我々は決して「護憲」ではなく、未来永劫(えいごう)、いまの憲法のままでいいと思っているわけではない。建設的な議論をしたいが、自民党憲法改正草案のような憲法になるぐらいなら、今の憲法が100倍良い。自民党の草案は、基本的人権を一時の権力で制約できるようにする内容で、立憲主義に反する。明治時代に作らログイン前の続きれた大日本帝国憲法よりも古い内容で論外だ。

参院選で「まずは3分の2を止める」と訴えたのは、自民党草案のような立憲主義を理解していない勢力が3分の2を取ることは阻止したいという思いだった。公明党はあの安全保障法制の強行的な成立に協力したので非常に微妙だが、立憲主義には一定の理解があると思う。

最初の国民投票で否決されたら、憲法改正はタブーになってしまう。そのためには国会で幅広い合意を作ることが大切だと考え、自民、民主(現・民進)、公明各党の担当者は長年取り組んできた。それを壊したのは2007年、憲法改正国政選挙の争点にしようとした安倍晋三首相だ。国民投票法制定の協議の枠組みも崩れた。安倍さんが強引なことをしなければ、今頃までに最初の憲法改正の国民投票が行われていただろう。

今国会でも安倍首相は「案を提示するのが国会議員の責任」というが、相変わらず憲法を理解していない。憲法は国民が国会や内閣を縛るためのルールだ。国民の大方に「ここを変えた方がいい」という声があるかがポイントだが、今の時点でそういう状況にはない。自民党こそ、あの草案の内容に自信があるのであれば、堂々と「これで発議しましょう」と憲法審査会で出してみればいい。

憲法改正は、国会の議席配分よりも世論の動向の方がよほど重要だ。安倍首相の言動によって「むやみやたらに憲法を変えるのは危ない」と考える人が増えている。安倍首相が辞めないと無理だろう。政治的にははっきりしている。

憲法審査会はただ単に改正案を作るのだけが仕事ではない。憲法に密接に関連する基本法制について調査することも権能として国会法に書かれている。「立憲主義とは何か」という議論を深めると共に、「違憲」で成立した安保法制や、実質的に憲法と言える皇室典範にかかわる天皇陛下の生前退位の議論も憲法調査会でしっかり行っていきたい。(構成・南彰)