- の警察官らは高江で何をしているのか」

琉球朝日放送の2016年9月7日18時50分の報道です。(※今はネット上で観ることができますが、ずっと噛み締めたい内容でしたので記事と放送画面キャプチャをクリッピングさせていただきます
元アメリカ兵が見た高江
森の静けさを割く、叫び声。人々が体を張ってでも止めようとしているのは、ヘリパッド建設のために運び込まれる大量の土砂や資材です。
この日、強制排除された人々の中に、アメリカ人たちの姿がありました。ウィル・グリフィンさん(31)。アフガニスタン、イラクに派兵された元陸軍兵。
グリフィンさん「沖縄のみなさんを支援するために来ました」
国際平和団体、「ベテランズ・フォー・ピース(平和を求める元軍人の会)」。メンバーは、みな、ベトナム戦争やイラク戦争などの第一線で戦った元アメリカ兵たちです。
メンバーのひとり、マイク・ヘインズさん(40)。かつて県内のアメリカ軍基地に駐留する海兵隊員の一人でした。
ヘインズさん「若い警察官たちを見ていたら昔の自分を思い出します。キャンプフォスター所属の19歳の海兵隊員だった頃は、疑問もなく命令に従っていました」
カリフォルニア州。サンディエゴ。アメリカ最大規模の海軍基地を抱えるこの街に、マイク・ヘインズさんは暮らしています。
ヘインズさん「アメリカ人にとって軍隊は生活、文化、愛国心の一部です。軍隊を支持するのは当然だと教えられて育つのですから」
至るところに「ヒーロー」として掲げられた、戦場に行った若者たちの姿。ショッピングセンターの一角など、人々が集まる場所に置かれたアメリカ軍の採用所。この国の暮らしの中に、当たりまえのように軍隊の存在があります。
アメリカ西南部、ジョージア州で生まれ育ったヘインズさんは、18歳の時「国を守りたい」という愛国心から、海兵隊に入隊しました。
ヘインズさん「“ワンショット・ワンキル(一撃一殺)”と声を上げながら訓練する度に、頭に刷り込まれていくんです。13週間の新兵訓練を終える頃には命令で人を殺せる兵士に仕上がっていた」
そして、海兵隊の特別部隊として2003年に派兵された、イラク侵攻ではテロリスト掃討作戦の第一線に送られました。しかし・・・
ヘインズさん「イラクでは家のドアを突き破り、銃口を向けながら家宅捜索しました。ほとんどの場合住んでいたのは普通の家族でした」
ヘインズさん「“テロとの戦い”のために派兵されたのに実際は人々にとってのテロリストは私たちだったんです」
カリフォルニア州、バークレー市。毎年この時期に開かれるベテランズ・フォー・ピースの大会では、世界120を超える支部から元兵士たちが集まり、アメリカ軍の問題や、軍隊によらない平和な社会をつくる方法について議論が続きます。この日、沖縄の辺野古新基地建設に関する講演に、ヘインズさんの姿がありました。
ヘインズさん「辺野古新基地はまだ造られていない。今ならまだ止められる」
ヘインズさんの思いの原点は、辺野古にありました。去年12月。およそ20年ぶりに帰った沖縄で見た辺野古の新基地建設を止めようと、体を張って座り込む人々の姿でした。
ヘインズさん「沖縄の人たちは米軍基地はいらないと声を上げています。自分の土地を取り戻したいんです。米国という巨大な国家権力に押し潰されるのではなく、自分のことを自分で決めたい。ただそれだけです。辺野古新基地を止めましょう!平和のために!」
さらに、大会では注目を集める大きな動きがありました。
大矢記者「ベテランズ・フォー・ピースの全国大会では辺野古への新基地建設、そして高江へのヘリパッド建設に反対するふたつの議案が今まさに審議されています」
ベテランズ・フォー・ピースの沖縄県支部から提出されたこれらの議案は、全会一致で可決。沖縄が抱える問題が、世界レベルで協力し、取り組むべき問題として受け入れられた瞬間でした。
議案を提出した琉球沖縄国際支部のダグラス・ラミスさん「あんなに情熱的に通されるということは、ちょっとすごいと思いました。」
ベトナム戦争帰還兵「私の国が他国にしていることに怒っています。やりたい放題ですよ」
大会に参加した女性「基地を造るということは、植民地化されるということです。沖縄のために私も闘います。だって沖縄の人々には平和に暮らす権利がありますから」
かつて戦争に加担した者として、もう二度と間違いは繰り返さないと立ちあがった元アメリカ兵たち。沖縄にこれ以上、戦争のための基地は造らせないと、声を上げ続けています。
ヘインズさん「警察のみなさん、鏡で自分の姿を見てください。『私はここで何をしているんだろう』と。これは戦争のために造られるヘリパッドなのだから」