空爆の先見えず…IS掃討作戦は出口なしの“地獄絵”になる

「必ず敵を打倒する」――こう宣言してIS(イスラム国)掃討作戦に乗りだしたフランスは、地中海に原子力空母「シャルル・ドゴール」を派遣、そこから連日の空爆を繰り返している。

ISが首都と位置付けるシリア北部のラッカ、イラク北部の拠点モスル、さらにはバグダッド近くのラマディも攻撃対象に加えているが、軍事作戦の先行きは不安だらけだ。IS支配地域への空爆は米が先行、フランス、トルコが続き、ロシアも参戦し、ようやく「成果が見えてきた」(軍事ジャーナリスト・世良光弘氏)とみられていたが、ロシアとトルコが“準戦争状態”になったことに加えて、空爆の先が見えないのだ。

「空爆は言ってみれば、IS兵士をタコつぼに押し込め、移動できなくさせるものです。物資の移動もできないので、兵糧攻めになる。米国だけの散発空爆では意味がなかったけれども、各国が連携することで、成果は上がるとみています。しかし、最終的には地上軍を派遣し、ISが支配しているラッカやモスルを解放しなければ、勝利にならない。これが極めて難しいのです。ラッカは人口40万人。イラクのフセイン大統領が人の盾にしたように、ISは彼らを人質にして戦うことになるでしょう。大統領宮殿などがないラッカでは、一軒一軒、ISのアジトを潰して、全面降伏させるしかない。そこに住民が必ずいる。イラクのファルージャの惨劇の繰り返しになるかもしれません」(世良光弘氏)

 ファルージャの惨劇とは攻め入った米軍が「動くものはすべて撃て」と命令され、死体にも何発も銃弾を撃ち込むなど、恐怖のあまり住民を大量殺戮した悲劇だ。NGO「人権・民主主義研究センター」などの報告によると、粗末な病院も総攻撃され、女性や子供、老人も犠牲になり、米軍の戦車が負傷者たちをひき殺したという記述も出てくる。当時、イラク暫定政府は死者2085人と発表した。

現在、クルド人の地上部隊がラッカに数十キロの地点に迫っているが、地上軍が突入したところで、地獄絵の長期化は避けられないことになる。この戦争は悲劇的結末しか見えない。

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