憲法改定の大前提は、国民から「この条文を変える必要がある」という要求があるかどうかだ。だが、国民の間ではそんな具体的な議論は起きておらず、貧困や格差、ブラック企業、過労死などさまざまな問題が起きる中、ますます輝きを増しているのが日本国憲法だと思う。9条の恒久平和主義はもとより、生存権、幸福追求権ログイン前の続き、教育を受ける権利など30条にわたる人権規定は非常に先駆的だ。

国民は70年間、憲法とともに歩み、その間、条文を変える必要がなかったというのは立派な憲法であるという証明だ。むしろ変えるべきは憲法ではなく、憲法をないがしろにする現実の政治だ。私たちは現行憲法の全条項を守る。とりわけ平和的、民主的条項の完全実施を目指す。これこそが「憲法改正」に対する根本的な対案だと思う。

参院選の結果、「改憲勢力」は確かに3分の2を占めたものの、国民からすれば、改憲を白紙委任したものではない。安倍晋三首相は遊説のときに改憲については語っていないにもかかわらず、選挙が終わった翌日には「いかに我が党の案をベースに3分の2を構築していくか、これがまさに政治の技術」と発言したが、まさにだまし討ちだ。

その自民党草案は国民が権力を縛るのではなく、逆に権力が国民を縛るという考え方に立ち、立憲主義に反している。9条2項を削除して国防軍創設を明記し、海外での武力行使を無制限に可能にすることにこそ本丸がある。どこをとっても改憲案のベースにしてはならない。あの悲惨な戦争を体験した日本国民が決して望んでいないと思う。

改憲項目の一つとして緊急事態条項が議論されているが、事実上の戒厳令を可能にするもので重大問題だ。参院選の「合区」には反対だが、選挙制度改革で解決するべき課題であり、改憲の必要はない。

安倍政権は2007年の改憲手続き法(国民投票法)成立も含め、一貫して野党を改憲の方向に巻き込もうとしてきた。だが、いま野党4党では「安倍政権下での改憲に反対」という合意がある。私たちは、この一点で共闘し国民的な世論を盛り上げることが大切だ。(構成・園田耕司)