パレスチナの子どもを生きたまま焼き殺す入植者をイスラエルはいかに守っているのか

みなさまへ    松元

 

イスラエルの入植者がパレスチ ナ西岸で1歳半の幼児を焼死させた事件は、すでに各方面で報道され世界中から憤激 が湧きあがっています。ここに紹介するのは、事件当日いち早く投稿した在米パレスチナ・ウオッチャー、アリー・アブーニウマの論評記事で す。当日のネタニヤフ首相のツイッターや人権擁護団体ブツェレムの見解などを紹介しながら、事件を引き起こしたイスラエルのアパルトヘイ ト体制の解体を求めています。拙訳ですが紹介させていただきます。

 

それにしても、「建国」から血 にまみれ「裁かれもせず償いもせず」数多くの戦争犯罪と人道の罪を犯してきた国が、国内で公正な裁判などできるだろうか。ところが日本も また、巨大な戦争犯罪を「裁かれもせず償いもせず」にきた国ではないのか。これまでもヘイトクライムを野放しにし入植者による数多くの放 火事件を放置してきたイスラエルの国家主義が、日本の将来の国家主義になることを恐れる。両国とも際立って「一国一民族主義」の根深い幻 想をもっているのだから。

 

「みずからの政治について道徳 的な問いかけを許容しない社会は必然的に腐敗した社会となる。」(ヤコブ・ラブキン『イスラエルとは何か』菅野賢治訳、平凡社新書、2012、p293~294)

(2015年8月4日記)

 

※文中[ ]内は原著者の、( )内は訳 者の挿入である。

 

How Israel protects its settlers who burn Palestinian children alive

 

パレスチナの子どもを生きたまま焼き殺す入植者をイスラエルはいかに守っているのか

 

Ali Abunimah Rights and Accountability 31 July 2015

http://electronicintifada.us2.list-manage.com/track/click?u=70effeb5f63e84ab0c0730984&id=5549a32113&e=b4205a5765

 

アリー・アブーニウマ(松元保昭訳)

2015年7月31日

エレクトロニック・インティファーダ

2015年8月2日

インティファーダ・パレスタイン

 

画像キャプション:パレスチナの生後1歳半のアリー・ダ ワーブシャの死体のそばで嘆き悲しむ身内。7月31日被占領地西岸のドゥーマ村で彼の家族が住む家屋が放火され殺害された。犯行はユダヤ 人入植者の襲撃と疑われている。(アフマド・タラート撮影)

https://electronicintifada.net/sites/electronicintifada.net/files/styles/original_800w/public/2015-7-31_ali_dawabsha.jpg?itok=SFI3Mr88&timestamp=1438363544

 

金 曜日の夜明け前、被占領地西岸北部のドゥーマ村で2軒の家が(火炎瓶によって)放火されパレスチナの生後18か月の幼児アリー・ダワーブシャが焼き殺された。

 

イ スラエルの入植者がパレスチナ人を生きたまま焼き殺したのは、アリー・ダワーブシャの殺害が初めてではない。

 

不 処罰のイスラエルがその入植者を許可している以上、実際、アリーの殺害者が裁判にかけられるなどという見込みがあるだろうか?

 

手 助けしようとした村人のひとり23歳のムサラーム・ダワーブシャはマアーン通信社 につぎのように語った。「私たちは4人の入植者がお互いの距離を保ちながら逃げていくのを見ました。」そして「私たちは追いかけようとし ましたが彼らは近くのマーレ・エフレイム入植地に逃げ込んでいきました」と。

【訳注:ドゥーマ村はエルサレムの北約30キ ロ、ナブルス南東約25キ ロで住民約2200人。 この集落の約2キ ロ東に1970年 設置のマーレ・エフレイム入植地(現在は約1100人) がある。】

 

襲 撃犯たちは人種差別の意志を明らかに示す落書きを残して立ち去った。彼らはダヴィデの星と「復讐」、「メシア王万歳」の言葉を壁にスプ レーしていた。

 

現 在、アリーの母親は全身の90パーセント以上に深刻な火傷を負って危篤状態であ る。父親は80パーセント、4歳 のアリーの兄は60パーセントの火傷をそれぞれ負っている。

 

画像キャプション:7月31日の被占領地西岸ドゥーマ村の放火襲撃の被害をうけた2軒の家のひとつの壁に書かれていたヘブライ語の言葉は、「復讐」。もう一方の壁に塗られ たスローガンは「メシア王万歳」と読める。(アフマド・タラート撮影)

https://electronicintifada.net/sites/electronicintifada.net/files/styles/original_800w/public/2015-7-31_duma-revenge.jpg?itok=ai6POLKE&timestamp=1438363544

 

 

