安倍政権よ、学者の意見を聞け――。国会で安保法案は「憲法違反だ」と批判した長谷部恭男早大教授と小林節慶大名誉教授が15日、日本記者クラブで会見。「法理」より「感情」優先で「合憲」と言い張る安倍政権に“再反論”し、安保法制のデタラメぶりを、改めて世界に訴えた。
まず、外国人記者からの質疑時間で反論の火ブタを切ったのは長谷部氏だ。「憲法学者の言う通りにしていたら、日本の平和と安全は守れない」と強弁する自民党の高村正彦副総裁について聞かれると、こう答えた。
「今回の安全保障法案は日本の安全を、むしろ危うくすると考えております。日本の安全を確実に守りたいのであれば、ぜひ学者の意見を聞くべきだと思っています」
学者をコケにし続ける高村に、普通ならブチ切れてもよさそうだが、長谷部、小林両氏は冷静だった。特に長谷部氏は、4日の「憲法審査会」に、自民党の参考人として出席したにもかかわらず、後から「人選ミスだ」とメチャクチャなイチャモンをつけられている。このことについても、長谷部氏はこう応じた。
「事務局が私を選んで、自民党が受け入れたと私は伺っています。コンスティテューショナリズム(立憲主義)の専門家で呼ばれたが、その人間がたまたま憲法9条について発言したのが、『けしからん』ということなのでしょう。しかし、私は質問があれば、自分の思っていることを答えるだけだと思います」
あくまで自分は真実を話すだけ――。会見で長谷部氏はクールな態度を貫いた。子供のケンカのように幼稚な論理をふっかける安倍政権と、同じ土俵に立つつもりはないのだろう。安倍首相が米上下両院合同会議で行った英語スピーチとは違い、長谷部氏の流暢な英語に外国人記者は何度もうなずいていた。
小林氏も時折、ジョークを交えながら安倍政権を痛烈に批判。仮に安保法制が成立した場合、「平和を傷つけられた」として政府を相手に訴訟の準備をしていることを明言した上で、こう話した。
「恐ろしいのは、安保法制のような憲法違反がまかり通ると、憲法に従って政治を行うというルールがなくなり、北朝鮮のような国になってしまうことです。キム家と安倍家が一緒になっちゃう。それは絶対阻止しなければいけない。安倍さんのいうとおりにしたら、日本の自衛隊はアメリカの軍隊の“二軍”になるだけで、何ひとついいことはない。だから、安保法制は撤回すべきで、撤回しないならば選挙で倒すべきです」
両氏によると、95%もの憲法学者が安保法制は「違憲だ」としているという。菅義偉官房長官は「違憲ではないという学者もいっぱいいる」と言った後、「数の問題ではない」と取り繕ったが、「95%」という数字は大問題だろう。憲法学の権威である2人の再反論に安倍政権はグウの音も出ないんじゃないか。
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