【2015年8月27日締め切り】Fwd: 道徳教育に関する文科省宛パブコメ(のご応募)、1メールか2メールだけでも、お願いさせて頂ければ幸いです。

永野厚男さんからのメールを転送します。

太田光征

パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000767&Mode=0

☆ 永野厚男・教育ライターから皆様に、文科省宛パブコメのお願い

政府広報誌のような道徳”教科書”の検定基準にさせるな!~政治偏重、”愛国心”教育強制の検定基準案等を出した文科省教科書課「電子メールアドレス:pckentei@mext.go.jp <mailto:pckentei@mext.go.jp>」宛に、パブコメを送って下さい(FAXの人は、(03)6734-3739に)。

7月末から、文部科学省初等中等教育局・教科書課(望月禎(ただし)課長)が募集してきた、――道徳教科化問題での最後(仕上げ)のパブリックコメントとなる、道徳教科書の検定規則・基準案についてのパブコメ――
の締め切り=8月27日(木)が迫っています。

始めに~文科省が3月に実施した、学習指導要領改定時のパブコメの実態

文部科学省が2018年度から小学校で(中学校は19年度から)検定教科書と評価を導入する「特別の教科・道徳」の、学習指導要領改定時の6千件近い「パブリックコメント」について、2015年3月28日付『産経』は、「道徳教科化賛成が全体の約57%」と、1面で宣伝しました。

しかし文科省教育課程課で数回にわたりパブコメの全コピーを閲覧した研究者や元教諭ら4人は、
――”つくる会”系等、右翼的な人たちは、GHQや日教組への非難・誹謗中傷と、「教育勅語は今も通用する。捏造された自虐史観でなく、国史を柱に教育を」「近隣諸国条項は完全撤廃せよ」等、道徳とは無関係の意見を多く寄せていた(近隣諸国条項は道徳ではなく、社会科です!)。/6千件近いパブコメは、膨大な上に、メールをそのまま印刷したものなど、行間が空いていないものも少なくなく、全部を読み切るには数人がかりでも何日かかかるが、反対意見の方が多い印象だ。/SNS、とりわけスマホ対策等、イデオロギーに関係のない、純粋な情報リテラシーやいじめ対策を求める等、中立的な意見のカウントの仕方でも、教科化の賛否数は変わる。――
と語っています。

このように『産経』の「道徳教科化賛成が全体の約57%」との主張とは逆に、パブコメの全コピーを閲覧した人たちからは、
――パブコメではとりわけ、”愛国心””遵法精神・公徳心”の、少なくとも2つの徳目では、「価値観の押し付けは憲法第19条違反」「保守系政治家や文科省タカ派官僚の思想を押し付けるな」という反対意見の方が多かった。――
と分析した報告もあります。

8月27日(木)締め切りの、今回の道徳”教科書”の検定基準のパブコメが、道徳教科化問題での最後の機会です!

文科省が2015年3月27日告示した道徳の新学習指導要領は、中学校では”愛国心”教育の徳目で、「優れた伝統の継承と新しい文化の創造に貢献するとともに、日本人としての自覚をもって国を愛し、国家及び社会の形成者として、その発展に努めること」と規定してしまいました。
現行指導要領(08年3月告示)に「国家・・・形成者として」を加筆した等、若干字句の違いあるこの”愛国心”規定を含め、出てしまった道徳の新学習指導要領の下ではありますが、道徳教科化問題での最後のパブコメとなる、道徳教科書の検定規則・基準案について、憲法第19条の思想・良心の自由を守る立場から、文科省にパブコメを寄せましょう。住所・氏名等、個人情報の記入は任意なので、文科省に住所・氏名等を伝えたくない人も、安心して応募下さい。

文科省・教科書検定審議会の『報告』や検定基準案等は、文部科学省ホームページの、「トップページ右下」の「申請・手続き」の3つ目、「パブリックコメント」の項をクリックすれば、見られます。
が、時間にない方々は、後掲の<1>~<8>の文科省宛パブコメの意見例を、コピペして使って頂ければ、幸いです。

応募方法等について

応募方法は電子メールとFAX、郵送の3つあります(電話は不可)が、締め切りが
――8月27日(木)夜11時59分まで――
と迫っているので、電子メールとFAXの宛先等を、以下文部科学省ホームページから抜粋し、少し説明を加えつつお示しします。

