高市総務相も逃げた国連「表現の自由」特別報告者の舌峰

 

  • 2016年4月20日
閣僚を名指しで批判(中央がデビッド・ケイ氏)/(C)日刊ゲンダイ
閣僚を名指しで批判(中央がデビッド・ケイ氏)/(C)日刊ゲンダイ

 安倍政権にしたら「厄介者がやっと帰ってくれた」というところじゃないか――。日本における「表現の自由」を調査するため、国連人権理事会から“特別報告者”に任命されたデビッド・ケイ氏(47=米カリフォルニア大アーバイン校教授)が、1週間の滞在を終え、19日米国に帰国した。

本来は昨年12月に来日するはずだったが、直前に日本政府が「来秋への延期」を要求。これに対し、「国連の調査を妨害するのか」という批判が世界中で高まり、今回、予定が前倒しされたという。

ケイ氏は、19日帰国直前に外国特派員協会で会見。政府の“ドタキャン”の経緯について質問されると、こう説明した。

「昨年11月、日本の外務省から『予算編成作業があり十分な受け入れ態勢が取れない』と説明があった。本当の理由はそちら(日本のマスコミ)で政府に聞いて欲しい」

 ケイ氏は特定秘密保護法、放送法、記者クラブ制度の弊害などにも言及。

「事前調査した上で来日したが、実際にジャーナリストや官僚にヒアリングして、日本メディアの独立性についてむしろ懸念が強まった。特定秘密保護法は秘密の範囲が広過ぎる。情報を制限するとしても、もっと透明性の高い形ですべきだ。記者クラブ制度は、調査ジャーナリズムとメディアの独立性を制限しようとしている」

ケイ氏の批判の矛先は安倍政権の閣僚にも向く。菅官房長官を名指しし、「自分の放送法の解釈に従わない番組があることを、オフレコ懇談で批判したと聞いた」と暴露。電波停止の可能性をチラつかせてテレビ局をドーカツしようとした高市総務相についても、「何度も会いたいと申し入れたが、国会会期中などを理由に断られた」と批判した。

■「報道の自由度」は72位に下落

 会見を取材したジャーナリストの志葉玲氏はこう言う。

「ケイ氏が予定を前倒しして来日したのは、日本メディアの危機的現状を強く危惧しているからでしょう。どうしても参院選前に調査したかったのだと思います。『ジャーナリストのパスポートを没収しないように』と、外務省に提案したと言っていましたが、安倍政権になってからのメディア規制はひど過ぎます。ケイ氏から逃げ回り、説明責任を果たさなかった高市総務相はサイテーだと思いました」

くしくも今日、非営利のジャーナリスト組織「国境なき記者団」の「報道の自由度」ランキングが発表された。

2010年、日本は過去最高の11位まで順位を上げたが、安倍政権になった途端に急落し、昨年は過去最低の61位。そして今年は72位と、さらに順位を下げた。当然か。

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