- 2016年3月10日
「保育園落ちた日本死ね!!!」――待機児童問題に一石を投じた匿名のブログ記事に共感した母親ら5人が9日夕、2万7682人分の署名を塩崎恭久厚労相に手渡した。塩崎大臣は「(署名を)安倍総理に届ける」と約束。ところが、この日の昼から行われた会合で、厚労委員会での塩崎大臣の答弁を視聴した母親たちからは、辛辣な意見が飛び交った。
「塩崎大臣は『改善する』と言っていたけど、どうやって改善するのか」
「曖昧な答弁に終始し、話が分かりづらい」
「保育園不足や保育士の給与改善など問題は山積しているが、すぐに解決に向かうとは思えない」
3000億円の財源が必要な子育て支援策について、塩崎大臣が「財源を見つけて実行する」と明言しなかったから、母親たちが怒るのも当然だろう。しかし、最も神経を逆なでしたのは、塩崎大臣が答弁中に披露した「身内の話」だ。
「東京・目黒区に住む私の息子夫婦も、保育園探しに苦慮していました。空きがなかったようで、港区の保育園に目星をつけていたが、4カ月ほど経ったところで偶然、目黒区内で保育園が見つかったようだ。ブログに賛同する女性たちの気持ちが私にも分かる」
身内の苦労話で母親たちにアピールしたかったのだろうが、会合に参加した中央区在住の女性(35)は、生後5カ月の男児をあやしながら本紙にこう話した。
「塩崎大臣のご子息の話については、羨ましい限りです。なぜなら、あっという間に保育園の空きが見つかっているからです。極めてまれなケースだと思います。今は、1年間探し続けても、空きが見つからないような状況が当たり前です。私は、出産してから約20カ所の保育園に問い合わせましたが、空きがなく全て断られました。それが、たったの4カ月で見つかるなんて、信じられません。私は今年の4月から仕事に復帰しなければならず、不安は募るばかり。周りのお母さんたちも似たような状況ですよ」
保育園不足の解消はまだまだ遠い。