【意見の提出方法と様式】

(1) 宛先は、
電子メールの人は →電子メールアドレス:pckentei@mext.go.jp <mailto:pckentei@mext.go.jp>
FAXの人は →FAX番号:03-6734-3739

※ 判別のため、電子メール、FAXとも冒頭、件名に【検定規則等の改正案への意見】と明記して下さい。
また文科省は、「コンピュータウィルス対策のため、添付ファイルは開くことができません。必ずメール本文にご意見を記入下さい」と言っていますので、よろしくお願いします。

(2) 意見提出様式

特にフォーマットはありませんが、件名に【検定規則等の改正案への意見】と明記した後、
・郵便番号(任意)
・住所(任意)
・氏名(任意)
・連絡先電話番号(任意)
・連絡先メールアドレス(任意)
・意見(必須)
――の順で、お願いします。

※ 上記の通り、住所・氏名等の個人情報を出したくない人も、安心して出せます。
ただ、文科省は、「複数の論点についてご意見をお寄せいただく場合には、取りまとめの都合上、論点ごとに別様として下さい(1枚1意見、1メール1意見として下さい」と言っていますので、よろしくお願いします。

※ 以下、<1>~<8>は、永野厚男・教育ライター作成の、文科省宛パブコメの意見例です。

<1> 文科省宛パブコメの意見、その1

件名:検定規則等の改正案への意見

小中の道徳”教科書”に、”愛国心”を教化(インドクトリネーション)する教材を載せることを強制しないで下さい。
また、「学習の手引き」や「振り返り」「まとめ」の頁等に、”愛国心”教化(インドクトリネーション)を高めるような設問を、載せさせる検定をすることにつながりような、検定規則等の改悪をしないで下さい。

◇ この意見の提出理由と説明等

文科省は小中道徳の時間を設けた時から、道徳の学習指導要領の内容(いわゆる徳目)に”愛国心”を盛っていますが、これは保護者や児童生徒、普通の教員たちの求めたものではなく、保守系政治家や文科省のタカ派官僚が入れた、政治的産物です。
文科省は現行指導要領(08年3月告示)からは、安倍晋三・自民党総裁(61歳。首相)に近い衛藤晟一参院議員らと癒着し、総則にまで”愛国心”を盛り込んでしまいました。
また文科省は、現行の道徳指導要領までは小学校中学年(3・4年生)以上で強制し続けていた”愛国心”教化を、2015年3月27日告示した道徳の新指導要領では、ナント6歳児に当たる小学校低学年(1・2年生)から強制するよう、下ろしてきました。
“愛国心”教化は「憲法第19条違反の価値観の押し付け」である上に、教育への政治的介入であり、多くの保護者や普通の教員たちの求める、
――民主的な人間、主体的に判断できる人間、多様な価値観を持つ人間――
を育てる教育にとって、有害です。
安倍晋三氏が憲法9条に違反し、国会に出した集団的自衛権での自衛隊による他国への武力行使(殺戮)を可能にする法案が不幸にも成立したら、”愛国心”教化は国のために死ぬ自己犠牲を美化する偏向教育にもつながりかねません。

<2> 文科省宛パブコメの意見、その2

件名:検定規則等の改正案への意見

文科省が、学習指導要領改定時の「パブコメの主な意見への回答」(2015年3月27日公表)や新学習指導要領解説書(2015年7月3日公表)で、「子供たちが答えが一つではない問題を道徳的課題として捉え、考えたり、議論したりする道徳へと質的転換を図る」と明記しました。
教科書の”愛国心”についても、「子供たちが答えが一つではない問題を道徳的課題として捉え、考えたり、議論したりする道徳へと質的転換を図る」考えがあって、当然です。
ゆえに、
――「歴史的・文化的な共同体としての我が国」「統治機構を含む我が国」とも、「国を愛せ」と教化するのとは逆の、「国を批判したり、変えることを考えたりする」授業展開、及び児童生徒がそのような「国を批判したり、変えることを考えたりする」考えも持てるようにすることを可能にする教科書――
に対し、執筆・発行することを妨害する規定を、改定教科書検定規則・検定基準等に、盛り込まないで下さい。
また、実際の検定において、かかる「国を批判したり、変えることを考えたりする」授業展開を可能にする教科書に対し、検定意見を付け、書き換えを迫る権力の不当な行使をするのも、やめて下さい。
「国を愛せ」と教化するのは、民主主義とは真逆の、独裁国・全体主義国家の政策と同じです。

