新たな安全保障法制の関連11法案に関する26日の衆院代表質問で、野党各党は、安倍政権が昨夏の閣議決定で憲法の解釈を変えて集団的自衛権を使えるようにしたことについて「立憲主義に反する」などと批判した。▼1面参照

民主党枝野幸男幹事長は質問の最後に「本法案は、立憲主義に反する恣意(しい)的な憲法解釈変更を、一時の議会多数をもって正当化するものだ」と批判した。

戦前の国会で、政府・軍部の戦争を批判した「反軍演説」を行った衆院議員・斎藤隆夫が、議会の大半が賛成して除名されたことを引き合いに出し「立憲主義を破壊する法案を数の力で押し切ろうとするなら遠からず歴史に断罪される」と述べ、政府・与党が今夏の法案成立を前提に審議を進めようとする姿勢を牽制(けんせい)した。

維新の党の太田和美衆院議員は集団的自衛権の行使容認について「これまでの良き伝統や議論の積み重ねを無視し、国会の議論を経ないまま、閣議決定だけで憲法解釈を変更した」と指摘。「米国とガイドラインを先行合意し、次いで、その根拠となる法案を後付けで認めさせようとしている。憲法の信頼性を傷つけてしまう」と主張した。

共産党志位和夫委員長は、安保法制で自衛隊の活動範囲や内容が広がることを問題視。「自衛隊が『殺し、殺される』戦闘に参加することになる。憲法9条が禁止した武力の行使を行うことになる」と訴えた。

これに対し、安倍晋三首相は昨年7月の集団的自衛権の行使を認めた閣議決定について「国民の命と幸せな暮らしを守るため、必要最小限度の自衛の措置が許されるという従来の憲法解釈の基本的な考え方を変えるものではない」などと主張。安保法制についても「憲法解釈の基本的な論理を維持したもので、立憲主義に反するものではない」と反論した。

■維新の距離感注視 民主と「対案」/首相から秋波

民主党と維新の党は26日、今国会初の政策協議を開いた。有事(戦争)ではないが警察の力では対応できない「グレーゾーン事態」について、領域警備法案を共同提出する方針で一致した。両党は安保法制での「対案」を示すことで共闘をアピールした形だが、維新に対しては安倍政権も秋波をおくっている。維新が政権との連携と野党の結束のどちらを優先するか、注目が集まっている。

安倍政権は「グレーゾーン事態」について、自衛隊法改正や運用改善などで対応する方針で、新法や大幅な法改正は想定していない。民主、維新両党が領域警備法案を提出するのは、連携を示すのに加え、政策立案の能力があると強調する狙いもある。民主の細野豪志、維新の今井雅人政調会長によるこの日の協議では、政府の労働者派遣法改正案の対案として「同一労働同一賃金」を推進する法案の提出についても合意。協議後、生活の党山本太郎となかまたちと3党で共同提出した。

政策協議は昨年の衆院選直前に開いて以来で、協議を継続することでも一致した。来夏の参院選での協力に向けて政策をすり合わせる目的もある。

政権側も安保国会で維新との連携を模索する。安倍晋三首相は26日の衆院本会議で「維新の党のみなさんとは、どうか後世に責任が持てるような建設的な議論を行いたい」と呼びかけた。

橋下徹大阪市長が率いていた頃の維新は、安倍政権と一定の協力関係があった。一昨年の特定秘密保護法の国会審議では法案修正を協議し、首相が「責任野党」と持ち上げた。ところが、今月17日の住民投票で「大阪都構想」が否決されたため橋下氏は政界引退を表明。今後は維新が政権と距離を置く可能性もあり、首相には警戒感があるようだ。

維新は「是々非々」路線を掲げており、政権と民主の双方と、つかず離れずの距離を保っている。柿沢未途幹事長は記者団に「民主党から引っ張られ、自民党からも引っ張られ、世界は維新を中心に回っているといっても過言じゃない」と語った。(藤原慎一、高橋健次郎)

■「数に頼らずに」 二階氏

自民党二階俊博総務会長は26日、安全保障法制をめぐる国会運営について「数を頼って採決するのではなく、議論(が)尽きるところまでやって頂きたい」と述べ、与党側が丁寧な対応をすべきだとの考えを示した。訪問先の中国・大連で記者団に語った。(大連)