偽善の涙

 

このおぞましい事件のあと、イスラエル当局はベンヤミン・ネタニ ヤフ首相の下のツイートによって、非難と悲しみと犯人を裁判にかけるという誓いでこれ見よがしな表向きを繕った。

 

ベ ンヤミン・ネタニヤフ@netanyahu

私 はアリー・ダワーブシャの殺害に衝撃を受けた。これはあらゆる点で非難に値する恐るべきテロリズムの行為である。イスラエル国家は犯人が 誰であるかにかかわらずテロリズムに対しては強硬な対策をとる。私はただちに殺害者たちを逮捕し裁判にかけるよう彼らの処分についてあら ゆる手段を行使することを治安部隊に命じた。イスラエル政府はこうした遺憾で不愉快な行為に対して強い反感で一致している。イスラエル市 民を代表して、私はアリの家族の悲しみを分かち合うとともに負傷した家族の方々の一日も早い回復を願っている。10:55 AM – 31 Jul 2015

http://twitter.com/netanyahu/status/627039959594217473/photo/1

 

ア ヴィ・メイヤー@AviMayer(常連ツイッターの反応)

パ レスチナの子どもの殺害に直面して激高しているイスラエルは―右派も左派も、宗教的また世俗的な人々も―あらゆるところで指導者をみて励 まされている。11:31 AM – 31 Jul 2015

 

これと同時に、占領体制は起き上がってくる抗議を鎮圧するために 西岸に増援部隊を強化し被占領地エルサレムのアル・アクサ・モスクからパレスチナ人を締め出しパレスチナ人の集団懲罰を開始した。

 

画像キャプション:一歳半のアリー・ダワーブシャが焼き殺 された家の中で彼の写真など残骸が散らばる。(アフマド・タラート撮影)

https://electronicintifada.net/sites/electronicintifada.net/files/styles/original_800w/public/2015-7-31_duma-arson.jpg?itok=iDw7iUp8&timestamp=1438363544

 

昨 年ガザで2200人のパレスチナ人を殺戮し、なかでも500人以上の子どもたちの殺戮を犯した同じ指導者が、現在もう一人の殺害に憤激を装って 見せかけの涙をさらすこと以上に偽善的な誇示は想像することも困難だ。

 

も ちろん、イスラエルの(このたびの)発表には明確な目標がある。それはアリー・ダワーブシャの殺害を例外的な行為として描こうとすること であり、また個々の入植者の暴力がイスラエルの植民地的な占領およびアパルトヘイト(人種差別体制)の構造と一体になっている現実を覆い 隠すことである。

 

イ スラエルにとってこれはたかが広報危機であり憤激と「悲しみ」の表明は最近のニュース・サイクルのために政治活動コンサルタントに指示さ れたハスバラhasbara―[プ ロパガンダ]―以上のものではない。

 

【ヘブライ語で「説明」を意味するHasbaraは、イスラエルの国際的なイメージの改善、およびまったく政治的で人間的な 権利というパレスチナ人の要求を打ち消すことを目的としたプロパガンダに使われる用語。アリー・アブーニウマ Activism and BDS Beat 1 May 2015より】

 

同様に、イスラエルにどれほど軍事援助し資金融資したか定期的に 自慢し、またどんな責任からもイスラエルを保護するバラク・オバマ大統領の米政権によるいかなる非難も偽善的なものだ。

 

皮肉なツィッター・アカウントがじつにうまい言葉で投稿された。

 

ベ ニヤミン・ネタニヤフ@Ask_Netanyahu

ア リー・ダワーブシャを殺害した自警団たちへの私のメッセージはすっきりしてる。もしパレスチナ人の赤ん坊を殺害したいなら制服を着てくだ さい。#Duma 9:09 AM – 31 Jul 2015

 

「時間の問題」

 

イ スラエルの人権擁護団体ブツェレムは今朝の襲撃の後に、「焼かれた幼児はたんに時間の問題だった」と表明した。

 

「パ レスチナ人と彼らの資産に危害を加えるイスラエル人に法を適用させようとしない当局の政策のためである」と団体は付け加えた。「この政策 はヘイト・クライム(憎悪犯罪)では不処罰になるようつくられており、襲撃者に続けるようけしかけて今朝の恐るべき結果を引き起こし た。」

 

「最 近の何年かは西岸で、イスラエル民間人がパレスチナ人の家屋、モスク、商店、農地、また車両の多くを放火してきた。」とブツェレムは語っ た。「これらの事件の膨大なほとんどは何ら解明されることはなかった。またその事件の多くでイスラエル警察は初歩的な取り調べの措置さえ とることはなかった。」

 

もっ とも残忍で目に余る場合であってさえ不処罰と怠慢が当たり前になっている。

 