◇ この意見の提出理由と説明等

文部科学省が2018年度から小学校で(中学校は19年度から)検定教科書と評価を導入する「特別の教科・道徳」で、学習指導要領改定時の6千件近い「パブリックコメントの主な意見」への「回答」の1つとして3月27日に公表した、「子供たちが答えが一つではない問題を道徳的課題として捉え、考えたり、議論したりする道徳へと質的転換を図る」という見解が、同省著作の学習指導要領解説書(2015年7月3日公表)で、キーワード”愛国心”の項目(徳目)においては、真逆の「特定の価値観の押し付け」になっている。今回は中学校を中心に検証する。
文科省が2015年3月27日告示した道徳の新指導要領は、小学校1年生から強制するようにした”愛国心教育”の”仕上げ”となる中学校の新指導要領の記述は、「優れた伝統の継承と新しい文化の創造に貢献するとともに、日本人としての自覚をもって国を愛し、国家及び社会の形成者として、その発展に努めること」だ。
現行指導要領(08年3月告示)との違いは、①「伝統文化教育」と”愛国心教育”の順序変更、②「国家及び社会の形成者として」の加筆、③文末の「こと」の加筆、の3点だ。
この3点を変えた理由を文科省は説明していないことは、今回は措くとして、この新指導要領の”愛国心”記述について、同省の新指導要領解説書は、
――「国を愛し」とは、歴史的・文化的な共同体としての我が国を愛し、国家及び社会の形成者として、その発展を願い、それに寄与しようとすることであり、そのような態度は心と一体として養われるものであるという趣旨である。「国」や「国家」とは、政府や内閣などの統治機構を意味するものではなく《略》――
と、現行の解説にはない主張をしている。
この主張は第1次安倍政権下、「我が国を愛するとは、歴史的に形成されてきた国民、国土、伝統、文化などから成る歴史的、文化的な共同体としての我が国を愛するという趣旨だ。統治機構、すなわちその時々の政府や内閣等を愛するという趣旨ではない」という安倍首相答弁(06年11月17日、参院本会議で山下栄一議員氏(公明)に)、小坂憲次文科相答弁(06年5月26日、参院教育基本法特別委で斉藤鉄夫議員氏(公明)に)をなぞったもの。
しかし解説書は、”愛国心”の解説の冒頭に「地域社会や郷土を前提としつつ,主権という観点を踏まえた歴史的,文化的な共同体として国家や国は存在する」と明記(傍点は筆者)。「(国家)主権」を持ち出してくれば、統治機構を含むのは当然だし、そもそも「国民、国土から成る共同体」が国家権力を作り出してきたのも歴史の流れ。「統治機構は含まないから国を愛せ」という文科省の主張は、元々破綻しているのだ。
2015年8月3日、学校への”君が代”強制や教育委員会による不当処分撤回の裁判を闘っている全国の教職員や支援する保護者・市民らが衆院第2議員会館で文科省交渉を行った。市民が、本稿冒頭の「答えが一つではない道徳的課題」の中に”愛国心”も当然入りますねと確認を求めたが、教育課程課の担当者は、改定教育基本法2条5号が”国を愛する態度”を規定していることを理由に、明確な回答をしなかった。
このため市民が、06年11月29日の参院教育基本法特別委での那谷屋(なたにや)正義議員(民主)の「(改定教育基本法でも残った)『個人の尊厳』の背景には、かつて愛国心の美名の下に生命が国家の政策遂行の手段になり、結果として公共自体が破壊されて個人が悲惨な状況に置かれたことへの反省があった」との発言を念頭に、「国よりも『個人の尊厳』の方が大事だと言う生徒がいても当然良いのではないか」と再質問すると、同担当者は首肯しつつも、「そういう授業もあって良いのではないか」との再々質問には、改定教育基本法を理由に回答を避けた。

