人間が本来的・本質的に具有している自他への関心に基づく形成的行為

人間が本来的・本質的に具有している自他への関心に基づく形成的行為
を「ケア(care)」とよぶ。
このことを哲学的に最も深く検討した思想家はハイデガー(Heidegger, M.)である。

しかしながら、「他在」をもって「自在」となすという考え方が、
遠く『老子』の「長生久視」「摂生」の思想にもある。
『老子』第7章には
「是を以て聖人は、其の身を後にして而も身は先んず。
其の身を外にして而も身は存す。
其の私無きを以てに非ずや、故に能く其の私を成す」
(小川環樹訳注 老子 中公文庫 18ページ)
とある。
それは、自らの事象よりも他在の事象に先んじて行うことによって、
自己の事象を完成に向かわせることができるとの大意と理解することができる。

このことは、自らに先んじて他者を慮(おもんばか)ることこそが、
自己形成に他ならないという思想が洋の東西、古今を問わず存在したことを
物語っている。
ここに、ケアを保健医療や看護、福祉の課題としてのみならず、
人間形成と教育にかかわる重要課題として考える意義が存在するし、
ケアをとおして、保健医療、看護、福祉と教育の共通性について
考えることが可能になる。

以上、「教育学」 新体系 看護学全書 基礎科目
メヂカルフレンド社 115ページ より

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace

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