甘利明・経済再生相(衆院神奈川13区)の地元事務所が、千葉県の建設会社側から総額1200万円の現金や飲食接待を受けていた疑いがあると週刊文春(電子版)が20日に報じた。甘利氏の政党支部などの政治資金収支報告書に記載されていない資金の移動を指摘しており、事実なら政治資金規正法違反の疑いがある。

ログイン前の続き■甘利氏「説明果たす」

甘利氏は月例経済報告の記者会見で「記事をまだ読んでいない。今後調査し国民に疑惑を持たれないよう説明責任を果たしていきたい」と述べた。会見は当初の予定から約50分遅れて開かれた。

記事で実名で証言した千葉県白井市の建設会社の総務担当者は、コメントを発表。建設会社の隣接地の道路建設をめぐる独立行政法人都市再生機構(UR)との補償交渉に関し、「甘利事務所に口利きを依頼し、見返りとして現金や接待で1200万円を渡した」としている。

記事によると、同社側から甘利氏に13年11月に大臣室で50万円、14年2月には地元事務所で50万円が手渡されたという。甘利氏の公設第1秘書にも13年8月20日に500万円、14年11月20日に100万円が手渡されたなどとしている。

一方、甘利氏が代表の政党支部などの政治資金収支報告書には、同社からの寄付は計376万円しか記載されていなかった。

甘利氏は、安倍晋三首相や菅義偉官房長官に「取材を受けたことは伝えた」という一方で、進退に関しては「全く相談していない」と語った。環太平洋経済連携協定(TPP)関連法の国会審議については「いい影響があるわけではないが政策運営できるようにしたい」と述べた。

URは「事実関係を確認中。口利きについてはなかったと認識している」とコメントした。

■野党、国会で疑惑追及へ

野党は国会で甘利氏の疑惑を追及する方針だ。

民主党枝野幸男幹事長は20日の記者会見で、「相当深刻な問題を抱えているという認識だ。厳しく本人に問いたださないといけない」と強調。21日に始まる参院決算委員会などで取り上げることを明らかにした。

共産党穀田恵二国会対策委員長は「内閣の長たる者の責任をはっきりさせる必要がある」と述べ、安倍首相の任命責任を問う構え。甘利氏は首相最側近の一人で、TPPなどを取り仕切る重要閣僚なだけに、民主幹部は「他の閣僚の疑惑とは重みが違う」。安倍政権全体の問題にしたい考えだ。

首相官邸は事態の推移を見守る構えだ。菅氏は20日夕の記者会見で「疑問を持たれるようなことがあれば、政治家自らが真摯(しんし)に説明していく必要がある」と述べた。甘利氏は先週末に週刊誌の取材を受けた後の19日、安倍首相と菅氏に事情を説明。政権中枢は事前に事態を把握していたが、政権発足時から首相を支える看板閣僚だけに、「(週刊誌報道が)本当なら厳しい。政治資金規正法に抵触するだろう」(官邸幹部)と、危機感も広がりつつある。

22日からの2016年度予算案の国会審議や夏の参院選をひかえ、自民関係者は「野党にとって格好の攻撃材料になる。第2次安倍内閣発足以降で最大の危機だ」。ベテラン議員からも「ずるずると追い詰められると、参院選は負ける」と懸念する声が出ている。