<3> 文科省宛パブコメの意見、その3

件名:検定規則等の改正案への意見

“愛国心”を教化する内容を盛り込むことがやり易い、「伝統と文化、先人の伝記(偉人伝)、スポーツ等の題材」の教材掲載必須化を、改定教科書検定規則・検定基準等に盛り込まないで下さい。

◇ この意見の提出理由と説明等

「先人の伝記」と称する”偉人伝”等を使い、”愛国心”を教化するのは、「憲法第19条違反の価値観の押し付け」です。また、「スポーツ等の題材」の教材も、後掲の市民運動の情報誌(注、職名等は2010年1月時点)が「偏向教員によるサッカーを使った自作教材による”愛国心”教化」を暴いた通り、憲法第19条違反になります。
また、安倍晋三氏が憲法9条に違反し、国会に出した集団的自衛権での自衛隊による他国への武力行使(殺戮)を可能にする法案が不幸にも成立したら、”愛国心”教化は国のために死ぬ自己犠牲を美化する偏向教育にもつながりかねません。

(注、職名等は2010年1月時点)
自己犠牲を厭わない子ども作りに歩を進める”愛国心教育”~文科省・教委の施策の実態から~

永野厚男(教育ライター)

道徳のみならず小中高の「総則」(学校の教育活動全体についての方針を示す)に”国を愛する態度”の教化を盛り、小学校音楽の「国歌『君が代』は、いずれの学年においても歌えるよう指導すること」等、到達目標を加筆した、新学習指導要領の国家主義イデオロギーを大手を振って実践する、改定教育基本法の実動化が進行している。

小見出し →都教委・武蔵村山市教委合体で”愛国心教育の成果”公開

東京の武蔵村山市教育委員会は2007年度から3年間、市立二小・八・十小・五中の4校に都教育委員会の指定を受けさせ、「我が国と郷土を愛する態度を育てる授業作り」を進めてきた”成果”を、2010年1月29日午後、十小を会場に4校の児童生徒を集めた合同授業で公開した。

二小4年1組の道徳では、木月康二教諭が「日本のサッカーのために」と題する自作教材で、「日本人を代表してやる試合や大会の始めに必ず国歌を歌います。胸に手を当て、国の代表として堂々と歌います」と朗読。男児が「君が代です!」と応じた。
木月教諭は続けて「平成5年、サッカー日本代表チームに選出された中山雅史選手は、日の丸の付いた青いユニフォームを手に、やる気がどんどんわいてくるのを感じました」と朗読。「指導案」の「ユニフォームについた国旗の重要性に触れる。中山選手の気持ちは?→日本のために頑張る」との「指導上の留意点」に児童らを誘導した。
この後、木月教諭は「平成10年の試合で中山選手は腕を骨折したが、最後まで戦い、W杯で日本初の得点を取ることができた」とのエピソードを紹介する際、児童らに問いかけながら「日本のために戦いました」と強調した。
参観した保護者の一人は「骨折しても戦い続けるのを美化すること自体、教育上不適切だが、教諭は『チームのため戦う』では不足と言いたげだ。指導案には『日本のよさに気付き、我が国を誇りに思う心情が高まったか』を評価基準にするとある。思想教育ではないか」と語っていた。

五中2年6組の道徳では、福泉宏介教諭が「海外勤務になった夫の妻の手紙」などを教材に、「フランスの人々から、日本の歴史を尋ねられ、答えられずに困った女性はどう感じたか?」と問いかけ、生徒から「自国の歴史を理解できていなくて恥ずかしい」との回答を引き出し、「日本人としての自覚を持って国を愛する心情を高める指導」を展開していた。
この手の国際理解教育を利用した”愛国心教育”は、文科省著作の道徳教育推進指導資料(以下、推進指導資料)『中学校読み物資料とその利用』(1994年3月発行)に出ている、次の教材に酷似している。
――中2の夏休み、海外派遣生としてニュージーランドのソニア宅にホームスティした知子は、ソニアと比べ自国やその歴史や伝統、文化への理解不足を恥ずかしく思い、「日本の代表の派遣生としての自覚が足りなかったが、この海外派遣で日本人としての自分を知ることができた。語学ができるだけではダメ。日本人としての誇りを持ったスチュワーデスになろう」と決意する。――
文部科学省は2010年度予算案に約7億600万円もの”道徳教育推進費”を計上。この内、「全国的な事例収集と情報提供=3200万円」の費目は、「魅力的な道徳教材」なるもの(【注】参照)を作りWeb掲載する経費433万円を盛り、推進指導資料の改訂を謀む。小中新指導要領は”国を愛する態度”に加え、「先人の伝記、伝統と文化、スポーツなどを題材とし、児童生徒が感動を覚えるような魅力的な教材の開発や活用」も提唱しており、”国定教材”による”多様”な国家主義イデオロギー教化の全国化、が懸念される。

