2016年1月6日
波乱の幕開けとなった。2016年大発会の平均株価は、世界経済の先行き不安から下落幅が一時600円を超えた。1990年の平成バブルの大崩壊を彷彿させる不吉なスタートは、約3年間に及んだアベノミクス相場の終焉を予兆している。
昨年の大納会で年末終値として19年ぶりに1万9000円台をつけたのもツカの間。アッという間に平均株価が1万8000円台半ばまで下落した要因には、さまざまな国際情勢が折り重なっている。
昨年末の米国株の下落で投資家の消極姿勢が強まっていたところに、中国株の再暴落とサウジ・イランの国交断絶というダブルパンチだ。中国の景気減速はとどまることを知らず、上海市場はこの日導入されたばかりの緊急避難的な取引停止措置「サーキットブレーカー」をいきなり発動。中東情勢の混乱も、低迷続きの原油相場のさらなる不安定要素となるのは間違いない。
「新年早々、国際情勢の不透明感が増し、世界中の投資家に『リスク回避』のスイッチが入ったようです」と言うのは、経済評論家の斎藤満氏だ。こう続ける。
「為替市場は早速、比較的安全といわれる円が猛烈に買い戻されて、円高の流れが加速しています。昨年12月には1ドル=122円台の円安基調で推移していたのに、すでに118円台まで円高が進行。円高基調がこのまま続けば為替差益によって空前の利益をあげていた輸出大手も一転、為替差損に苦しみ、収益を圧迫しかねません」
12月の日銀短観調査全容によると、2015年度の主要輸出産業の想定為替レートは、自動車が1ドル=118.82円、電気は119.62円(いずれも大企業ベース)。輸出大手にとって今回の円高加速が全くの想定外であることがうかがえる。それだけ為替差損は大きく膨らんでしまう。
2016年の日本経済はアベノミクスの円安政策の恩恵が一気に吹き飛び、株価もつるべ落としとなる恐れがあるということだ。
思えば1990年の平成バブルの大崩壊も、大発会の株価急落がケチのつき始めだった。大発会からの2営業日で600円以上も下げ、その後も大幅下落が相次いだ。それでも市場は「いずれ値を戻すさ」という楽観ムードだったが、4月を迎える頃には前年の大納会につけた史上最高値3万8957円44銭から1万円以上も値を崩した。
あれから四半世紀以上が過ぎても、二度と史上最高値に戻らなかったことは言うまでもない。
「平成バブルにトドメを刺したのも、中東情勢の悪化でした。平均株価は夏前には3万円台に回復していましたが、8月にイラクがクウェートに侵攻すると、再び下落。10月には2万円の大台を割り込んだのです。混沌としてきた現在の中東情勢はいやが応でも当時を想起させます。そもそも現在の円の為替レートは日銀の異次元緩和によって、ゲタをはかせたもの。日本と米国の金利差を考えれば、まだまだ円は安すぎます。世界規模の円の買い戻し圧力で異次元緩和策の“神通力”が消滅すれば、すぐに1ドル=115円台の円高に振れたって不思議ではありません」(斎藤満氏)
安倍バブル崩壊のカウントダウンは予想以上に早まりつつある。
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