ちょ うど1年以上前、イスラエルの若者グループが被占領地東エルサレムの10代のムハンマド・アブー・フダールを拉致し焼き殺した。

 

こ の事件では、犯人たちの顔と逃走用の車がビデオに撮られていた[エレクトロニッ ク・インティファーダが独占的に最初に公表した]という事実にもかかわらず、イス ラエル警察は容疑者を捜査するのにだらだらと無駄な時間を費やした。

 

結 局、おそらく大規模な国際的非難のときだけ彼らは捜査に腰を上げるのだ。

 

そ れらの事件がイスラエルの裁判所を通じてそのやり方に磨きをかけているが、パレスチナ人を襲撃し殺害するイスラエル人を例外的な寛大さで 処遇するシステムを信頼する理由など少しもない。

 

今 月、エルサレムでユダヤ-アラブ学校を燃やした2人のイスラエル人は、まったく後悔しなかったという事実にもかかわらず軽い刑を受けた。 法廷を去ると同時に、彼らは、犯罪はユダヤ人とアラブ人の「同化」を阻止するために「その価値」があったと宣言した。

 

タクシーの中で燃やされた

 

つ いで2012年8月16日、入植者が家族を生きたまま燃やした事件があった。

 

ジャ ミーラ・ハッサン、彼女の夫アイマンそして彼らの子どもたち4歳のイマーン、6歳のムハンマドは、被占領地西岸のベツレヘムの南をもう一人の乗客と運転手とともにタク シーに乗っていた。

 

車 に火炎瓶が投げ込まれた。アイマンと2人の子どもが重傷を負った。ムハンマドは全 身にひどい火傷を負った。

 

「私 たちは失いました。私たちの人生はまっさかさまに転げ落ちました。父、息子、娘が互いに違う世界にいます。私たちの人生は困難で悲惨で す。」とジャミーラは襲撃の2週間後マアーン通信社に語った。

 

ム ハンマドがちょうど別の手術から苦しみながら出てきたところだった。「彼はひどい痛みで泣き叫ぶのです。」と母親がもらした。

 

そ の時もまたイスラエルの「正義」の約束があった。しかし何があったのか?

 

警 察が近くのユダヤ人入植地で3人の未成年を逮捕し、現場で犯罪の容疑者に関わる指 紋を発見したと裁判官に語った。

 

ハ アレツ紙によれば、ヤアロン・ミンケヴィッチ裁判官は「彼らの年齢のため塞ぎ込んでいるので」少年たちを拘留しておくと裁定した。彼らは12歳と13歳の間であると報道さ れた。

 

し かし2013年1月、イス ラエルの検察官は「証拠不十分」として訴訟を取り下げた。

 

彼 らが、占領軍兵士に石を投げたと告発されたパレスチナ人の子どもであったなら、拷問や自白を強要され恐ろしい虐待にさらされて何か月も拘 留されていただろう。

 

明 らかに、子どもを含むパレスチナ人たちがイスラエルの軍事不正規裁判(カンガルー・コート)のもとにおかれている一方で、もともとイスラ エル市民法のもとにある入植者をイスラエルがいかに処遇するかという問題ではない。

 

イスラエルのアパルトヘイトを廃止せよ

 

そ の植民地主義的に組み込まれた不平等は入植者たちが原因なのではなく、重要人物から絶えず流れ込むシオニズムに根をもつイスラエルの植民 地主義的暴力のたんに醜い現われを思い起こさせるものである。

 

ア イレット・シャケッド―(現司法大臣であるが)昨年、彼女の悪名高いジェノサイド・アピールは「小さな蛇」を産み出すパレスチナの母親を 殺せと要求した―率いる「正義」省がパレスチナ人を公正に裁くなどと誰が信じるだろうか?

 

お そらく小さなアリーを焼き殺した入植者は、シャケッドまたはイスラエルの政治家の他のどんな人物でもいいが、もっとも過激で暴力的な言葉 を中心にパレスチナ人に対して定期的に扇動するその言葉を実行したのだ。

 

肝 心なところはここだ。昨年夏の何百人ものガザの子どもたちの殺戮、ムハンマド・アブー・フダールの焼殺、アリー・ダワーブシャを殺害した 襲撃、それらはレイシストが自己宣伝している「ユダヤ国家」としてその土地に存在し拡大し続けるイスラエルにパレスチナ人が支払わなけれ ばならない価格のすべての一部なのである。

 

ア リー・ダワーブシャまたは他のパレスチナ人がイスラエルのアパルトヘイト・システムから正義を得る唯一の方法は、そのシステムが完全に解 体されるかどうかにかかっている。

 

(以 上、翻訳終わり)

 

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