報道するラジオ(2015/10/23) 文系再編、揺れる国立大学、佐和隆光さんのお話

永岡です、報道するラジオ、今週も毎日放送アナウンサー水野晶子さんの司会、ジャーナリスト・元毎日新聞論説委員の平野幸夫さんの案内で放送されました。

今週のテーマは大学、国立大に、文科省は人文社会学系(文系)の廃止・再編を求める通達を出して、さすがに文系軽視と顰蹙を買い弁明していますが、それでも、人文・社会学系の大学の再編は進みそうです。

また、軍事技術に応用できるものを研究すると、防衛省から補助金が出ることもあるのです。

これについて、滋賀大学長の佐和隆光さんが、報道するラジオのスタッフにお話をされました、収録されたものの放送です。

文系、理系というものの、国立大は86あり、文科省は文系廃止とも言いだし、文言は教員養成、人文社会系は、18歳人口の減少で、組織の見直しをして、社会的要請の高い分野への特化と言うのですが、平野さん、日本学術会議が批判し、人文系軽視は大学教育を底の浅いものにすると批判、どころか、産業界からも、即戦力を求めているのではないと、産業界の意向を受けたものではないと言いだし、産業界の求めているものの逆だと批判され、下村氏が9/11に弁明し、廃止するのは全ての文系ではなく、先生の需要も減るので、教育系の中でも、ゼロ年過程(教員免許なしで卒業できる過程)を廃止と言い換えて、平野さん、最初の通知と違い、火消しをしたと言われました。

滋賀大は教育学部と経済学部のみの、文系のみの大学で、佐和さん、組織の廃止について、役に立たない文系を出来たら廃止・縮小するという意向で、余ったお金を理系に回すと言うもので、批判されて、下村氏の火消しは、文科省全体で火消し、有識者会議があり、委員に経営コンサルが入り、旧帝大と慶應以外の文系は職業訓練学校にして、法学部では憲法ではなく宅建法、交通法、経済学部では会計ソフトの使い方、文学部では英語=金になるものをやれ、憲法のことを勉強してもアカンというもので、平野さんは恐るべしと言われました。

そして、後任の馳氏は、通達の文章が悪かったと開き直り、しかし内容は撤回せず、であり、佐和さん、馳氏の意図は分からないが、素直に読むと、最初の通達に文章として問題はなく、意味は明瞭で、要するに、読む方の誤解ではなく、文系廃止であり、金になる学問に転換するものなのです。

廃止対象は、先生を作るものは減らすもので、子供が減ると言うものの、佐和さん、民主政権ではもっと少人数学級にする方向で、先生の数を維持の方向が、アメリカでは1クラス15,16人!日本は倍!であり、下村氏の、改善を求めると言うのは、会計ソフトなど、すぐに民間企業で役に立つものをやれというもので、難しいことを大学で教えるな、である。

理系重視、文系軽視は日本の教育の伝統で、1943年に、徴兵猶予が、文系のみ徴兵されたことがあり、学徒出陣になり、こんなアホなことは世界で日本しかやっていない。戦況が悪くなり兵隊が減ったら、文系を徴兵するもので、さらに高度成長期、1958年以降は、岸内閣では文科省は、文系を廃止し、理工系に特化すると言いだし、文系は私学にやらせろと言いだし、1960年に所得倍増計画があり、理工系の振興が目玉で、研究費が、工学部で増えて、佐和さんのおられた京都大でも、工学部が肥大化し、新入生の3人に1人が工学部で、これで高度成長を加速させて、要するにお金のための研究に傾倒した。

今回は、佐和さんの推測もあるものの、通知の背景には、産業競争力会議があり、閣僚+経済界+学者(竹中平蔵氏)が、日本の競争力のために、理工系の振興→金に限界→文系切りを画策し、この会議は政府で発言力最強で、これによるこんな通達であるのです。

高度経済成長期、大学は経済のしもべになり、それに大学教育も入り、しかし産業界の責任で競争力が落ちたのに、大学に責任を転嫁している。2003年の通達もあり、独立行政法人への交付金がカットされたと平野さん指摘され、佐和さん、国立大の法人化は、小泉内閣で、日本で官尊民卑が、逆に官卑民尊になり、国立大が私大より勝り、国が経営しているのでアカン、競争させろというのがやり方。

民間企業のやるような競争を小泉内閣でやり、これにより国立大は変わり、毎年予算が1%減らされて、2003年の予算を100とするは、今は法人化されて12年目、12%減り、今年度、さらに減らされて、他方、競争のための資金は、申請により研究者を競争させるもので、それを得るために、大学の先生は申請者を書くだけで大変=研究時間が減る=法人化後、大学の水準は落ちた。

研究者、大学間で競争し、産業競争力のための競争=金になる学生を要請するもので、文系は出ても即戦力にならず、理系は、工学部、生命科学に金を出して、それを伸ばす傾向が強くなっている、その挙句が今年の通達。

文系軽視は、日本特有で、アメリカではMITでは、工学系の大学なのに、文系の学科もたくさんあり、世界の大学のランキングでは、人文系で2位=エンジニアも人文系の勉強がいる。

世界のランキングで、今年10/1のものでは、予想外で、東大、京大、その他日本の大学がガタ落ち、ビチビチはトップ100に10校入れると言うが、来年は京大も100以下になる可能性もあり、低下の理由は、論文に引用される回数で、この点数が日本は極端に悪い=論文を書いてもほとんど引用されない。ところが、アジアでは、アジアトップの大学は東大ではなく、シンガポール国立大で、さらに北京大も東大より上!

