日本銀行が週末に開いた金融政策決定会合で追加緩和を見送った。妥当な判断と言える。

とはいえ、金融市場には引き続き追加緩和を求める声が根強く、日銀も状況によっては追加緩和も辞さない方針だ。異次元緩和は成果が乏しく、見直す必要があるのではないか。

日銀が市場に投入するお金の量を極端にふやす異次元緩和は黒田東彦(はるひこ)総裁の就任直後の2013年4月に始まり、昨年10月には追加緩和が実施された。株価上昇につながりやすい金融政策であることから、市場関係者から「黒田バズーカ砲」と、もてはやされている。

ただ、この2年半の実績でわかったのは、異常な量のお金を投じている割に景気浮揚効果に乏しいことだった。お金の投入量は2倍以上に引き上げたのに経済成長率はほぼ横ばいが続いている。今年4~6月はマイナス成長、7~9月の成長率もさえないと予想されている。

デフレ脱却のため、あえて狙った物価上昇にもつながっていない。消費者物価の伸びはほぼゼロ。このため日銀は「2%」のインフレ目標の達成時期を今春に続き、再び半年間、延期することになった。

たしかに異次元緩和が円安を促し、輸出産業を中心に企業業績を好転させたプラス面もある。それが大企業の賃上げにも結びついた。とはいえ、多くの生活者には家計が好転したという感覚に乏しいのではないか。円安による輸入食料品などの値上げで家計の負担が増し、生活防衛の消費行動をとる動きさえあるからだ。

日銀が消費者の物価上昇「期待」を高め、経済をよい方向に動かそうとした狙いは、必ずしもうまくいっていない。

2%インフレは消費増税の影響を除けばここ20年達成したことのない高い伸びで、現実味に乏しい。この目標を掲げ続ける限り、どこまでも達成できず、達成のために追加緩和を重ね続けることになりはしないか。「異次元緩和の罠(わな)」である。

政策期間が長びけば長びくほど副作用やリスクは大きくなる。日銀が紙幣を刷って政府予算を支える「財政ファイナンス」の度はより強まり、その分だけ国債暴落や円暴落のリスクが高まる。強化するほど不安定さが増すような金融政策は持続可能なものではない。

たとえ株式市場にマイナスになったとしても、日銀は目標を現実的なものに修正し、「出口戦略」を語るべきだ。そして一刻も早く、自縄自縛の政策から抜け出すべきである。