国とソ連(ロシア)、米国と中国は絶対に戦争できないという考えが当事者
に成立していることである。
米国が核兵器の分野ではソ連(ロシア)や中国に圧倒的に勝っている。しかし、如何に
勝っていても、ソ連(ロシア)や中国が米国を核攻撃で先制攻撃すれば、米国は崩壊す
る。
ソ連(ロシア)や中国もまた、米国が核攻撃すれば、国は消滅する。
軍事衝突になれば、途中でやめられない。どんどんエスカレーションする。したがって
、米国とソ連(ロシア)、米国と中国は軍事紛争に入るのを極力避けてきた。
これと関係し米国は核兵器の使用を避けてきた。ベトナム戦争や朝鮮戦争では、軍事的
選択では、核兵器を使用すべきだという考えはあったが避けた。いったん使うと、ソ連
が先制攻撃する機運を使うことに通ずるのを恐れたといっていい、
ソ連、中国も同様である。
第2次世界大戦以降の最大の特色は、超大国同士が軍事対立を避けるという枠ができた
。これは人間の歴史上はじめての現象である。
第2に
国連を中心とする戦争を避けるという大枠は国際社会にも定着した。
国際連合の最大の意義は、「攻撃されない限り、他国に対して武力攻撃しないことが規
範として多くの国に定着した。
第3に
武力による直接植民地は割に合わないことが認識された。
1960年代英国はスエズ以東の植民地を放棄する方針を固めた。フランスもアルジェ
リアから撤退した。ソ連崩壊後、ロシアは旧ソ連圏を意図的に離した。旧ソ連圏でソ連
が搾取して得られる利益と、維持のためにソ連が行った経済支援では後者が圧倒的に大
きかった。国家の支配は、経済そのものの枠組みでできる。
こうしてできた国際秩序の中で次の現象が出てきた。
軍事紛争は主として次の3つ。
1:国内紛争の拡大
2:領土問題での衝突
3:米国の「国際的安全保障環境の改善」のための行動からくる軍事衝突
(米国の軍産複合体が武力紛争を求める構図も存在)
つまり、領土問題を外交的枠組みで処理すれば軍事的国際紛争はほとんど生じない状況
になってきた。
次にテロとの戦いを見よう。冷戦以降テロ活動が活発化したといわれる。
これは実態とは異なる。冷戦後、アフガニスタン戦争、イラク戦争開始までは、テロ活
動は減少している。テロは米国が、「国際的安全保障環境の改善」として軍事行動をし
てきていることへの反発として起こっている。中東ではこれに加え、イスラエルの軍事
的解決を求める姿勢とも関連している。
そして、中国を見ると米国国防省の議会報告は
ソ連と異なり、特別のイデオロギーを持ち、これを武力で世界に広めるという考えはな
い
中国は経済的国際秩序を利用して発展してきたので、このシステムの崩壊を望んでいな
い
近隣諸国とは領土問題に関し武力行使の可能性がある。
逆にいえば、?を外交的に処理するメカニズムが整えば武力行使の
確率は低い、
日本の安全はこうした環境にある。
日本の平和は米軍の存在によって守られてきたというのは事実ではない。世界の秩序が
日本攻撃というシナリオの存在を消去している。
かつ、日本は尖閣諸島の外交的処理を行っていれば、中国との軍事衝突の可能性も極め
て低い。
「日本の安全は在日米軍によって守られてきた」というのは事実ではない。
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