社説:衆院選「違憲状態」 国会は格差是正を急げ

毎日新聞 2015年11月26日 東京朝刊

 選挙区間の「1票の格差」が最大2・13倍だった昨年12月の衆院選は憲法が定める投票価値の平等原則に反するのか。最高裁大法廷は、違憲状態と判断した。投票価値は不平等な状態だが、正すのに時間がかかるので違憲とはしないというものだ。

衆院選の「1票の格差」訴訟で、最高裁が違憲状態と指摘したのはこれで3回連続になる。

判決は、国会に対しさらなる選挙制度の見直しを促した。国会は「1票の格差」の抜本是正に向けた取り組みを急ぐべきだ。

議員1人あたりの有権者数ができる限り平等に保たれることを憲法は求めている。ただし、投票価値の平等は、選挙制度における絶対の基準ではなく、地域性などとの調和が求められている−−。最高裁は近年、そうした考え方に基づき、「1票の格差」について判断してきた。

今回は、最高裁が2011年3月の判決で廃止を求めた「1人別枠方式」が現状で是正されたといえるのか、その判断も注目された。「1人別枠方式」は各都道府県に1議席をあらかじめ配分するものだ。

最高裁は「1人別枠方式」は抜本改正されていないとの認識を示しながら、「合意形成にさまざまな困難が伴うことを踏まえ、漸次的な見直しを重ねることで実現していくことも国会の裁量だ」と指摘した。また、「1人別枠方式」の規定を法律の条文から削除し、定数を0増5減した区割りで衆院選を実施したことを「一定の前進」とも評価した。

国会の裁量を広く認めるこうした最高裁の姿勢が、是正に向けた国会の動きの鈍さを生んできたことは否めない。それでも、9人が違憲状態と結論づけ、3人の裁判官が「違憲」との反対意見を述べた。国会に是正を求める厳しさものぞく。

衆院議長の諮問機関は近く、1票の格差是正に関する答申を取りまとめる予定だ。人口比を反映しやすい「アダムズ方式」という方法で小選挙区の定数を配分する「9増9減」の是正案が検討されている。10年の国勢調査に基づくと、「9増9減」案の最大格差は1・6倍程度になると試算されている。格差是正を迅速に果たすには検討に値する案の一つだろう。

ただし、この方式だと、人口が最少の県でも定数2が割り振られるため、「1人別枠方式」と大同小異ではないか、との批判がある。最高裁の指摘も踏まえ、議論を深める必要がある。

15年国勢調査の速報値に基づく新たな1票の格差の試算結果公表も来年には予定される。可能な限り中期的に格差拡大を防止し得るような手法の検討を、諮問機関や与野党は急ぎ進めるべきだ。

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