小見出し →自己犠牲強いる”愛国心教育”の行き着く先は

授業後、十小体育館で開かれた”講評”では、儘田(ままだ)文雄・都教委主任指導主事と持田浩志・市教育長(59歳)が、壇上正面の巨大な”日の丸”旗に深々と敬礼し登壇(両名は降壇時も敬礼)。
儘田氏は「新学習指導要領を理解し、日本のすばらしさを誇りに思うと同時に、世界の中で日本人としてよりよく生きていく教育が重要」と演説。
都教委主任指導主事兼国立市教委学校指導課長在任中の2000年4月~01年3月の1年間で、同市立小中の”君が代”実施率を一挙に「0%→100%」にした経歴の持田氏は、「武蔵村山市教委編著で(株)ぎょうせいから、『我が国を愛する態度を育てる授業づくり』の本を単行本にし、本日販売している。米長邦雄先生の特別寄稿も載っています」と大宣伝。
体育館内で(株)ぎょうせいの社員らが2000円で販売していた本の米長氏の文章には「道徳の基本は大義、忠義。義を見てせざるは勇なきなり。要は自己犠牲に近いもの。これは日本人が古来、大切にしてきた生き方の一つです」などと、教育勅語を髣髴(ほうふつ)とさせる文言が並んでいた。
最後に登壇した、日教組に対抗する全日教連の研究所所長の森隆夫・お茶の水女子大名誉教授(79歳)は、「昭和天皇は『草木には名があるのに、雑草というのは失礼だ』と仰った。今、薫陶を感じない人が増えているが、心の教育で感化するしかない」などと、中身の薄い講演に終始。
一人一人名前を紹介された保守系市議会議員5名と教委職員とを除くと、保護者席は約10人で空席が目立つ中、動員された4校の教諭約150名は、五中校長の謝辞の際、一斉に起立し礼。厳粛、緊張した雰囲気を醸し出していた。

教師の意図通り動いていた小4に比し、中2のクラスでは、見え見えの思想教育に居眠りやプリントへの落書きで消極的に”抵抗”する生徒がいたが、その数は少数。
武蔵村山市教委は前記編著の本(P3)で、”愛国心教育”を「意図的、計画的に行うことが必要」と主張しており、都教委指示下の”君が代”強制強化と相俟って今後、消極的”抵抗”さえもできず、洗脳される児童生徒が増えれば・・・。
前記、推進指導資料の「海外派遣での日本人としての自覚」が、中学社会新指導要領に加筆された「自衛隊の国際貢献」に進んで志願し、自己犠牲を厭(いと)わない日本人の増加・・・につなげられないよう、教育関係者はもちろん、保護者・市民の努力が求められる。

<4> 文科省宛パブコメの意見、その4

件名:検定規則等の改正案への意見

“愛国心”教化(インドクトリネーション)の強化になりかねない、「教材と内容項目との関係を一覧表で明示させ、かつ『その関係は適切か』も規定する」という、道徳”教科書”の新検定基準等の新設・改悪は、やめて下さい。

この意見の提出理由と説明等

“愛国心”等の内容項目を盛った教材が、何頁に載っているか等、一覧表で明示させる規定を、改定教科書検定規則・検定基準等に、盛り込んでしまえば、保守系政治家や右翼が”愛国心”教材の掲載の有無のみならず、その内容のチェックも容易になってしまう。
また、
――「その関係は適切か」も規定する。――
のは、「国を批判したり、変えることを考えたりする」授業展開、及び児童生徒がそのような「国を批判したり、変えることを考えたりする」考えも持てるようにすることを可能にする教科書の執筆・発行を妨害し、「国を愛せ」とだけ教化する意図があり、憲法第19条に違反し、特定の価値観の押し付けを徹底する意図がある。

