朝日新聞 2016年7月20日
鹿児島県知事選で初当選した三反園訓(みたぞの・さとし)氏(58)が19日、朝
日新聞のインタビューに応じ、8月中にも九州電力に川内原発(鹿児島県薩摩川内市)
の一時停止を要請する考えを明らかにした。熊本地震を受けた県民の不安に応えるため
、地震の影響や活断層の状況などについて再点検を求める。重大事故が起きた際の住民
の避難計画も専門家による委員会を設けて改めて検証するという。
川内原発の一時停止は三反園氏の知事選での公約。インタビューで「熊本地震で県民
は不安を抱いている。九電も再点検して県民の思いに応えれば信頼を増す」と強調し、
「8月中にも申し入れたい」と述べた。川内1、2号機は10月以降、定期検査で止ま
る予定だが、それを待たずに要請することになる。
知事に原発停止の法的権限はないが、鹿児島県は、九電との安全協定で原発に立ち入
り調査して必要な措置を求めることができる。
川内原発の避難計画は県が主導して策定し、国が「具体的かつ合理的」として了承し
たが、避難ルートにある橋の多くで耐震性が不足するなど課題が残る。三反園氏は「避
難道路に行ってきたが、このままで避難できるかというと難しい面がある。早急の課題
だ」と語った。原発30キロ圏の医療機関や社会福祉施設などに国が求めている避難計
画作りの対象を県は10キロ圏に絞っているが、これについても「再検討、再検証すべ
きでは」と語った。
公約では、原発問題を検討する有識者委員会の設置も掲げた。メンバーについては「
原発賛成、反対の両方の立場の人に入ってもらうのが大切」とし、他県の同様の委員会
を参考に人選を進める考えを示した。
三反園氏は28日に知事に就任する。
◇
三反園訓氏との一問一答は次の通り。
――脱原発知事という印象を持たれているが。
原発に頼らない社会を作ると宣言している。それが脱原発。10年では難しいかもし
れないが、自然再生エネルギー県に変身させていきたい。川内原発があるからこそ、世
界に向けて変身した姿をアピールできる。
――川内原発の停止を申し入れるのか。
熊本地震を受けて県民が不安を抱いている以上、いったん停止して再検証、再点検す
べきではないかと申し入れようと思っている。
――申し入れの時期は
8月中にも申し入れたい。あまり遅くするわけにはいかない。
――川内原発の避難計画を見直す可能性はあるか。
医療施設や介護施設の避難をどうするのか、重要な問題だと思っている。避難道路を
見たが、あのままで避難できるかというと難しい面もあると率直に感じた。再検討、再
検証すべきだという思いはある。
――検討委員会の設置については?
新潟県などの事例を参考にしながら、どうすれば一番効果的な委員会になるか考えて
いきたい。賛成と反対の両方の立場の人を入れないといけないと思う。自分の意見を押
しつけるつもりはない。
――再生可能エネルギーへの転換について。
自然再生エネルギーに変身すると雇用が生まれる。ドイツでもそうだった。若者の雇
用も生まれる。雇用が生まれれば生活もよくなる。そういう観点で考えていくべきだ。
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