 

なら、大学はどうあるべきか、順位を上げたければ、文系にもっと投資すべきで、ヨーロッパでは、イギリスだと、オックスフォード、ケンブリッジでは歴史学科が最も難しく、それで外交官になり、大学4年でしかできない勉強をしっかりさせて、法律・経済は仕事の中でやり、文系を強くして、英語で論文を書かないと、日本の大学もダメ。

 

ところが、33の大学が文系の見直しをしており、これについて佐和さん、滋賀大は文系のみで、思い立ったのが、データサイエンス学部、ビッグデータのための学部を作ろうとしており、これは文理融合の学部で、データはコンビニ、スーパーのPOS、電子カルテ、その他あり、電子乗車券の移動の記録、大変な情報を使えるようにして、企業がうまく使えるように、価値創造、改革に結びつけ、そういう人材を2019年度から発足する。

産業に役に立たない学部以外は、予算も義務で減らされて、さらに1%減らし、国立大の運営費は1.14兆/年→114億を、気に入った改革をしたところに上げて、逆らうと引き抜くもので、極貧大学になってしまう。

予算配分は国が決めて、文科省が決めてしまい、その際に文系は予算を取られるものになり、理系に近いものほど好まれて、文系は、産業競争力会議、経済界が、文系を軽視していて、要するにお金を生まない学問は切る、しかし思考力の基礎は文系の学問である。

これだと、大学は企業の下請けにされて、旧7帝大と慶應以外の文系は専門学校にするというもので、しかし大学の自主性を高める目的が亡くなったのです。

リスナーより、大学は企業の下請けとあり、要するにシールズのような学生を育てたくないとの声もあるのです。

そして、佐和さんのお話、6/15に、国立大協会(学長の総会)があり、翌日に文科省と学長の懇談会で、下村氏、入学・卒業式で国旗・国家をやれといい、佐和さん、大学改革で国旗・国家などどうでもいい=これは国家主義教育の進行であり、佐和さん、懇談会の直後、テレビのカメラに囲まれてインタビューされて、国立大は税金により成り立つが、納税者に納得してもらう教育が要り、国旗・国家は話が違うと言われたものの、大部分の学長は押し切られたのです。

これは、実質強制で、毎年文科省より、入学・卒業式の後に国旗・国家をやったかと聞かれて、しかし双方やらないのが東大と京大、双方やるのは九州に多く、来年4月、どうなるかは興味深いもので、平野さん、こんな問い合わせをする文科省は大学自治を侵すと言われました。

さらに、軍事技術の開発に、防衛省が金を出すもので、大学に募集をかけて、109件応募、9件採択は、佐和さん、アメリカだとペンタゴンから出る研究費は莫大で、これがあると大学は裕福になり、物理学も、直接でなくてもお金をもらえて、日本はベトナム戦争前のアメリカを真似ている。

今のアメリカは、ペンタゴンの出す額は相当減っており、しかし教育は国家の要で、佐和さん、ビチビチは大学が国力の源泉と言いながら、安倍政権で大学が誤った方向に変えられるのに、危機感を感じ、日本の大学も危機感を持ち、政権に大学の在り方を提言すべきで、そのためにも文系はいり、批判精神が要るのに、今の国立大の学長で文系は一桁で、大学の中で、文系は存在感を高め、主張すべきと言われました、以上、佐和さんのお話でした。

 

ニュースは千葉猛さんの担当でした。

20年前の小学生焼死事件、再審を高裁が決めて、刑の執行も停止です。生命保険目当ての殺人として検挙され、自白の信用性で、しかしガソリンをまいたら、弁護団の実験ではまく最中に引火してしまい、大阪高裁は自然発火として、自白に根拠なしとして、再審を認め、火災は事故の可能性もあるとしました。身柄拘束が20年で、刑の継続は正義に反するとして執行停止であり、弁護団も、主張は100%取り上げられたとコメントし、検察が異議を申し立て、さらに特別抗告も検討です。

ビチビチはトルクメニスタンを訪問、天然ガス世界4位、日本から30を超す企業が同行し、北朝鮮対応についても明記しています。

平野さん、ビチビチの外交のために国会を開かない口実だが、首相のいるものはなく、民間企業のみでやれるもので、国会は開けるのに、外交を口実にしているが、総理が国会にいつもいる必要はなく、TPP、大臣の所信表明、大臣スキャンダルを最優先に国民の前で審議すべきで、野党ももっと強く主張して、1億総活躍など中身もなく、国民に背を向けた政権だと、外交を見たら見えて、今国会をやったら、TPP、戦争準備法案、大臣スキャンダルで追及されるので、ビチビチは国会をやりたくないと言われました。

 

なお、10月26日に、報道特別番組、学生に夏休みはない2015と題して、シールズ関西の皆さんを追ったものが放送され、これも追跡します。戦争準備法案反対に奔走された市民があり、反対は成立後も過半数で、シールズ関西の方は多くの方を動かし、ドキュメンタリーを報道するラジオの制作陣が作りました。

今週のテーマ、平野さん、佐和さんのお話は貴重で、ビチビチ政権の教育の間違いを指摘し、ビチビチは実践的と言うが、本当に求められているのは幅広い教養も持つもので、方向を謝っていると言われて、リスナーより、文系に費用対効果を求めるのはおかしい、海外に人材が流出するとありました。

以上、今週の報道するラジオでした。

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