<5> 文科省宛パブコメの意見、その5

件名:検定規則等の改正案への意見

検定基準改定案は、①多様な見方や考え方のできる事柄を取り上げる場合には、特定の見方や考え方に偏った取扱いはなされておらず公正である、②児童生徒の心身の発達段階に即し、多面的・多角的に考えられるよう適切な配慮がされている旨、規定するとしている。
この改定案の「公正である」は、特に”愛国心””遵法精神・公徳心””公共の精神”の、少なくとも3項目(徳目)については、憲法(特に思想良心の自由を保障した憲法第19条)や子どもの権利条約に照らし、「公正である」と判断すべきであり、保守系政治家や文科省タカ派官僚の思想に翻弄させされてはならない。
“愛国心””遵法精神・公徳心””公共の精神”の、3項目(徳目)は、文科省が学習指導要領改定時の「パブコメの主な意見への回答」(2015年3月27日公表)や新学習指導要領解説書(2015年7月3日公表)で言う「答えが一つではない問題」に入るからである。

この意見の提出理由と説明等

ある研究者が文科省教科書課に、この改定案の「公正である」について、「公正とは政府から見ての”公正”か。国を批判するか愛するか、多面的に考えるのは不可なのか」と質すと、教科書課専門官は「検定意見は事項でなく個別具体的記述に対し付すので、教科書の原稿が出てこない段階では答えられない」と回答した。
だが、憲法は国の最高法規であり、子どもの権利条約も”愛国心”を盛った改定教育基本法や学習指導要領より上位にある。よって、憲法(特に思想良心の自由を保障した憲法第19条)や子どもの権利条約に照らし、「公正である」か否かは判断すべきであり、保守系政治家や文科省タカ派官僚の”愛国心”思想に翻弄させされてはならないのである。

<6> 文科省宛パブコメの意見、その6

件名:検定規則等の改正案への意見

検定基準改定案は、①多様な見方や考え方のできる事柄を取り上げる場合には、特定の見方や考え方に偏った取扱いはなされておらず公正である、②児童生徒の心身の発達段階に即し、多面的・多角的に考えられるよう適切な配慮がされている旨、規定するとしている。
この規定をする際、”遵法精神・公徳心””公共の精神”の、2項目(徳目)の教材の検定については、「私(個人)対私」間での人権の衝突時のみ、「公共の福祉」による人権制約がある旨、規定している日本国憲法第12条・第13条に則った検定にする旨、加筆して下さい。
自民党改憲案と軌を一にする”公益優先論”で検定をしてはいけません。 ⇒政治的に中立であるべき公的機関である文科省が、特定政党の危険な改憲政策の宣伝機関に成り下がってしまうのは、タックスペイヤー(払税者)として、絶対に許せません。

この意見の提出理由と説明等

“遵法精神・公徳心”は、中学校新学習指導要領では「法やきまりの意義を理解し、それらを進んで守るとともに、そのよりよい在り方について考え、自他の権利を大切にし、義務を果たして、規律ある安定した社会の実現に努めること」と規定。
これについて新指導要領解説書は「義務とは、ここでは人に課せられる法的拘束であり、自分の好き嫌いに関わりなくなすべきことである」と記述。11年の横浜市教委等に加え今夏、大阪市教委も16年度からの採択を決めた育鵬社版社会科公民教科書は、憲法にも法律にもない”国防の義務”を2箇所も記述。集団的自衛権行使の悪法の審議下、戦場に進んで行く若者を増やしかねない。
そんな懸念の中、解説書は、
――「私」を大切にする心と「公」を大切にする心の関係について考えを深めさせることが望まれる。――
と主張。
日本国憲法第12条・第13条は「私(個人)対私」間での人権の衝突時のみ、「公共の福祉」による人権制約がある旨、規定しているが、自民党改憲案は「公共の福祉」を”公益=公共の利益”という文言に改悪し、「私対国家権力」間でも人権を制限できるとしている。もし解説書にこういう意図があれば、例えば「国が米軍新基地を作ると言ったら、住民は反対せず、騒音も墜落の危険性も我慢し受け入れよ」といった、戦前戦中と同じ”国益優先論”につながる恐れがある。
これでは大日本国憲法下の「国民は臣民(天皇の赤子)」という危険な思想の再来となってしまう。現憲法は立憲主義の憲法なのだから、天賦人権説に則り、検定も行うべきだ。
自民党改憲案と軌を一にする”公益優先論”は、教育界からは一掃すべきだ。

