1兆円超を費やした高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)を廃炉にしても、このままでは同じ失敗を繰り返すだけではないか。もんじゅを含む核燃料サイクル全体を見直すべきだ。

政府は、もんじゅについて「廃炉を含めて見直す」と決めたのに続き、「高速炉開発会議」を立ち上げた。

メンバーは経済産業、文部科学両相と、もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構の理事長、電気事業連合会会長(中部電力社長)、原子炉メーカーの三菱重工業社長の5人。原子力開発を推進してきた当事者であり、会議の大半は非公開だ。

もんじゅが行き詰まった原因の究明や責任追及といった総括はしないようだ。テーマは、会議名の通り高速炉の開発だというのなら、茶番である。

使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、原子炉で燃やす。そうした核燃料サイクルの中核で、燃やした分より多いプルトニウムを得るのが、もんじゅのような高速増殖炉だ。高速炉は、増殖こそめざさないが原子炉の基本構造は同じで、もんじゅが直面した技術的な難しさも共通する。

高速炉は必ず実用化できるかのような言動が政府関係者に見られるが、安全で経済的にも成り立つ高速炉を近い将来に実現する見通しはたっていない。

もんじゅを廃炉にした場合に日本が頼むのは、フランスの高速実証炉「ASTRID(アストリッド)」計画への参加だ。しかし、まだ基本設計の段階であり、19年まで1100億円余をかけて研究開発を進め、その結果を基に建設を判断するという。造る場合も、運転開始の目標は30年ごろだ。

仏側は、もんじゅなどで一部の実験を予定してきた。仏政府の担当者は日本記者クラブ取材団に対し、もんじゅが廃炉になれば計画の手直しが必要になるとした上で、財政面での貢献を日本に期待すると表明した。

そんな先行き不透明な計画を前提に、ASTRIDで核燃料サイクルは万全だと政府はうたうつもりなのか。

日本は既に国内外に48トン、原爆6千発分のプルトニウムを持っており、これを減らすことが喫緊の課題だ。プルトニウムとウランを混ぜたMOX(モックス)燃料を通常の原発で燃やすプルサーマル発電もあるが、大量のプルトニウムを消費しきれそうにない。

だからといって、高速炉を使う核燃料サイクルしかないとの政府の主張は、現実を無視した虚構である。米国や英国がとうに核燃料サイクルを断念していることを重くみるべきだ。