「施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化する」

来年度予算編成の出発点となる各省庁からの概算要求について、政府が今月初めに決めた基本方針の一節である。

言葉は力強い。だが現実はといえば、決意表明はどこへやら、未曽有の財政難への危機感の乏しさに驚くばかりだ。

きょう締め切られる概算要求の総額は、3年連続で100兆円を超える。

要求時の基準に天井(シーリング)を設けず、一部の予算については今年度当初予算から2割増し近くまで要求できる仕組みとしたことが大きい。

もちろん、全額がそのまま認められるわけではなく、財務省の査定などを通じて絞られる。

とはいえ、厳しい財政を直視すれば、政府の基本方針がうたう通り、「既存事業の実績や効果を効率性、有効性等の観点から徹底検証して見直した上で要求・要望を行う」のは当然だ。

省庁の姿勢はどうか。

国土交通省は、公共事業費として今年度当初予算から16%増の6兆円強を要求した。経済産業省も、特別会計分を含めて9%増の1兆4千億円余を求めた。被災地での復旧事業が峠を越えた復興庁が要求を減らした例もあるが、「できるだけ多くの予算を獲得するために目いっぱい要求する」と言わんばかりの省庁が多い。

そうした中で目を引くのが、内閣府が所管する沖縄振興予算だ。要求額は今年度当初より140億円少ない3210億円。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画をめぐって対立する翁長雄志知事を牽制(けんせい)したのでは、ともささやかれる。

菅官房長官はそうした見方を否定したうえで「予算については、効果的な政策を実現するために必要に応じて歳出の見直し、不断の努力をするのは当然。沖縄振興予算も例外ではない」と強調した。

ならば、問いたい。そうした「不断の努力」をすべての省庁がすべての予算について尽くしたのか、と。

来年度予算の概算要求に先立って、政府は今年度2次補正予算案を閣議決定した。2兆7千億円強の建設国債を追加発行して公共事業を積み増すなど、総額は3兆3千億円に迫る。当初予算と似た項目が並び、補正が抜け道となって歳出が膨らむ構図は相変わらずだ。

こんな財政運営をしていては健全化への道は遠い。それだけは確かである。