<7> 文科省宛パブコメの意見、その7

件名:検定規則等の改正案への意見

検定審の専門委員は公務員に準じるのだから、日本国憲法遵守・尊重の宣誓をさせるべき。国家主義思想を持つ政治団体関係者を「検定審の専門委員」に任命してはならない。
また、検定審『報告』の主張する、「教科書1冊に対し3名程度もの検定審の専門委員」は不要。「教科書3冊に対し1名程度の検定審の専門委員」でも、多過ぎるくらいだ。

この意見の提出理由と説明等

前段の理由
検定審の専門委員は公務員に準じるのだから、日本国憲法遵守・尊重の宣誓をさせるべきであり、憲法(国の最高法規)と子どもの権利条約(”愛国心”を盛った改定教育基本法や学習指導要領より上位にある)に則って検定の業務に当たらせるべきだ。
改憲政治団体・日本会議系の日本教育再生機構の関係者は検定に関わる「検定審の専門委員」等から排除し、政権政党に近い思想で検定することのないような体制を執るべきだ。
11年の横浜市教委等に加え今夏、大阪市教委も16年度からの採択を決めた育鵬社版社会科公民教科書(日本教育再生機構の関係者らが執筆)は、憲法にも法律にもない”国防の義務”を2箇所も記述。社会科の「検定審の委員」や教科書調査官が偏向している証左だ。
集団的自衛権行使の悪法の審議下、戦場に進んで行く若者を増やしかねないので、国家主義思想を持つ政治団体関係者を「検定審の専門委員」に任命してはならない。

後段の理由
7月23日の文科省の教科用図書検定調査審議会(検定審)の総会で了承した検定基準等改定の『報告』は、道徳だけは「よりきめ細かな調査が担保できる検定体制が必要」とし、「学校における道徳教育の実情に精通した教員や教委指導主事等を、検定審の専門委員として検定に参画させ、教科書1冊に対し3名程度で調査に当たる」旨、提起してしまった。他教科に比べ異例の手厚さだ。
しかしこれは、税金のムダ遣いである(検定審の専門委員の報酬や交通費は税金である)と共に、愛国心””遵法精神・公徳心””公共の精神”等の項目(徳目)の教材について、保守系政治家や文科省タカ派官僚の顔色を伺う、特異な思想に沿う検定を、徹底させる弊害を生む。
憲法(特に思想良心の自由を保障した憲法第19条)や子どもの権利条約に照らし、「公正である」と判断する検定をすれば、それでよく、「教科書1冊に対し3名程度の検定審の専門委員」は不要。「教科書3冊に対し1名程度の検定審の専門委員」でも、多過ぎる。

<8> 文科省宛パブコメの意見、その8

件名:検定規則等の改正案への意見

①文科省は、14年1月改定の全教科共通の「検定審査要項」で、不合格の判定方法に「教育基本法の目標等に照らし、重大な欠陥があると判断されるもの」という趣旨を加筆。更に、②文科省の検定審『報告』は、道徳を含む全教科について、不合格になると翌年6月まで再申請を受け付けず、と勝手に主張している。
この①②を全面撤回するか、道徳と社会だけでも、この①②を撤回するべきだ。

この意見の提出理由と説明等

①の撤回を求める理由は→改定教育基本法は”愛国心”を盛る。ゆえに”愛国心”の書き振りによっては、一発で不合格となる危険性もある。”愛国心”の書き振りによって不合格にするのは、憲法(特に思想良心の自由を保障した憲法第19条)や子どもの権利条約に違反する。

②の撤回を求める理由は→ 教科書会社(出版社)や執筆者にとって、不合格は死活問題。特に道徳や社会等、イデオロギー(愛国心等)や政治問題に関する記述をしたり、そういう教材を載せざるを得ない教科においては、教科書会社や執筆者が”自粛”し、政権政党寄りの記述を一層、加速しかねない。児童生徒”愛国心”等の記述や教材で、一方的な価値観を押し付ける危険性がある。

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace

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